この記事の結論
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継続雇用の労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられている

高年法は、継続雇用制度における労働条件について、何ら規定していません。そのため、継続雇用における労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられており、就業場所も定年時のものに拘束されません。

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あまりに不利な条件の提示は、不法行為責任を生じ得る

従前の労働条件と比較してあまりに不利な労働条件を提示し、応じない場合には雇用を継続しないという運用は、高年法の目的に反することから、場合によっては労働者に対して不法行為責任が生じることが考えられます。

 817の記事で解説した継続雇用制度は、原則として使用者が継続雇用を拒否できないという枠組みですが、では、継続雇用後の労働条件については、会社にどの程度の自由が認められるのでしょうか。

 会社側専門の弁護士の立場から、継続雇用制度における労働条件の考え方を解説します。

01高年法は労働条件を規定していない

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)は、継続雇用制度における労働条件について、何ら規定していません。そのため、継続雇用における労働条件は、使用者と労働者の合意に委ねられていることになります。高年法が定めているのは、あくまで「継続雇用の機会を確保すること」であり、その労働条件の内容までは規制していないということです。

02就業場所も定年時に拘束されない

 就業場所も、定年時のものに拘束されません。継続雇用にあたり、勤務地の変更を伴う条件を提示することも、法律上は許容されています。賃金水準、労働時間、職務内容など、様々な条件を、定年前とは異なる形で設計することが可能です。

03過度に不利な条件提示のリスク

 しかしながら、使用者が、継続雇用を希望する労働者に対し、従前の労働条件と比較してあまりに不利な労働条件を提示し、応じない場合には雇用を継続しないという運用は、「高年齢者の安定した雇用の確保の促進」という高年法の目的に反することから、場合によっては、労働者に対して不法行為責任が生じることが考えられます。労働条件の設計には広範な自由があるとはいえ、その自由は無制限ではなく、実質的に継続雇用を拒否したのと同視できるような、著しく不合理な条件提示は、法的なリスクを伴うということです。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側が継続雇用の労働条件を設計する際には、賃金水準の引下げ自体は一般的に許容されるものの、その程度が「実質的に継続雇用を拒否したに等しい」と評価されるほど極端なものにならないよう注意する必要があります。従前の業務内容・実績等を踏まえた合理的な範囲での条件設定を心がけることが重要です。

 また、勤務地の変更を伴う条件を提示する場合には、その必要性・合理性を説明できるようにしておくことが望ましいといえます。継続雇用制度の運用にあたっては、賃金・労働時間・職務内容等の条件設計について、社内でルール化しておくことが、個別のトラブルを防ぐうえで有効です。

05よくある質問(FAQ)

Q. 継続雇用後の賃金を、定年前より大幅に下げてもよいですか。

高年法は労働条件を規定していないため、賃金の引下げ自体は一般的に許容されます。ただし、実質的に継続雇用を拒否したに等しいほど極端な条件提示は、不法行為責任が生じるおそれがあります。

Q. 継続雇用にあたり、勤務地の変更を提示することはできますか。

できます。就業場所は定年時のものに拘束されないため、勤務地の変更を伴う条件を提示すること自体は法律上許容されています。

Q. どのような条件提示が不法行為責任のリスクを伴いますか。

従前の労働条件と比較してあまりに不利な条件を提示し、応じなければ雇用を継続しないという運用は、高年法の目的に反するとして不法行為責任が生じることが考えられます。

経営上のポイント 高年法は、継続雇用制度における労働条件について何ら規定していないため、賃金・労働時間・職務内容・就業場所等は、使用者と労働者の合意に委ねられます。もっとも、従前の労働条件と比較してあまりに不利な条件を提示し、応じない場合には雇用を継続しないという運用は、「高年齢者の安定した雇用の確保の促進」という高年法の目的に反するとして、労働者に対する不法行為責任が生じることが考えられます。会社側としては、賃金水準の引下げ自体は許容されるものの、実質的に継続雇用を拒否したに等しいほど極端な条件提示にならないよう、従前の業務内容・実績を踏まえた合理的な範囲での条件設計が重要です。継続雇用制度の労働条件設計は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。継続雇用制度の労働条件設計でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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