従業員の競業避止義務については、法令上明確な根拠規定は置かれていませんが、個別の労働契約や就業規則の規定で競業避止義務を定めていなかったとしても、在職中の従業員は、労働契約に付随する誠実義務の一環として、当然に競業避止義務を負うと考えられます。
 在職中の競業行為は、当然、競業避止義務違反となりますが、問題は、在職中に競業準備を行うことが競業避止義務違反となるか否かについてです。裁判例では、従業員の誠実義務違反の問題として検討されていることがよくありますが、違反の有無を判断する際には、事業開始前の従業員の引き抜き、顧客奪取、企業秘密の漏洩等、使用者の事業活動に影響を及ぼす行為が行われているかどうかが重視されています。カナッツコミュニティほか事件(東京地裁平成19年4月31日判決)では、退職日前に競業会社の取締役に就任し営業に関与していたことが競業避止義務違反に違反することは明らかだとしています。また、部長や高い役職の従業員、機密情報に密に接していた従業員は、競業避止義務違反を認められやすい傾向があります。例えば、競合他社の設立を企画した高位の従業員の責任を認めつつ、これに賛同した下位の従業員の責任を否定した裁判例があります(吉野事件東京地裁平成7年6月12日判決)。

 

 


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