労働問題813 在職中の従業員による引き抜き行為が誠実義務違反と評価されるのはどのようなケースですか?

 在職中の従業員による引き抜き行為は、競業そのものではありませんが、裁判例上、競業と同じく、従業員の誠実義務違反と評価され得ると考えられています(フレックスジャパン対アドバンテック事件東京地裁平成14年9月11日判決)。この裁判例では、在籍中の従業員による引き抜きが単なる転勤の勧誘である場合には行為者の法的責任は発生せず、企業の正当な利益を考慮することなく、企業に移籍計画を秘して、大量に従業員を引き抜くなど、単なる勧誘の範囲を超え、著しく背信的な方法で行われ、社会的相当性を逸脱した場合には、行為者の債務不履行責任ないし不法行為責任が発生するとしています。また、転職の勧誘が、引き抜きの対象となっている従業員が在籍する企業の幹部職員によって行われた場合について、企業の正当な利益を侵害しないようしかるべき配慮がされている限り、これをもって雇用契約の誠実義務に違反するものということはできないとし、やはり、上記の場合に該当しなければ債務不履行責任ないし不法行為責任は発生しないとしています。
 なお、この裁判例は、社会的相当性を逸脱する引き抜きか否かを判断する際には、次の点を考慮すべきであると述べています。
 ① 引き抜かれた従業員の当該会社における地位
 ② 引き抜かれた人数
 ③ 従業員の引き抜きが会社に及ぼした影響
 ④ 引き抜きの際の勧誘方法・態様等の諸般の事情

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