この記事の結論
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除外賃金に該当するかどうかは、名称にかかわらず実質によって判断される

「家族手当」「通勤手当」「住宅手当」という名目で支給されていても、除外賃金に当たるとは限りません。

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個人的事情に対応して算定される手当のみが除外賃金に当たる

扶養家族数・通勤距離・実費等とは関係なく一律に支給される手当は、残業代の基礎に算入する必要があります。

 家族手当・通勤手当・住宅手当の除外要件とは、これらの手当を残業代(割増賃金)算定基礎から除外するために満たすべき法的要件をいい、名目上の名称ではなく、支給実態が扶養家族数・通勤距離・住宅費用等の個人的事情に対応しているかどうかによって判断されます。「うちも家族手当・通勤手当を払っているが、除外賃金として扱ってよいのか」というご相談は非常に多くいただきます。

 本ページでは、家族手当・通勤手当・住宅手当を残業代算定基礎から除外するための要件について、会社側専門の弁護士が解説します。

01除外賃金該当性は名称ではなく実質で判断されます

 結論:除外賃金に該当するかどうかは、名称にかかわらず実質によって判断されますので(昭和22年9月13日発基17号)、名称が「家族手当」「通勤手当」「住宅手当」といった名目で支給されていたとしても、除外賃金に当たるとは限りません。行政通達は「家族手当、通勤手当及び規則第21条に掲げる別居手当、子女教育手当は名称にかかわらず実質によつて取り扱うこと」と明示しています。

02家族手当が除外賃金に該当する場合・しない場合

 結論:扶養家族数に応じて支給される家族手当であれば除外賃金に該当しますが、扶養家族数とは関係なく一律に支給される家族手当は、除外賃金には該当せず、残業代(割増賃金)の基礎となる賃金に算入することになります。たとえば、「扶養家族1人につき月5,000円」といった算定方法であれば除外賃金に該当しますが、「全社員一律月1万円」という算定方法では、名称が「家族手当」であっても除外賃金には当たりません。

03通勤手当が除外賃金に該当する場合・しない場合

 結論:通勤に必要な実費に対応して支給される通勤手当であれば除外賃金に該当しますが、通勤距離や通勤に要する実費等とは関係なく一律に支給される通勤手当は、除外賃金には該当せず、残業代(割増賃金)の基礎となる賃金に算入することになります。「一定額までは距離にかかわらず一律に支給する」という運用がある場合、その一律部分は通勤手当としての性質を持たず、算定基礎に含める必要があります。

 住宅手当についても同様の考え方が当てはまり、住宅に要する費用(家賃額・持ち家のローン額等)に応じて算定される手当であれば除外できますが、住宅の形態ごとに一律定額で支給される手当や、扶養家族の有無等の住宅費用以外の要素に応じて支給される手当は除外できません。

04実務上の点検の進め方

 結論:自社の家族手当・通勤手当・住宅手当が除外賃金の要件を満たしているかを点検する際は、就業規則・賃金規程の算定方法の記載と、実際の支給実態が一致しているかを確認する必要があります。規程上は「扶養家族数に応じて」と定めていても、実際には一律の金額を支給しているような場合は、規程と実態の乖離自体がリスクとなります。

 各種手当の除外賃金該当性の点検・賃金規程の見直しについては、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

手当設計の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(未払いのリスク)
扶養家族数・実費等に連動した算定方法にする 一律定額で支給しながら除外賃金として扱う
規程の記載と支給実態を一致させる 規程は個別事情連動、実態は一律支給という乖離を放置する
定期的に各手当の該当性を点検する 導入時のまま長期間見直さない

05よくある質問(FAQ)

Q. 通勤手当を「一律月1万円」で支給していますが、除外賃金にできますか。

通勤距離や実費と無関係に一律支給している場合、除外賃金には該当せず、残業代算定の基礎に含める必要があります。実費に応じた支給方式への変更を検討することをお勧めします。

Q. 一部だけ実費対応、一部だけ一律という通勤手当の扱いはどうなりますか。

実費対応部分は除外賃金に該当しますが、一律部分(最低保証額等)は除外賃金に該当せず、算定基礎に含める必要があるとされています。支給方法を項目ごとに分けて設計・記録しておくことが重要です。

Q. 過去数年間、誤った除外処理をしていた場合はどうすればよいですか。

まず現状を正確に把握し、遡及リスクの評価と今後の是正方針を検討する必要があります。自主的な是正は将来のリスク軽減につながる可能性がありますが、進め方によっては別の問題を生じることもあるため、弁護士に相談の上で対応することをお勧めします。

経営上のポイント 除外賃金に該当するかどうかは、名称にかかわらず実質によって判断されます。扶養家族数や通勤実費等の個人的事情に対応する手当のみが除外賃金に該当し、一律支給の手当は名称にかかわらず算定基礎に含める必要があります。除外賃金としての「家族手当」の法的要件と一律支給の違いとあわせて、賃金規程の点検について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。各種手当の除外賃金該当性でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日


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