無期契約における辞職と、有期契約における辞職は、どのように違いますか。
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無期契約は2週間前の予告で、いつでも辞職できる 無期契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けばいつでも辞職が可能です。過度に長期の予告期間を就業規則で定めても、辞職の自由を制限するものとして公序良俗に反し無効と判断されるおそれがあります。 |
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有期契約の辞職も、多くの会社では無期契約と同様に運用されている 民法は有期契約の期間途中の辞職を「やむを得ない事由」がある場合に限定していますが、労契法はこの規定を使用者に対してのみ強行規定化しており、労働者に対する関係では任意規定と考えられています。 |
目次
有期契約社員から「契約期間の途中で辞めたい」と申し出があった場合、会社としてどう対応すべきでしょうか。無期契約と有期契約とでは、辞職に関するルールが異なるため、正確な理解が必要です。
会社側専門の弁護士の立場から、無期契約と有期契約における辞職の違いを解説します。
01辞職とは
辞職とは、労働者の一方的な意思に基づく労働契約の解約をいいます。757の記事で解説した合意解約の申込みとは異なり、辞職は労働者の単独行為であり、使用者の承諾を要さずに、意思表示が使用者に到達した時点で効力が生じます。
02無期契約の辞職(2週間の予告期間)
無期契約においては、労働者は2週間の予告期間をおけば、いつでも辞職が可能となっています。予告期間の延長合意の有効性については争いがありますが、就業規則で予告期間を30日に指定して運用している会社もあります。
しかし、過度に長期の予告期間を設けることは、労働者の辞職の自由を制限することになり、公序良俗に反し無効と判断されるおそれがあります。就業規則で予告期間を定める場合には、法定の2週間から大きく乖離した長期の期間を設定しないよう注意が必要です。
03有期契約の辞職(民法上の原則)
これに対し、民法は、有期契約における期間途中の辞職または解雇を「やむを得ない事由」がある場合に限定しています。有期契約は、当事者双方が一定期間の契約継続を前提に合意したものであるため、期間途中での一方的な離脱を制限する趣旨です。
04労契法による強行規定化(使用者側のみ)
もっとも、労契法は、使用者についてのみ民法と同様の規定を設け、使用者に対する関係でのみ民法の規定を強行規定化しています。つまり、使用者が有期契約の期間途中に労働者を解雇するには、「やむを得ない事由」が必要という制約は強行的なものですが、労働者側からの辞職については、この制約が強行的なものとされていません。
したがって、労働者に対する関係では、民法の規定は任意と考えられ、多くの会社では、就業規則等で、期間の定めのない労働契約の場合と同様の辞職要件(2週間の予告等)を定めています。有期契約であっても、実務上は、無期契約とほぼ同様の運用がなされていることが多いということです。
05会社側が押さえておくべき視点
会社側としては、有期契約社員の辞職について、法律上は民法の「やむを得ない事由」の限定が及ぶ余地があるものの、多くの会社が就業規則で無期契約と同様の辞職要件を定めている実情を踏まえ、自社の就業規則の内容を確認しておくことが重要です。就業規則に特段の定めがなければ、有期契約社員であっても、無期契約と同様の予告により辞職を認める運用となっている可能性が高いといえます。
逆に、有期契約について「やむを得ない事由」がない限り辞職を認めないという厳格な運用を志向する場合には、就業規則にその旨を明記し、労働者にも周知しておく必要があります。もっとも、そのような厳格な運用は、労働者の退職の自由を過度に制約するものとして、実務上のトラブルを招きやすい点にも留意が必要です。
06よくある質問(FAQ)
Q. 就業規則で退職の予告期間を3か月に定めることはできますか。
過度に長期の予告期間は、労働者の辞職の自由を制限するものとして、公序良俗に反し無効と判断されるおそれがあります。法定の2週間から大きく乖離しない範囲での設定が望ましいといえます。
Q. 有期契約社員は、契約期間の途中で自由に辞められないのですか。
民法上は「やむを得ない事由」が必要ですが、この制約は使用者に対する関係でのみ強行規定化されています。多くの会社は就業規則で無期契約と同様の辞職要件を定めており、実務上はほぼ同様に運用されています。
Q. 有期契約社員の辞職を厳格に制限したい場合、何をすべきですか。
就業規則に「やむを得ない事由」がない限り辞職を認めない旨を明記し周知する必要がありますが、このような厳格な運用は労働者の退職の自由を制約し、トラブルを招きやすい点に注意が必要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。従業員の退職対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日