この記事の結論
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総枠内なら特定日・週に法定時間を超えても時間外労働にならない

変形労働時間制とは、単位となる期間内の法定労働時間の総枠内において、特定の日又は週について、あらかじめ法定労働時間を超えた所定労働時間を定めて労働者を働かせても、法定労働時間外の労働としては扱わないとする制度です。

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単位期間は1年・1か月・1週間の3種類

単位となる期間は、1年(以内の一定期間)、1か月(以内の一定期間)、1週間の3種類があり、それぞれ要件が異なります。

 繁忙期と閑散期の差が大きい業種にとって、労働時間管理を柔軟化できる変形労働時間制は、有効な選択肢です。840の記事以降で解説する各単位期間の具体的な要件を理解する前提として、まずは制度全体の基本的な仕組みを確認しておく必要があります。

 会社側専門の弁護士の立場から、変形労働時間制の基本的な仕組みとメリットを解説します。

01変形労働時間制の基本的な仕組み

 変形労働時間制とは、単位となる期間内の法定労働時間の総枠内において、特定の日又は週について、あらかじめ法定労働時間を超えた所定労働時間を定めて労働者を働かせても、法定労働時間外の労働としては扱わないとする制度です。通常であれば、1日8時間・1週40時間を超える労働には割増賃金の支払いが必要ですが、変形労働時間制のもとでは、単位期間全体でみて法定労働時間の総枠を超えていなければ、特定の日・週に長時間労働があっても、時間外労働として扱われません。

023種類の単位期間

 その単位となる期間は、1年(以内の一定期間)、1か月(以内の一定期間)、1週間の3種類があります。どの期間を選択するかは、事業の繁閑のサイクルに応じて検討することになります。たとえば、季節ごとの繁閑差が大きい業種は1年単位、月内での繁閑差が大きい業種は1か月単位、日々の業務量が予測しにくい小規模な小売業・飲食業等は1週間単位(非定型的変形労働時間制)が、それぞれなじみやすい類型です。それぞれの単位期間ごとに、導入要件が定められています(1か月単位の要件は840の記事参照)。

03変形労働時間制のメリット

 変形労働時間制のメリットは、特定された期間の所定労働時間の範囲内にとどまる限り法定労働時間を超えて労働させても時間外割増賃金を支払う必要がなくなり、また、繁忙期・閑散期に合わせた柔軟な労働時間を構築することができる点にあります。適切に導入・運用できれば、割増賃金コストの削減と、事業の実情に即した労働時間配分の両方を実現できる制度です。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側が変形労働時間制の導入を検討する際には、まず、自社の事業がどのような繁閑サイクルを持っているかを分析し、それに最も適した単位期間(1年・1か月・1週間)を選択することが重要です。単位期間の選択を誤ると、かえって労働時間管理が複雑になり、実務上の負担が増えることもあります。

 また、変形労働時間制は、要件を満たさずに導入していると、後の残業代トラブルにおいて制度自体が無効と判断され、通常の労働時間規制に基づく多額の未払残業代請求を受けるリスクがあります。導入にあたっては、法令上の要件を正確に満たすことが不可欠です。

05よくある質問(FAQ)

Q. 変形労働時間制を導入すれば、繁忙期は何時間働かせても割増賃金は不要ですか。

不要ではありません。単位期間内の法定労働時間の総枠内で、あらかじめ定めた所定労働時間の範囲にとどまる場合に限り、割増賃金が不要となります。総枠を超えれば割増賃金の支払いが必要です。

Q. どの単位期間(1年・1か月・1週間)を選べばよいですか。

事業の繁閑サイクルに応じて選択します。季節変動が大きければ1年単位、月内変動が大きければ1か月単位、日々の予測が難しい小規模事業であれば1週間単位が、それぞれなじみやすいといえます。

Q. 要件を満たさずに変形労働時間制を導入していた場合、どうなりますか。

制度自体が無効と判断されるリスクがあります。その場合、通常の労働時間規制に基づいて、多額の未払残業代を請求されることがあります。

経営上のポイント 変形労働時間制とは、単位となる期間内の法定労働時間の総枠内において、特定の日・週にあらかじめ法定労働時間を超えた所定労働時間を定めても、時間外労働として扱わない制度です。単位期間は1年・1か月・1週間の3種類があり、事業の繁閑サイクルに応じて選択します。メリットは、所定労働時間の範囲内にとどまる限り割増賃金が不要になること、繁忙期・閑散期に合わせた柔軟な労働時間構築が可能になることです。会社側としては、自社に適した単位期間の選択と、法令上の要件を正確に満たす導入が重要です。要件を満たさない場合、制度自体が無効となり、多額の未払残業代請求のリスクを負うことになります。変形労働時間制の導入は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。変形労働時間制の導入でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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