高年齢者雇用確保措置として、実務上多く採用される措置は何か
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令和6年時点で高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%。内訳は継続雇用制度の導入が67.4%と圧倒的多数 厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」(令和6年6月1日時点)による最新の集計結果です。 |
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定年の引上げは28.7%、定年制の廃止は3.9%。定年引上げを選ぶ企業の割合は年々増加傾向 自社に最適な措置を選択する際は、コスト・人事制度への影響を総合的に検討する必要があります。 |
目次
高年齢者雇用確保措置とは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)9条に基づき、定年を65歳未満に定めている事業主が、雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するために講じなければならない、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれかの措置をいいます。中小企業の経営者の方から、「どの措置を選ぶのが実務上一般的なのか」というご相談をいただくことがよくあります。
本ページでは、厚生労働省の最新の統計データを踏まえた実施状況と、各措置のメリット・デメリットについて、会社側専門の弁護士が解説します。
01高年齢者雇用確保措置の3つの選択肢
結論:高年法9条は、定年を65歳未満に定めている事業主に対し、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれかの措置を講じることを義務付けています。継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいい、いったん定年退職とした上で改めて雇用契約を結ぶ「再雇用制度」と、定年で退職させずに雇用を継続する「勤務延長制度」の2つの形があります。
事業主は、これら3つの措置のうちいずれか一つを講じれば足りますが、複数を組み合わせることも可能です。
02実施状況の最新データ|継続雇用制度が圧倒的多数
結論:厚生労働省の令和6年「高年齢者雇用状況等報告」によれば、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%に達しており、その内訳は継続雇用制度の導入が67.4%と圧倒的多数を占め、定年の引上げが28.7%、定年制の廃止が3.9%となっています(令和6年6月1日時点、従業員21人以上の企業237,052社を対象とした集計)。
高年法9条の高年齢者雇用確保措置としては、継続雇用制度を導入している企業の割合が、依然として圧倒的に多くなっています。ただし、経年で見ると継続雇用制度の割合はやや減少傾向(前年比1.8ポイント減)にある一方、定年の引上げを選択する企業の割合は増加傾向(前年比1.8ポイント増)にあり、労働力確保の観点から定年年齢そのものを引き上げる企業が徐々に増えている実態がうかがえます。
03各措置のメリット・デメリット
結論:継続雇用制度は柔軟な制度設計が可能な一方、定年の引上げは人事制度全体への影響が大きく、定年制の廃止は無期限の雇用継続を前提とすることになるため、それぞれメリット・デメリットが異なります。継続雇用制度は、定年年齢自体を変更する必要がなく、定年後の労働条件(賃金・労働時間・役割等)を見直しながら柔軟に運用できる点が最大のメリットです。多くの企業がこの制度を選択している背景には、既存の人事・賃金制度を大きく変更せずに対応できるという実務上の利便性があります。
定年の引上げは、優秀な人材を正社員として長く確保できる一方、退職金・年金制度・賃金カーブなど人事制度全体への影響が大きく、制度改定に相応の準備期間とコストを要します。定年制の廃止は、高年齢者雇用確保措置の中で最も踏み込んだ対応であり、事実上無期限の雇用契約となることから、能力・健康状態に応じた個別対応の仕組みを別途整備しておく必要があります。
04自社に適した措置を選ぶポイント
結論:自社に適した措置を選ぶためには、人件費への影響・既存の人事制度との整合性・労働者のモチベーション・実務上の運用負荷を総合的に検討することが重要です。人件費への影響(継続雇用後の賃金水準をどう設定するか)・既存の賃金制度・退職金制度との整合性・高年齢社員のモチベーション維持・実務上の運用負荷(更新手続・評価制度の設計等)を総合的に検討する必要があります。
多くの中小企業にとっては、まず柔軟な運用が可能な継続雇用制度から検討を始めるのが一般的ですが、業種・人材確保の状況によっては定年の引上げが適している場合もあります。高年齢者雇用確保措置の制度設計・就業規則の整備については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。
制度導入の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(制度設計の失敗リスク) |
|---|---|
| 人件費・人事制度への影響を試算した上で措置を選択する | 他社の真似だけで安易に制度を導入する |
| 継続雇用制度を選ぶ場合は基準・運用ルールを明確化する | 曖昧な基準のまま継続雇用制度を導入する |
| 定年引上げを選ぶ場合は賃金制度全体を見直す | 定年年齢だけを引き上げ賃金制度を放置する |
| 制度設計は専門家に相談する | 自社のみの判断で就業規則を変更する |
05よくある質問(FAQ)
Q. 継続雇用制度が最も多く採用されているのはなぜですか。
継続雇用制度は、定年年齢自体を変更せず、定年後に改めて雇用契約を締結する(再雇用制度)または雇用を継続する(勤務延長制度)という柔軟な制度設計が可能だからです。賃金・労働時間・処遇を見直しながら段階的に対応できる点が、多くの企業に選ばれている理由と考えられます。
Q. 定年の引上げを選択する企業が増えている理由は何ですか。
労働力人口の減少・人材確保の必要性の高まりを背景に、定年年齢そのものを引き上げることで、経験豊富な人材を正社員として長く活用したいと考える企業が増えていると考えられます。令和6年のデータでは、定年の引上げを選択する企業の割合は前年から1.8ポイント増加しています。
Q. 自社に合った措置を選ぶ際、まず何を検討すべきですか。
まず自社の人件費構造・既存の賃金制度・高年齢社員の担う役割を整理することが重要です。その上で、継続雇用制度・定年引上げ・定年廃止のいずれが自社の事業運営に適しているかを、専門家の助言を受けながら検討することをお勧めします。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。高年齢者雇用確保措置の制度設計でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月10日