この記事の結論
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対象者基準を定めた労使協定自体の労基署届出義務はなかったが、就業規則に規定した場合は届出が必要だった

「退職に関する事項」(労基法89条3号)に該当するためです。

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経過措置が終了した現在、就業規則に古い基準が残っている会社は速やかな変更届出が必要

「希望者全員」を対象とする規定に変更し、労働基準監督署への届出を行う必要があります。

 継続雇用制度の対象者基準に関する届出義務とは、経過措置期間中に労使協定で定めた継続雇用制度の対象者基準について、労働基準法89条3号の「退職に関する事項」に該当する限りで就業規則への規定と労働基準監督署への届出が義務付けられていた実務上の取扱いをいいます。「昔、継続雇用制度の対象者基準を定めた労使協定を作ったが、労基署に届け出ていない気がする」というご相談をいただくことがあります。

 本ページでは、対象者基準の届出義務の考え方と、経過措置が終了した現在必要な就業規則の見直しについて、会社側専門の弁護士が解説します。

01労使協定自体の届出義務はありません

 結論:継続雇用制度の対象者となる高年齢者に係る基準を定めた労使協定を労働基準監督署に届け出ることを義務付ける規定はありませんので、労使協定それ自体を届け出る必要はありません。多くの労使協定(36協定等)とは異なり、この基準に関する労使協定については、単独での届出義務は定められていませんでした。

02就業規則に規定した場合は労基署への届出が必要です

 結論:ただし、当該基準が私法上の効力を生じるためには就業規則に規定して周知させる等して労働契約の内容としておく必要があり、継続雇用制度の対象者に係る基準は「退職に関する事項」(労基法89条3号)に該当するため、就業規則にこれを規定した場合は労働基準監督署への届出が義務付けられていました。労使協定を締結しただけでは、それが直ちに個々の労働者との労働契約の内容になるわけではありません。

 基準を実際に運用するためには、就業規則に規定して周知することが不可欠でした。そして、継続雇用制度の対象者に係る基準は「退職に関する事項」(労基法89条3号)に該当しますので、これを規定した就業規則の変更については、労働基準監督署への届出義務が課されていました。

03経過措置終了後に必要な就業規則の見直しと届出

 結論:経過措置が終了した現在、就業規則に経過措置時代の対象者基準の条項が残っている会社は、「希望者全員を65歳まで継続雇用する」旨の規定に速やかに変更した上で、変更後の就業規則を労働基準監督署に届け出る必要があります。就業規則の変更にあたっては、事業場の過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、意見書を添付して届け出る必要があります(労基法90条)。

 継続雇用しない事由については、既存の解雇事由・退職事由と同一内容の範囲で規定することが一般的です。継続雇用制度に関する就業規則の見直し・届出手続については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

就業規則整備の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(届出義務違反のリスク)
就業規則の該当条項を「希望者全員」規定に更新し届出を行う 古い基準の条項をそのまま放置する
継続雇用しない事由を解雇事由・退職事由と同一内容で規定する 独自の曖昧な基準を新たに設けようとする
就業規則変更の労基署届出を確実に行う 内容だけ変更し届出を失念する
現状の就業規則を専門家にチェックしてもらう 数年前の内容のまま放置する

04よくある質問(FAQ)

Q. 就業規則の変更届出を忘れていた場合、どうなりますか。

就業規則の変更届出義務(労基法89条・90条)に違反した場合、30万円以下の罰金の対象となり得ます(労基法120条1号)。また、内容が実態と異なる就業規則が放置されることで、後の労務紛争において不利な立場に置かれるリスクもあります。速やかに変更届出を行うことをお勧めします。

Q. 就業規則の変更には従業員代表の意見聴取が必要ですか。

はい、就業規則を変更する場合は、事業場の過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聴き、意見書を添付して労働基準監督署に届け出る必要があります(労基法90条)。

Q. 継続雇用しない事由を就業規則にどのように規定すればよいですか。

「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと等、就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合には、継続雇用しないことができる」という形で、既存の解雇事由・退職事由と同一内容の範囲で規定することが一般的です。具体的な規定の作成については弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 継続雇用制度の対象者基準を定めた労使協定自体の労基署届出義務はありませんでしたが、就業規則に規定した場合は「退職に関する事項」として届出が義務付けられていました。経過措置終了後は、就業規則を「希望者全員」規定に速やかに変更し、届出を行う必要があります。高年齢者の継続雇用を拒否できる場合の判断基準とあわせて、就業規則の整備・届出手続について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則の整備・届出手続でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月10日


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