労働問題569 組合員が就業時間中に組合活動をすることは,労働組合の正当な行為といえますか。
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就業時間中の組合活動は、原則として正当な行為とはいえない 労働者は就業時間中に職務に専念すべき義務(職務専念義務)を負います。そのため、組合員が就業時間中に組合活動をすることは、原則としてこの義務や就業規則に反し、正当性は否定されます。 |
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例外的に正当性が認められる3つの場合 ①就業規則や労働協約上の許容規定がある場合、②慣行上許されている場合、③使用者の許諾がなされている場合には、例外的に就業時間中の組合活動の正当性が肯定されます。 |
01就業時間中の組合活動の原則(正当性は否定される)
労働者は、労働契約上の義務として、就業時間中は職務に専念すべき義務(職務専念義務)を負います。そのため、組合員が就業時間中に組合活動をすることは、原則としてこの義務ないしはこれを規定した就業規則に反し、「労働組合の正当な行為」(労組法7条1号)とは認められません。したがって、原則として、就業時間中の組合活動に対して、会社が制限を加えたり、参加した組合員を懲戒処分の対象としたりすることは、不当労働行為にはなりません。
この原則は、組合活動の自由が否定されるわけではなく、就業時間外や休憩時間における組合活動は、別途、正当性の有無が判断されます。問題となるのは、あくまで「就業時間中」の組合活動です。
ただし、この原則には以下に述べる例外があり、例外に当たる場合には就業時間中の組合活動も正当性が認められます。会社経営者としては、この例外の有無を的確に判断することが重要です。
02例外的に正当性が認められる3つの場合
就業規則や労働協約上の許容規定がある場合、慣行上許されている場合、使用者の許諾がなされている場合には、労働義務の内容が修正され、就業時間中の組合活動が許され、正当性は肯定されることになります。
就業時間中の組合活動が例外的に許される場合
① 就業規則や労働協約上の許容規定がある場合
就業規則や労働協約に「組合員が就業時間中に組合活動を行うことを認める」旨の規定がある場合、その範囲内で就業時間中の組合活動は許容されます。
② 慣行上許されている場合
就業規則等に明示的な規定がなくても、長期間にわたって就業時間中の特定の組合活動が黙認・容認されてきた慣行がある場合には、例外的に正当性が認められることがあります。
③ 使用者の許諾がなされている場合
会社が個別に、または都度、就業時間中の組合活動を許諾した場合には、その範囲で正当性が認められます。
これら3つの例外が認められる場合には、就業時間中の組合活動であっても「労働組合の正当な行為」に当たるため、これを理由に懲戒処分等の不利益取扱いをすることは、不当労働行為となる可能性があります。
03会社経営者が注意すべき実務上のポイント
就業時間中の組合活動の正当性を判断するにあたり、会社経営者として押さえておくべき点があります。
第一に、自社の就業規則や労働協約の内容を確認することです。就業時間中の組合活動を許容する規定がある場合には、その範囲内では組合活動が正当な行為とされますので、制限や懲戒の対象とすることはできません。
第二に、慣行の有無を注意深く確認することです。長年にわたって就業時間中の特定の組合活動(例えば、会社内での組合ビラ配布、短時間の組合集会等)を事実上黙認してきた場合、その慣行が「慣行上許されている場合」と評価される可能性があります。一旦形成された慣行をなくすことは容易ではありませんので、注意が必要です。
第三に、使用者の許諾を行う場合には、その都度、範囲・内容を明確にしておくことです。漫然と個別の組合活動を認め続けることが慣行の形成につながる場合もありますので、許諾を行う際には範囲を明示することが重要です。就業時間中の組合活動をめぐる問題は、不当労働行為の主張と絡むことが多いため、具体的な対応に迷う場合には、使用者側弁護士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 就業時間中に組合員が社内でビラを配布していました。禁止・中止させることはできますか。
A. 就業時間中のビラ配布は、原則として職務専念義務に反する行為として、会社は禁止・中止を命じることができます。ただし、就業規則や労働協約に許容規定がある場合、長年の慣行として黙認されてきた場合、会社が許諾した場合には、例外的に正当性が認められ、制限が難しくなります。自社の就業規則・協約内容と過去の対応実績を確認したうえで判断することが重要です。
Q2. 休憩時間中の組合活動も、就業時間中の組合活動と同様に扱われますか。
A. 休憩時間は、労働からの解放が保障された自由時間(労基法34条3項)であり、就業時間中とは異なります。休憩時間中に、社外での組合活動を行うことは、原則として自由です。ただし、会社施設内での組合活動(ビラ配布・集会等)については、施設管理権との関係から一定の制約が生じることがあります。休憩時間中の組合活動は、就業時間中と同列には扱えませんが、施設利用に関するルールとの兼ね合いで検討が必要です。
Q3. 就業時間中の組合活動を理由に懲戒処分をする場合、注意すべき点はありますか。
A. 原則として就業時間中の組合活動は職務専念義務違反ですが、懲戒処分をする前に、例外的な許容事由(就業規則・協約の規定、慣行、使用者の許諾)の有無を確認する必要があります。許容事由がある場合に懲戒処分を行うと、不当労働行為(不利益取扱い)として問題となります。また、懲戒処分の有効性については、就業規則の規定・比例原則・手続の適正なども問われます(懲戒処分の有効要件は536番参照)。具体的な対応は弁護士に相談することをお勧めします。
最終更新日:2026年2月25日