この記事の結論
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高年齢者雇用確保措置は事業主の義務であり、経済状況を理由に取らないという選択肢はない

赤字・債務超過であっても再雇用制度を講じる等の措置は必要です。

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経済的余裕がない場合は、体力に応じた賃金水準を提案し本人の継続勤務意思を確認するという対応で臨むべき

継続雇用自体を拒否するのではなく、賃金額等の労働条件を抑制することで対処すべき問題です。

 赤字・債務超過企業の高年齢者雇用確保義務とは、経営が厳しい状況にある事業主であっても、高年法9条に基づく高年齢者雇用確保措置(定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年制の廃止のいずれか)を講じる義務を免れないという法的な枠組みをいいます。「会社の業績が悪化しているのに、それでも高年齢者を再雇用しなければならないのか」というご相談は、経営状況が厳しい会社の経営者から多くいただきます。

 本ページでは、赤字・債務超過の会社が高年齢者雇用確保措置にどう向き合うべきかについて、会社側専門の弁護士が解説します。

01経済状況を理由に雇用確保措置を免れることはできません

 結論:高年齢者雇用確保措置(高年法9条)を取ることは事業主の義務であり、雇用確保措置を取らないという選択肢はないため、会社に経済的余裕がない場合であっても、再雇用制度を講じる等、高年齢者雇用確保措置は取る必要があります。「業績が悪いから」「人件費に余裕がないから」という理由は、雇用確保措置自体を講じない理由にはなりません。

02経済的余裕がない場合の対応方針|賃金で調整する

 結論:年金支給開始年齢が引き上げられていることを考慮すれば、賃金原資に余裕がない企業であっても、同業他社と同水準の賃金が払えないから再雇用自体を拒絶するという発想ではなく、再雇用自体は認めた上で、体力に応じた金額の賃金を支給するという対応を取るべきです。高年齢者を雇い続けるだけの経済的余裕がないという点は、賃金額等の労働条件を抑制することで対処すべき問題です。

03労働条件の提案と本人の意思確認

 結論:財務上の余裕がないのであれば、高年齢者に対し低めの賃金額での勤務を提案し、それでも継続勤務する意思があるのかどうかを確認するという流れで対応することが実務上の現実的な方針です。例えば、時給1000円、1日8時間、週3日勤務等の労働条件での再雇用を提案し、高年齢者がそれでも働きたいというのであれば再雇用し、それでは賃金が安過ぎるとして再雇用を拒絶されたら再雇用しないという流れになると考えられます。

 このプロセスを踏むことで、会社としては経済的な負担を抑制しつつ、雇用確保措置の義務を果たすことができます。赤字・債務超過企業における高年齢者雇用確保措置の設計・労働条件の提案方法については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

経済的困難時の対応比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(高年法違反のリスク)
経済状況が厳しくても雇用確保措置自体は必ず講じる 「お金がないから」と雇用確保措置自体を放棄する
賃金水準を体力に応じて調整した上で再雇用を提案する 賃金を理由に再雇用自体を拒絶する
提案した労働条件への本人の意思を書面で確認する 口頭のみで済ませ確認の記録を残さない
財務状況の説明資料を整理しておく 根拠のないまま低賃金を提示し紛争化させる

04よくある質問(FAQ)

Q. 赤字であることを理由に高年齢者雇用確保措置自体を講じないことはできますか。

できません。高年法9条は事業主に対する法的義務であり、経済状況を理由とする例外は認められていません。措置を講じない場合は高年法9条違反となり、行政指導・企業名公表等のリスクを負うことになります。

Q. 賃金をどの程度まで下げることができますか。

最低賃金法等の強行法規に反しない範囲であれば、原則として自由に設定できます。ただし、極端に低い水準は、業務内容との著しい不均衡等により公序良俗違反と評価されるリスクがあるため、慎重な検討が必要です。具体的な水準の設定は弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 提案した労働条件で本人が拒否した場合、どうなりますか。

会社が合理的な範囲での労働条件を提示したにもかかわらず、労働者と条件面で合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用を拒否した場合は、高年法違反にはならないと考えられています。ただし、提示した労働条件が著しく不合理であった場合は別途問題となり得るため、条件提示の経緯を記録しておくことが重要です。

経営上のポイント 高年齢者雇用確保措置は事業主の義務であり、経済状況を理由に取らないという選択肢はありません。経済的余裕がない場合は継続雇用自体を拒否するのではなく、体力に応じた賃金水準を提案し、本人がそれでも継続勤務する意思があるのかを確認するという対応が実務上の現実的な方針です。再雇用後の適正な賃金水準と在職老齢年金の関係とあわせて、賃金水準の設計について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。赤字・債務超過下での高年齢者雇用対応でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日


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