労働問題391 少数組合の組合員など労働協約の効力が及ばない社員に対し平均賃金の60%の休業手当を超えて賃金を支払う必要があるかどうかについては、従来、どのような問題として争われてきましたか。
少数組合の組合員など労働協約の効力が及ばない社員に対し平均賃金の60%の休業手当を超えて賃金を支払う必要があるかどうかについては、従来、民法536条2項の「使用者の責めに帰すべき事由」の存否の問題として争われてきました。
例えば、いすゞ自動車事件宇都宮地裁栃木支部平成21年5月12日決定は、使用者が労働者の正当な(労働契約上の債務の本旨に従った)労務の提供の受領を明確に拒絶した場合(受領遅滞に当たる場合)に、その危険負担による反対給付債権を免れるためには、その受領拒絶に「合理的な理由がある」など正当な事由があることを主張立証すべきであり、その合理性の有無は、具体的には、使用者による休業によって労働者が被る不利益の内容・程度、使用者側の休業の実施の必要性の内容・程度、他の労働者や同一職場の就労者との均衡の有無・程度、労働組合等との事前・事後の説明・交渉の有無・内容、交渉の経緯、他の労働組合又は他の労働者の対応等を総合考慮して判断すべきものとしています。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎