Q1008 「業務上の必要性」が肯定されるのはどのような場合ですか?

 転勤命令の有効性が争われた東亜ペイメント事件(最高裁第二小法廷昭和61年7月14日判決)では、「業務上の必要性」について、「当該転勤先への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。」と述べており、「業務上の必要性」は比較的緩やかに考えられていることが分かります。
 たとえば、全国に支店を有する会社の定期人事異動や、ローテーション人事の一環としてなされた配転命令の場合には、業務上の必要性が認められやすいと考えます。
 上記裁判例以外にも、人選基準を設け、当該基準に基づいて異動対象者を選定した事案(ケンウッド事件最高裁第三小法廷平成12年1月28日判決)、大量の余剰人員の解消及び異動先の人員倍増の必要性が高かった事案(川崎重工業事件最高裁第三小法廷平成4年10月20日判決)について、裁判所は、業務上の必要性を肯定しています。 

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