残業代趣旨の手当は施行規則21条未列挙でも算定基礎から除外すべき理由を教えて下さい。
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労基法37条5項・労基則21条には残業代趣旨の手当は掲げられていないが、趣旨の重複を避けるため除外する 残業代の趣旨で支給する手当を算定基礎に算入すると、実質的に二重に残業代を支払うのと同じ結果になります。 |
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誤って算入・基準内賃金扱いにすると、その手当の残業代趣旨そのものが否定される方向に働く 「形式的に残業代の趣旨と規定しているだけ」と認定されるリスクがあります。 |
残業代趣旨の手当の除外理由とは、労働基準法37条5項・労働基準法施行規則21条には明記されていないものの、残業代(割増賃金)の趣旨で支給されている手当(いわゆる固定残業代・みなし残業代等)を、割増賃金算定の基礎賃金から除外すべき理論的根拠をいいます。「うちの固定残業代は基準内賃金として扱っているが、これは正しいのか」というご相談をいただくことがあります。
本ページでは、残業代趣旨の手当が施行規則21条に未列挙でも算定基礎から除外すべき理由について、会社側専門の弁護士が解説します。
01条文には掲げられていないが除外すべき理由
結論:労基法37条5項、労基法施行規則21条には残業代(割増賃金)が掲げられていませんが、残業代(割増賃金)の趣旨で支給する手当については、これを残業代(割増賃金)の基礎に算入すると、趣旨が重複するため、残業代(割増賃金)の基礎賃金から除外することになります。除外賃金の限定列挙(家族手当・通勤手当等の7種類)の中に「残業代の趣旨で支給する手当」という項目は明記されていません。
しかし、これは条文の不備というよりも、そもそも残業代の趣旨で支給される手当(固定残業代・みなし残業代等)を、さらに割増賃金の算定基礎に算入することが論理的に矛盾するためです。残業代を計算するための基礎に、既に残業代として支払われている部分を含めてしまうと、その手当を基礎に更なる割増賃金が発生するという循環計算になり、実質的な二重払いを招きます。
02実務でよく見られる誤った運用
結論:労基法37条5項、労基法施行規則21条に残業代(割増賃金)が掲げられていないせいか、残業代(割増賃金)の趣旨で支給する手当についてまで基礎賃金に含めて残業代(割増賃金)を計算したり、基準内賃金扱いにしたりしている賃金規程が散見されます。たとえば「固定残業手当」を支給しながら、その手当を含めた総支給額を基礎に時間外労働の割増賃金を計算しているケースや、固定残業手当を「基準内賃金」として賞与や退職金の算定基礎にも含めてしまっているケースなどです。
このような運用は、計算上の誤りであるだけでなく、後述するようにより深刻なリスクをはらんでいます。
03誤った処理がもたらす二次的リスク
結論:残業代(割増賃金)の趣旨で支給する手当を割増賃金計算の基礎に算入したり、基準内賃金扱いにしたのでは、当該手当が残業代(割増賃金)請求対策のために形式的に残業代(割増賃金)の趣旨と規定しているだけであって、実質は残業代(割増賃金)の趣旨を有していないと認定される方向に作用する一事情となってしまいます。つまり、固定残業代制度自体の有効性が否定されるリスクを高めることになります。
固定残業代制度が無効と判断されれば、その手当は基本給と同様の労働の対価として扱われ、算定基礎に含めた上で、改めて残業代を全額支払う必要が生じます。会社側としては、固定残業代の位置づけを明確にし、算定基礎から正しく除外する運用を徹底することが不可欠です。固定残業代の制度設計・賃金規程の点検については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。
固定残業代の処理比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(制度無効化のリスク) |
|---|---|
| 残業代趣旨の手当を算定基礎から明確に除外する | 固定残業手当を含めた総額を基礎に割増計算する |
| 賞与・退職金算定基礎からも一貫して除外する | 固定残業手当を「基準内賃金」として扱う |
| 賃金規程・給与明細で残業代該当性を明示する | 名目だけ整え実質的な区分をしない |
04よくある質問(FAQ)
Q. なぜ労基則21条に「残業代趣旨の手当」が明記されていないのですか。
労基則21条が想定しているのは、扶養家族や通勤距離といった「労働とは直接関係のない個人的事情」に基づく手当です。残業代の趣旨で支給する手当は、そもそも「残業代の一部」であるため、あえて除外賃金として明記するまでもなく、当然に算定基礎から除かれるべきものと理解されています。
Q. 固定残業手当を賞与の算定基礎に含めることはできますか。
固定残業手当を賞与の算定基礎に含めることも、その手当が「残業代の趣旨」であることと矛盾する運用となり、固定残業代制度全体の有効性が問題視されるリスクがあります。賞与・退職金の算定基礎からも一貫して除外することをお勧めします。
Q. 自社の固定残業代制度が正しく運用されているか、どう確認すればよいですか。
賃金規程・雇用契約書での位置づけ、給与明細上の区分表示、割増賃金計算における算入・除外の扱い、賞与・退職金算定基礎での扱いを一貫して確認する必要があります。制度全体の整合性の点検は弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。固定残業代制度の設計・運用でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月11日