この記事の結論
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使用者による期間途中の解雇は、やむを得ない事由が必要

使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、労働者を期間途中で解雇することはできません(労働契約法17条1項)。この事由は、無期契約の解雇に必要な事由よりもさらに限定的・制限的です。

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労働契約の初日から1年経過後は、労働者はいつでも退職できる

契約期間が1年を超える労働者は、労基法137条により、一定の除外を除き、労働契約の初日から1年を経過した日以降はいつでも退職することができます。

 819の記事で解説した有期労働契約の期間の上限・下限に続き、契約期間が満了する前に、使用者側・労働者側それぞれが契約を終了させることができるかも、重要な論点です。

 会社側専門の弁護士の立場から、有期労働契約における期間途中の解雇・解除のポイントを解説します。

01使用者側からの期間途中の解雇

 使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、労働者を期間途中で解雇することはできません(労働契約法17条1項)。この「やむを得ない事由」は、期間の定めのない労働契約における解雇に必要とされる「客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる場合」よりも、さらに限定的・制限的な事由であると考えられます。

 これは、有期労働契約が、当事者双方が一定期間の契約継続を前提として合意したものであり、使用者側の都合による中途解約は、労働者に対して特に大きな不利益を与えるためです。無期契約の解雇よりも、さらに慎重な判断が求められる点に注意が必要です。

02労働者側からの期間途中の契約解除

 有期労働契約において、労働者が期間途中で契約を解除する場合、やむを得ない事由があるときは直ちに解除することができます。この点は、使用者側からの解雇に必要な「やむを得ない事由」と同じ文言ですが、労働者側の解除については、より緩やかに認められる傾向にあります。

03労働者の過失による損害賠償責任

 やむを得ない事由が労働者の過失によって生じ、かつ、使用者に損害が生じた場合には、労働者は損害賠償の責任を負うことになります(民法628条)。労働者が正当な理由なく契約を中途解除し、それによって使用者に損害が生じた場合には、この規定に基づく責任追及を検討する余地があります。

041年経過後の自由な退職(労基法137条)

 ただし、労働契約の期間が1年を超える労働者(ただし、一定の事業の完了に必要な期間の定めるもの及び労基法14条1項に該当する労働者は除く)は、労働基準法の一部を改正する法律附則3条に規定する措置が講じられるまでの間は、民法628条に関わらず、労働契約の初日から1年を経過した日以降はいつでも退職することができます(労基法137条)。

 この規定は、契約期間が長期にわたる有期契約労働者について、「やむを得ない事由」がなくても、1年経過後は自由に退職できるという、労働者保護のための特則です。会社側としては、契約期間を1年を超えて設定した場合、1年経過後は労働者からいつでも退職の申出があり得ることを想定しておく必要があります。

05会社側が押さえておくべき視点

 会社側が有期契約労働者を期間途中で解雇したいと考える場合には、無期契約以上に厳格な「やむを得ない事由」が必要であることを踏まえ、安易な中途解雇は避けるべきです。業績不振や能力不足を理由とする場合であっても、契約期間満了まで待って更新しないという選択肢(雇止め)を検討する方が、法的リスクが低いケースが多くあります。

 逆に、有期契約労働者から期間途中での退職を申し出られた場合には、契約期間が1年を超えているかどうかを確認し、1年を超えていれば、原則として自由な退職を認める必要があることを理解しておく必要があります。

06よくある質問(FAQ)

Q. 業績不振を理由に、有期契約社員を期間途中で解雇できますか。

通常の解雇よりも厳格な「やむを得ない事由」が必要とされ、容易には認められません。契約満了まで待って更新しないという雇止めの検討をお勧めします。

Q. 契約期間3年の有期契約社員は、1年経過後は自由に退職できますか。

できます。契約期間が1年を超える労働者は、一定の場合を除き、労働契約の初日から1年を経過した日以降はいつでも退職することができます(労基法137条)。

Q. 労働者が正当な理由なく契約を中途解除し、会社に損害が生じた場合、賠償請求できますか。

やむを得ない事由が労働者の過失によって生じ、使用者に損害が生じた場合には、損害賠償を請求できる可能性があります(民法628条)。

経営上のポイント 使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ期間途中で解雇できず、この事由は無期契約の解雇よりもさらに限定的・制限的とされています(労契法17条1項)。労働者側からの期間途中の解除は、やむを得ない事由があれば直ちに可能で、その事由が労働者の過失により生じ使用者に損害が生じた場合は損害賠償責任を負うことがあります(民法628条)。契約期間が1年を超える労働者は、一定の除外を除き、労働契約の初日から1年経過後はいつでも退職できます(労基法137条)。会社側としては、期間途中の解雇は極めてハードルが高いことを踏まえ、能力不足等の問題があれば契約更新の場面での対応(雇止め)を中心に検討することが現実的です。有期労働契約の管理・終了は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期労働契約の管理でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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