この記事の結論
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「心理的負荷による精神障害の認定基準」(厚労省・平成23年)に基づき認定される

労働基準監督署は、平成23年12月23日に厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に沿って、うつ病などの精神疾患の労災認定を行っています。

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認定の3要件:①対象疾患の発病②発病前6か月の強い業務上の心理的負荷③業務外要因によらないこと

認定要件は①認定基準の対象となる精神障害を発病していること②発病前おおむね6か月間に業務による強い心理的負荷が認められること③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないことです。

01精神疾患の労災認定の根拠となる認定基準

 労働基準監督署は、平成23年12月23日に厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に沿って、うつ病などの精神疾患の労災認定を行っています。

 この認定基準は、業務によって生じた心理的負荷が原因で発病した精神障害を、業務災害(労災)として認定するための要件を定めたものです。従来は判断が不透明だった精神疾患の労災認定について、認定要件と心理的負荷の強度の評価方法を明確にしたものとして重要な意義を持ちます。

02認定の3要件

 「心理的負荷による精神障害の認定基準」は、労災認定の要件として、次の3つを挙げています。

精神疾患の労災認定の3要件

① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
うつ病・急性ストレス反応・適応障害・外傷後ストレス障害(PTSD)等、認定基準が対象とする精神障害を実際に発病していることが必要です。単に精神的にきつい・ストレスを感じているというだけでは足りません。

② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
発病前のおおむね6か月間に、業務に関連した出来事(長時間労働・ハラスメント・事故・大きなミス等)による強い心理的負荷があったことが必要です。認定基準では、業務上の出来事ごとに心理的負荷の強度を評価する「業務による心理的負荷評価表」が定められています。

③ 業務以外の心理的負荷や、個体側要因により発病したとは認められないこと
業務外の出来事(家庭問題・経済的問題・人間関係等)や、本人の素因(もともとの精神的脆弱性等)だけが原因で発病したものではないこと、すなわち業務上の原因が発病に寄与していることが必要です。

 これら3要件をすべて満たす場合に、精神疾患が業務災害として労災認定されます。特に②の「業務による強い心理的負荷」については、認定基準の評価表に基づいて各出来事の負荷の強度が「弱」「中」「強」で評価されます。長時間労働や職場でのハラスメントは、「強」に該当することが多い典型的な出来事です。

03会社経営者が取るべき実務上の対応

 精神疾患で休職した社員が労災申請を行った場合、労働基準監督署による調査が開始されます。会社側は、労働時間の記録(タイムカード・PCログ等)・業務日誌・メール・ハラスメントの有無等について調査への対応を求められます。

 また、労災が認められた場合でも、会社側の安全配慮義務違反(長時間労働の放置・ハラスメント対策の不備等)が認められると、別途、民事上の損害賠償責任を問われる可能性があります。

 精神疾患による労災申請への対応は、労基署への対応と民事責任の問題が複雑に絡み合うため、早期に使用者側弁護士に相談することをお勧めします。また、平素から過重労働・ハラスメントの防止措置を整備しておくことが重要なリスク管理です。

経営上のポイント 精神疾患の労災認定は「心理的負荷による精神障害の認定基準」(厚労省平成23年)に基づき行われます。認定要件は①認定対象精神障害の発病②発病前おおむね6か月の業務による強い心理的負荷③業務外要因・個体側要因のみによる発病でないことです。長時間労働・ハラスメントは「強」の心理的負荷として認定される典型例です。労災申請への対応は弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 社員がうつ病で休職しました。会社として何をすべきですか。

A. まず、就業規則の私傷病休職の規定に従って休職命令・休職期間の設定・休職中の連絡方法等を確認・整備することが重要です。次に、当該社員の発病原因に業務上の要因(長時間労働・ハラスメント等)がないかを確認し、あれば安全配慮義務の観点からの対応も必要です。また、復職判断については、主治医の意見・産業医の意見・本人の状態を総合して慎重に行うことが求められます。対応に迷う場合は弁護士に相談することをお勧めします(私傷病休職期間中の賃金については604番参照)。

Q2. 労災と認定されると、会社の保険料は上がりますか。

A. 労働保険(労災保険)では、一定規模以上の会社について、業種ごとの保険料率に加え、会社ごとの労災の発生状況に応じて保険料率が増減する「メリット制」が適用されます。労災認定件数が増えると翌々年度の保険料率が上がる可能性があります。ただし、メリット制の適用には規模要件があり、中小零細企業には適用されない場合もあります。詳細は所轄の労働局・労働基準監督署に確認することをお勧めします。

Q3. 精神疾患の労災認定と会社に対する損害賠償請求はどのような関係にありますか。

A. 労災認定と民事上の損害賠償請求は別の制度です。労災認定は、業務と発病の因果関係を認定して労災保険給付を行うものです。民事上の損害賠償(安全配慮義務違反・不法行為による損害賠償)は、会社の過失(過重労働の放置・ハラスメント対策の不備等)が認められる場合に、労災保険給付で補填されない損害(慰謝料・逸失利益等)について別途会社に請求されるものです。労災認定があっても民事責任が生じない場合もあり、逆に労災認定がなくても民事責任が問われることもあります。

最終更新日:2026年2月25日


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