この記事の結論
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訴訟に移行するのは、①異議申立て、②取消決定、③事件終了の3つ

労働審判事件が訴訟に移行するのは、①労働審判に対する異議の申立て、②労働審判の取消決定、③労働審判事件の終了の3つのケースです。いずれも、訴えの提起があったものとみなされます。

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最も多いのは異議申立て。会社側は移行を見据えた対応が重要

実務上多いのは、労働審判に対する異議申立てによる移行です。異議があれば労働審判は失効し、申立時に訴え提起があったものとみなされます(労働審判法22条1項)。会社側は、当初から訴訟移行の可能性を見据えて対応する必要があります。

 労働審判事件が訴訟に移行するのは、①労働審判に対する異議の申立て、②労働審判の取消決定、③労働審判事件の終了の3つのケースです。いずれの場合も、あらためて訴えを提起し直すのではなく、法律上、訴えの提起があったものとみなされる仕組みになっています。

 会社側専門の弁護士の立場から、3つのケースそれぞれの内容と、訴訟移行を見据えた会社側の対応を解説します。

01訴訟に移行する3つのケース

訴訟に移行する3つのケース
労働審判に対する異議の申立て(労働審判法21条・22条1項)
労働審判の取消決定(労働審判法23条・23条2項)
労働審判事件の終了(労働審判法24条1項・24条2項)

02(1)異議の申立てによる訴え提起

 労働審判に対して、当事者から適法な異議の申立てがなされた場合、労働審判は効力を失います(労働審判法21条3項)。そして、労働審判手続の申立てに係る請求については、当該労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所に、労働審判手続の申立ての時に訴えの提起があったものとみなされます(同22条1項)。実務上、訴訟移行の多くはこのケースです。異議の申立ては、労働審判の告知等を受けた日から2週間以内にしなければならず、この期間内に異議がなければ労働審判は確定します。

03(2)取消決定による訴え提起

 労働審判の審判書を送達すべき場合において、民事訴訟であれば公示送達によることとなるような事由があるときには、裁判所は、決定により労働審判を取り消さなければなりません(労働審判法23条)。この労働審判を取り消す決定が確定した場合には、労働審判法22条が準用され(同23条2項)、①と同様に、訴えの提起があったものとみなされます。相手方の所在が不明で審判書を通常の方法で送達できないような場合が、これに当たります。

04(3)労働審判事件の終了による訴え提起

 労働審判委員会は、事案の性質に照らし、労働審判手続を行うことが紛争の解決に適当でないと認めるときは、労働審判事件を終了させることができます(労働審判法24条1項。いわゆる「24条終了」)。争点が複雑で、限られた期日の中では審理を尽くせないような事案が、これに当たります。この規定により労働審判事件を終了させた場合も、労働審判法22条が準用され(同24条2項)、訴えの提起があったものとみなされます。

05会社側が押さえておくべき視点

 労働審判は、当事者の一方が異議を申し立てれば訴訟に移行するため、会社側としては、労働審判の段階から、訴訟移行の可能性を見据えて対応することが重要です。労働審判で不利な内容の審判が示されそうな場合には、異議を申し立てて訴訟で争うのか、それとも調停・審判の内容を受け入れるのかを、経営判断として検討することになります。

経営者が見落としやすいポイント

訴訟に移行した際、労働審判の記録のうち訴状とみなされるのは申立書などに限られ、会社側が提出した答弁書や証拠は当然には訴訟に引き継がれません。訴訟では、あらためて答弁書の提出や証拠の提出が必要になります。したがって、労働審判の段階から、訴訟でも通用する主張・立証を組み立てておくことが、移行後の負担軽減につながります。

06よくある質問(FAQ)

Q. 労働審判が訴訟に移行するのは、どのような場合ですか。

①労働審判に対する異議の申立て、②労働審判の取消決定、③労働審判事件の終了(24条終了)の3つのケースです。いずれの場合も、訴えの提起があったものとみなされます。実務上多いのは、①の異議申立てによる移行です。

Q. 異議を申し立てると、あらためて訴訟を起こす必要がありますか。

必要ありません。適法な異議の申立てがあれば労働審判は失効し、労働審判手続の申立ての時に、事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます(労働審判法22条1項)。あらためて訴えを起こし直す必要はありません。

Q. 「24条終了」とは何ですか。

労働審判委員会が、事案の性質に照らし、労働審判手続を行うことが紛争の解決に適当でないと認めるときに、労働審判事件を終了させることをいいます(労働審判法24条1項)。この場合も、訴えの提起があったものとみなされます(同24条2項)。

経営上のポイント 労働審判事件が訴訟に移行するのは、①労働審判に対する異議の申立て(労働審判法21条・22条1項)、②労働審判の取消決定(同23条・23条2項)、③労働審判事件の終了=24条終了(同24条1項・24条2項)の3つのケースで、いずれも訴えの提起があったものとみなされます。実務上多いのは①で、適法な異議があれば労働審判は失効し、申立時に訴え提起があったものとみなされます。会社側としては、当事者の一方が異議を申し立てれば訴訟に移行することを前提に、労働審判の段階から、審判の内容を受け入れるか異議を申し立てて訴訟で争うかを経営判断として検討する必要があります。移行後は答弁書・証拠をあらためて提出することになるため、労働審判の段階から訴訟でも通用する主張立証を組み立てておくことが有効です。対応方針は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判から訴訟への移行を見据えた対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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