労働問題917 就業規則の不利益変更の合理性が肯定された裁判例を教えて下さい。

 賃金制度を年功序列型から成果主義型に変更した給与規程(就業規則)の効力が争われたノイズ研究所事件(東京高裁平成18年6月22日判決)をご紹介します。
 本件の成果主義賃金制度は、労働生産性を高めて企業の国際競争力を強化することを目指して導入したものであり、「高度の経営上の必要性」があり、変更内容も賃金原資総額を減少させるものではなく賃金原資の分配方法をより合理的なものに改めようとするもので、どの従業員も自己研鑽により昇格・昇級しうる機会が与えられていること、従業員への周知、組合との団体交渉の経過、経過措置などを総合考慮し、給与規程の変更による本件賃金制度の変更には合理性があると判断しました。
 もっとも、代償措置、経過措置に対する判断の違いから、第一審では合理性を否定されました。具体的には、本件で定められていた代償措置、経過措置は、従前の給料を下回る者については、1年目は下回った額の100%、2年目は50%、3年目以降はゼロというもので、第一審は「2年間は余りに短く、減少額も急激であって、代償措置としては不十分である。」と説示し、合理性を否定しました。しかし、控訴審は「経過措置は、いささか性急なものであり、柔軟性に欠ける嫌いがないとはいえないのであるが、それなりの緩和措置としての意義を有する」として、合理性を肯定しました。
 重要なポイントは、賃金制度の内容が成果主義・能力主義に見合ったものとなっているかという点です。成果主義とする以上、昇格・昇給について平等な機会が与えられる必要があり、ある一部の労働者(例えば高年齢層)についてのみ不利益が及ぶということがないよう注意しましょう。

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