この記事の結論
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訴状とみなされるのは、申立書と、変更があった場合のその期日の調書

労働審判事件が訴訟に移行したとき、訴状とみなされるのは、労働審判手続の申立書と、申立ての趣旨又は理由が変更された場合における、その労働審判期日の調書です(労働審判法22条3項・労働審判規則32条)。

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会社側の答弁書や証拠は、当然には訴訟に引き継がれない

訴状とみなされるのは申立書等であり、会社側が提出した答弁書や証拠は当然には訴訟に引き継がれません。訴訟では、あらためて答弁書や証拠を提出する必要があります。

 労働審判事件が訴訟に移行したときに何が訴状とみなされるのかは、労働審判法22条3項と労働審判規則32条に定められています。結論として、訴状とみなされるのは、労働審判手続の申立書と、申立ての趣旨又は理由が変更された場合における、その労働審判期日の調書です。

 会社側専門の弁護士の立場から、訴訟移行の際に何が訴状として扱われるのか、そして会社側が注意すべき点を解説します。

01訴状とみなされるもの(労働審判法22条3項・規則32条)

 労働審判法22条3項は、訴えの提起があったものとみなされたときは、民事訴訟法137条・138条・158条の適用について、労働審判手続の申立書(同法5条2項の申立書)を訴状とみなすと定めています。あわせて、労働審判規則32条は、民事訴訟規則56条から58条までの適用について、労働審判手続の申立書、規則26条1項の書面、及び労働審判手続の期日において口頭で申立ての趣旨又は理由が変更された場合における、その期日の調書を訴状とみなすと定めています。

 これらを踏まえると、労働審判事件が訴訟に移行した際に訴状とみなされるものは、労働審判手続の申立書と、申立ての趣旨又は理由が変更された場合には、その変更がされた労働審判期日の調書を指すと考えられます。申立書に記載された請求内容が、そのまま訴訟の出発点となります。

02変更が許されなかった変更申立書の扱い

 申立ての趣旨又は理由の変更が許されなかった場合には、その変更申立書に記載された新たな申立ては、労働審判の対象にはなりません。そのため、この変更申立書は、労働審判規則32条にいう「26条1項の書面」には該当しないものと考えられます。すなわち、許可されなかった変更の内容は、訴訟に移行しても訴状とはみなされず、当初の申立書等の内容が訴訟の対象となります。

03答弁書・証拠は当然には引き継がれない

 ここで会社側が注意すべきなのは、訴状とみなされるのは申立書等であり、会社側が労働審判で提出した答弁書や証拠は、当然には訴訟に引き継がれないという点です。訴訟に移行した後は、被告となる会社側は、あらためて答弁書を提出しなければなりません。また、労働審判で提出した証拠(書証など)や、労働審判の審判書を訴訟でも用いたい場合には、あらためて証拠として提出する必要があります。労働審判の記録がそのまま訴訟に流用されるわけではない、という点に注意が必要です。

経営者が見落としやすいポイント

「労働審判で出した答弁書や証拠は、訴訟でもそのまま使われる」と考えるのは誤りです。訴訟移行後は、会社側が答弁書と証拠をあらためて提出する必要があります。労働審判の段階で作成した主張・立証が、訴訟でも通用する完成度になっていれば、移行後の対応もスムーズになります。

04会社側が押さえておくべき視点

 訴状とみなされるのが申立書等であるということは、訴訟の枠組みが、労働審判の申立ての内容によって定まるということを意味します。会社側としては、訴訟に移行した場合に、どの請求について争うことになるのかを、申立書の内容から正確に把握しておく必要があります。そのうえで、答弁書と証拠をあらためて整えることになります。労働審判の段階から、訴訟移行を見据えて主張・立証を組み立てておけば、移行後に一から準備し直す負担を抑えることができます。訴訟移行後の見通しを含めた対応方針は、会社側専門の弁護士に相談しながら進めることが安心です。

05よくある質問(FAQ)

Q. 訴訟に移行すると、何が訴状として扱われますか。

労働審判手続の申立書と、申立ての趣旨又は理由が変更された場合における、その労働審判期日の調書が訴状とみなされます(労働審判法22条3項・労働審判規則32条)。申立書の請求内容が、そのまま訴訟の出発点となります。

Q. 労働審判で提出した答弁書や証拠は、訴訟でもそのまま使われますか。

当然には引き継がれません。訴状とみなされるのは申立書等であり、会社側は訴訟であらためて答弁書を提出する必要があります。労働審判で出した証拠や審判書を訴訟で用いたい場合も、あらためて証拠として提出することになります。

Q. 許可されなかった申立ての変更は、訴訟でどう扱われますか。

変更が許されなかった場合、その変更申立書に記載された新たな申立ては労働審判の対象にならず、労働審判規則32条の書面には該当しないと考えられます。したがって、訴訟に移行しても訴状とはみなされず、当初の申立書等の内容が訴訟の対象となります。

経営上のポイント 労働審判事件が訴訟に移行したとき、訴状とみなされるのは、労働審判手続の申立書と、申立ての趣旨又は理由が変更された場合のその期日の調書です(労働審判法22条3項・労働審判規則32条)。申立ての変更が許されなかった場合、その変更申立書は規則32条の書面に該当せず、訴状とはみなされません。重要なのは、会社側が提出した答弁書や証拠が当然には訴訟に引き継がれない点で、訴訟ではあらためて答弁書・証拠を提出する必要があります。したがって、労働審判の段階から、訴訟でも通用する主張立証を組み立てておくことが、移行後の負担軽減につながります。訴訟移行を見据えた対応は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判から訴訟への移行を見据えた対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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