この記事の結論
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常時10人以上使用する場合は作成・届出義務あり。10人未満でも懲戒には必要

常時10人以上の労働者を使用する場合は、就業規則の作成と労基署への届出義務があります。10人未満でも、懲戒処分のためには就業規則の作成・周知が必要です。

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作成後は過半数代表者の意見聴取→届出→周知の手順で進める

就業規則の作成・変更後は、①過半数代表者の選出②意見聴取と意見書の受領③労基署への届出④労働者への周知という手順を踏む必要があります。

01就業規則の作成義務

 常時10人以上の労働者を使用する場合には、就業規則の作成義務と労働基準監督署への届出義務があります(労基法89条)。ここでいう労働者とは、正社員・パート・契約社員などの雇用形態を問わず、当該事業場で使用されている者をいいます。

 常時10人以上の労働者を使用していない場合であっても、懲戒処分をするためには就業規則を定めて周知させている必要があります(懲戒処分の有効要件については536番参照)。したがって、会社の規模に関係なく就業規則を作成する必要があります。

規模が小さくても就業規則は必要

10人未満の小規模な会社でも、懲戒処分を有効に行うためには、就業規則を定めて周知させていることが必要です。「小さな会社だから就業規則は不要」という考えは誤りです。

02(1)過半数代表者の選出

 就業規則を作成・変更する場合、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合に、ない場合は「過半数代表者」に意見を聴く必要があります(労基法90条)。

 過半数代表者は、当該事業場の労働者の全員が参加しうる投票または挙手等の方法によって選出します。もっとも、管理監督者は投票権はありますが、過半数代表者にはなれません。

過半数代表者選出の注意点

・全員参加可能な投票または挙手等の方法で選出する
・管理監督者は選出されることができない(ただし投票権はある)
・使用者が特定の者を指名することはできない(民主的な手続が必要)

03(2)過半数代表者への意見聴取と意見書の受領

 過半数代表者に意見を聴くことが要件ですので、賛成か反対かは関係ありません。就業規則の内容について意見を聴けば足りますので、反対の意見があっても、その意見を意見書に記載してもらうことで、届出の要件を満たします。

 過半数代表者には、意見を記した書面(意見書)を提出してもらいます。仮に、過半数代表者が書面の提出を拒んだ場合には、意見を聴いたことがわかる資料(意見聴取の記録・メール等)があれば足りると考えられています。

 意見書は、就業規則を労働基準監督署に届け出る際に添付する必要があります。

04(3)届出・周知

 常時10人以上の労働者を使用する場合は、就業規則(意見書を添付)を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

 作成・届出した就業規則は、次のいずれかの方法によって、労働者に周知させる必要があります(労基法106条)。

周知の方法(3種類のいずれか)

① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける
② 書面を労働者に交付する
③ 磁気ディスク等に記録し、それを常時確認できるよう機器を設置する

 「周知」は、就業規則が効力を持つための重要な要件であり、周知されていない就業規則は労働者を拘束する効力を持ちません(581番参照)。懲戒処分の有効性においても、就業規則の周知は不可欠な要件です。就業規則を更新した際も、改めて周知手続を行うことが重要です。

経営上のポイント 就業規則の作成・変更の手順は、①就業規則の作成→②過半数代表者の民主的な選出(管理監督者は不可)→③意見聴取と意見書の受領(賛否は問わない・拒否された場合は記録で代替可)→④労基署への届出(意見書添付)→⑤労働者への周知(掲示・書面交付・電子記録のいずれか)です。規模にかかわらず、懲戒処分には就業規則の定めと周知が必要です。弁護士・社労士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 就業規則に必ず記載しなければならない事項はありますか。

A. 労基法89条は、就業規則に必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」として、①始業・終業の時刻・休憩時間・休日・休暇・労働者を2組以上に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項②賃金の決定・計算・支払いの方法・賃金の締切・支払い時期・昇給に関する事項③退職に関する事項(解雇の事由を含む)を定めています。また、退職手当・臨時の賃金・安全衛生・職業訓練・災害補償・表彰・制裁(懲戒)等について定める場合は記載が必要な「相対的必要記載事項」もあります。

Q2. 過半数代表者が就業規則の内容に反対したら、就業規則は効力を持ちませんか。

A. 過半数代表者の意見聴取は義務ですが、賛成を得ることは要件ではありません。代表者が反対であっても、意見を記した書面(「反対」と記載されたものでも可)を受領して届出を行えば、手続上の要件は満たします。ただし、過半数代表者の反対意見は就業規則の内容の合理性判断において考慮されることがありますので、その意見を真摯に受け止めることが重要です。

Q3. 就業規則を変更した場合も、同じ手順が必要ですか。

A. はい。就業規則の変更においても、過半数代表者(または過半数組合)への意見聴取→意見書の受領→労基署への届出→周知という同じ手順が必要です。特に、労働者に不利益な変更(賃金引下げ・労働時間延長等)については、手続だけでなく変更の合理性も問われますので(労契法10条・581番参照)、慎重に進めてください。

最終更新日:2026年2月25日


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