採用差別とならないためには,どのようなことに注意すべきですか。
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能力等に無関係な事項・思想信条等を尋ねず、これらを理由に採否を決めない 戸籍・家庭環境に関する事項、思想信条・宗教観・社会運動等に関する事項を尋ねず、これらを理由に採用・不採用としないようにする必要があります。 |
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身元調査・不必要な健康診断・性別によって異なる選考方法も避ける 身元調査や不必要な健康診断の実施、性別によって異なる選考基準・方法を設けることも避けるようにする必要があります。 |
01尋ねてはいけない事項・採否に使ってはいけない情報
採用差別とならないためには、応募者の能力等に無関係な事項を尋ねず、これらを理由に採用・不採用としないようにする必要があります。具体的には次の2種類の事項が問題となります。
① 戸籍・生活環境・家庭環境に関する事項
本籍・出生地・国籍・家族の職業・地位・資産・続柄・住宅の状況(持ち家か借家か等)・生活環境や家庭環境に関する事項など。これらは、就職差別を生む典型的な情報として、収集・活用が禁じられています。
② 思想信条等に関する事項
宗教観・政治観・支持政党・社会運動(労働組合活動等)への参加歴など。思想・信条・宗教は、憲法19条・20条で保障された内心の自由の領域であり、これを採用選考の判断材料とすることは許されません。
これらの事項を尋ねること自体が問題であり、仮に応募者が自発的に答えた場合でも、それを採否の判断に使用しないことが重要です。
02避けるべき選考方法
採用差別を避けるためには、次のような選考方法も避けるようにする必要があります。
避けるべき選考方法
・身元調査(家族・親戚の職業・地位・前科・借金等の調査)
・不必要な健康診断(採用選考と関係のない疾病・障害に関する検査)
・性別によって異なる選考基準・選考方法(男女で異なる筆記試験・面接基準を設ける等)
性別による異なる取扱いについては、雇用機会均等法(男女雇用機会均等法5条)により、募集・採用において性別を理由とする差別的取扱いが禁止されています。女性のみを対象とした採用選考や、男女で異なる採用基準を設けることは違法となります。
なお、障害を理由とする採用差別については、障害者雇用促進法も関係しますので、障害のある応募者の選考に際しては別途確認が必要です。
03会社経営者が取るべき実務上の対応
採用選考における差別を防ぐためには、応募書類(エントリーシート・履歴書)の設計と面接での質問内容を事前に整理することが重要です。特に面接担当者が不適切な質問をしないよう、事前に面接で聞いてよい質問・聞いてはいけない質問をリストアップして共有しておくことをお勧めします。
採用選考の基準は、業務遂行能力・経験・スキル・意欲など、職務に直接関係する事項に基づくものとし、その基準が客観的に説明できる状態にしておくことが重要です。採用差別を理由とした損害賠償請求や行政への申告・指導を避けるためにも、選考プロセスを文書化し、透明性を確保しておくことが望ましいといえます。採用選考のルール整備については、使用者側弁護士・社会保険労務士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 応募者の国籍を面接で確認してもよいですか。
A. 国籍を採否の判断材料とすることは、国籍差別として問題となります。ただし、就労資格(在留資格)の確認は、外国人を雇用する場合に不法就労を防ぐために必要な確認です。国籍を理由に採否を決めること(差別)と、就労資格の確認(法令上の義務)は区別して考える必要があります。就労資格の確認は適法ですが、日本国籍でないことを理由に不採用にすることは差別となります。
Q2. 採用前に健康診断を行うことはできますか。
A. 採用前の健康診断については、業務遂行上必要な範囲での実施は認められています。ただし、採用に関係のない疾病・障害(HIV感染の有無等)の検査を行うことや、その結果を採否の判断材料とすることは許されません。採用前の健康診断実施には慎重な検討が必要です。具体的に実施が必要な場合は、弁護士に事前確認することをお勧めします。
Q3. 前の会社を訴えている(訴訟中の)応募者を不採用にすることはできますか。
A. 前職での訴訟履歴は、職務能力とは直接関係のない事項です。「訴訟を起こしやすい人物だから」という理由での不採用は、採用差別として問題になる可能性があります。採用の基準はあくまで職務遂行能力・経験・意欲等に基づくべきであり、訴訟履歴を採否の決め手とすることは避けるべきです。採用判断の根拠を客観的に説明できる状態にしておくことが重要です。
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最終更新日:2026年2月25日