この記事の結論
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就業規則は労基法に違反してはならず、違反部分は労働契約の内容とならず労基法が適用される

根拠は労基法92条1項・労契法13条です。

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賃金規程で「基本給のみを算定基礎とする」と定めて周知させても、規定は労働契約の内容とはならない

除外賃金に当たらない手当は残業代算定の基礎賃金に加える必要があります。

 賃金規程での算定基礎規定の効力とは、賃金規程(就業規則)で残業代(割増賃金)算定の基礎賃金を「基本給のみ」とする旨を定めて周知させた場合に、その規定が労基法との関係でどのような効力を有するかという問題をいい、労基法92条1項・労契法13条により、除外賃金に当たらない手当が存在する限り、そのような規定は労働契約の内容とはなりません。「賃金規程にきちんと明記して従業員に周知しているので、これで法的にも問題ないはずだ」というご相談をいただくことがあります。

 本ページでは、賃金規程での定めの効力について、会社側専門の弁護士が解説します。

01就業規則は労基法に違反してはならない(労基法92条1項)

 結論:就業規則は労基法に違反してはならず(労基法92条1項)、労基法違反の就業規則はその部分に関しては労働契約の内容とはならず、労基法が適用されます。就業規則は会社が一方的に作成するものであり、労働契約書のような個別合意とは異なりますが、労基法の最低基準を下回ることができない点は同様です。

02違反部分は労働契約の内容とならない(労契法13条)

 結論:除外賃金に当たらない手当が存在するにもかかわらず、賃金規程で基本給のみを残業代(割増賃金)算定の基礎賃金とする旨定めて周知させたとしても当該規定は労働契約の内容とはならず、基本給以外の除外賃金に当たらない手当についても残業代(割増賃金)算定の基礎賃金に加える必要があることになります(労契法13条)。

 つまり、賃金規程に「基本給のみを算定基礎とする」と明記し、従業員に周知していたとしても、それが労基法の強行的な基準を下回る限り、その規定は法的な効力を持たず、労基法所定の算定方法(原則すべての賃金を基礎とし、限定列挙された除外賃金のみを控除する方法)が適用されます。

03労働契約書の場合との違いと共通点

 結論:労働契約書での個別合意(労基法13条の問題)と、賃金規程での定め(労基法92条1項・労契法13条の問題)は、根拠条文は異なりますが、いずれも「労基法の基準を下回る合意・規定は無効となり、労基法の基準が適用される」という結論に至る点で共通しています。会社としては、どちらの形式で「基本給のみ算定基礎」を定めていたとしても、法的な効力は生じないと理解しておく必要があります。

 賃金規程の見直し・給与計算体制の点検については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

賃金規程整備の比較|適切な対応/NGな対応

○ 適切な対応 ✕ NGな対応(未払いのリスク)
賃金規程の内容を労基法の基準に沿って設計する 周知していれば規定通りの効力が生じると誤解する
実際の給与計算が規程・実態と整合しているか確認する 規程の文言のみで対応が完了したと考える
労働契約書・賃金規程の両方を一体的に点検する 契約書と規程で矛盾した内容のまま放置する

04よくある質問(FAQ)

Q. 従業員代表の意見を聴取し、労基署に届出済みの賃金規程でも無効になるのですか。

はい。所定の手続(意見聴取・届出)を履践していても、内容自体が労基法の基準を下回っていれば、その部分は労働契約の内容にはなりません。手続の適法性と内容の適法性は別の問題です。

Q. 労働契約書と賃金規程の内容が食い違っている場合、どちらが優先されますか。

いずれも労基法の基準を下回る部分は無効です。両者の内容が矛盾している場合は、原則として労働者に有利な内容が優先される傾向にありますが、個別の事情によって判断が異なるため、弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 賃金規程を見直す場合、どのような手続が必要ですか。

就業規則(賃金規程を含む)の変更には、従業員代表からの意見聴取と労働基準監督署への届出が必要です(労基法89条・90条)。不利益変更に当たる場合は、労働契約法9条・10条の要件も満たす必要があります。

経営上のポイント 就業規則は労基法に違反してはならず、違反部分は労働契約の内容とならず労基法が適用されます。賃金規程で「基本給のみを算定基礎とする」と定めて周知させても、除外賃金に当たらない手当は残業代算定の基礎賃金に加える必要があります。残業代趣旨の手当は施行規則21条未列挙でも算定基礎から除外すべき理由とあわせて、賃金規程の点検について会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。賃金規程の見直し・就業規則の整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月11日


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