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実労働時間が8時間以内であれば割増賃金は不要 30分遅刻・30分残業の場合、実労働時間は8時間です。法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えていないため、就業規則等に規定がない限り、割増賃金(時間外割増賃金)を支払う必要はありません。 |
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ただし、遅刻分の欠勤控除と残業分30分の賃金支払は別問題 割増賃金の問題とは別に、遅刻した30分についての欠勤控除(ノーワーク・ノーペイ)と、終業後に働いた30分の通常賃金の支払いは、それぞれ必要です。 |
01割増賃金が必要な場合(実労働時間が法定時間超過の場合)
残業代(割増賃金)を支払う必要があるのは、法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて労働をした場合です。ここでいう「労働時間」とは実労働時間のことをいいます。
実労働時間とは、実際に労働した時間の合計であり、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いたものです。遅刻・早退等があった場合は、実際に就労した時間で計算します。
02ご質問のケースの整理
ご質問のケース(所定8時間・30分遅刻・終業後30分残業)の場合、実労働時間は8時間であり、法定労働時間(1日8時間)を超えていません。そのため、就業規則等で規定していない限り、時間外割増賃金を支払う必要はありません。
ご質問のケースの実労働時間計算
| 所定労働時間 | 8時間 |
| 遅刻した時間 | - 30分 |
| 終業後に働いた時間 | + 30分 |
| 実労働時間 | = 8時間(法定時間内) |
→ 実労働時間が法定時間(1日8時間)以内のため、割増賃金(時間外割増)は不要
就業規則等に「所定労働時間を超えた場合にも時間外割増賃金を支払う」という規定がある場合は、その規定に従う必要があります。規定がない場合は、法定時間内の残業(法内残業)については割増賃金の支払義務はありません(法内残業については584番参照)。
03遅刻控除と残業分の通常賃金について
割増賃金の問題とは別に、次の2点について注意が必要です。
まず、遅刻した30分についての欠勤控除(ノーワーク・ノーペイの原則)の問題です。遅刻した30分は就労していない時間ですので、その時間に対応する賃金は支払義務がなく、欠勤控除をすることが可能です。
次に、終業後に働いた30分の通常賃金の問題です。この30分は実際に就労した時間ですので、割増はなくとも通常の賃金(時間単価×30分)の支払いは必要です。法内残業については、割増はなしでも無報酬にはできません(584番参照)。
実務上は、就業規則に遅刻・残業の取扱い(欠勤控除の方法・法内残業の賃金等)を明確に定めておくことで、計算のルールと労使間の共通理解を確保することが重要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 所定8時間で、1時間遅刻・2時間残業した場合、残業代は何時間分必要ですか。
A. 実労働時間は8時間+1時間(遅刻1時間を除くと7時間+残業2時間)=9時間です。法定時間(8時間)を1時間超えていますので、超過した1時間分について25%以上の割増賃金が必要です。残業2時間のうち1時間は法内残業(8時間以内)、残り1時間が法外残業(8時間超)という整理になります。法内残業1時間については通常賃金(割増なし)、法外残業1時間については割増賃金(25%以上)を支払う必要があります。
Q2. 就業規則に「所定労働時間を超えた場合には割増賃金を支払う」と定めている場合はどうなりますか。
A. 就業規則に「所定時間超の労働に対して割増賃金を支払う」と定めている場合は、法定時間内の法内残業(所定8時間超・法定8時間以内の部分)についても、就業規則の定めに従って割増賃金を支払う義務が生じます。ただし、この割増率は法定の25%(時間外)・35%(休日)以上である必要はなく、就業規則に定めた割増率で構いません。就業規則の規定内容を確認することが重要です。
Q3. 遅刻した従業員に「早く帰ってよい」と言いましたが、残業された場合、その残業代は支払わないといけませんか。
A. 残業は会社の指示または承認のもとに行われることが原則です。明示的に「残業しなくてよい」と伝えたにもかかわらず従業員が自発的に残業した場合、その残業が会社の黙示的な指示・承認と評価されるかどうかが問題になります。明示的に禁止・帰宅を促したにもかかわらず居残った場合は、残業として認められないケースもありますが、実際には業務量等の事情から認められてしまうこともあります。残業管理のルールを就業規則に明確に定めることが重要です。
最終更新日:2026年2月25日