企画業務型裁量労働制が適用される「対象業務」とは、具体的に何を指していますか?
|
1
|
対象業務は「事業の運営に関する企画・立案・調査・分析」で業務遂行の裁量を使用者が指示しないもの 労基法38条の4第1項1号は、対象業務を「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があり、使用者が具体的な指示をしないこととする業務」と定めています。 |
|
2
|
平成16年改正で対象業務の範囲も拡大。指針・通達による具体例に基づき判断 平成15年通達(基発1022001号)で対象業務の範囲が広がり、指針(平成11年労告149号)及び通達が具体例を示しています。本社・事業本部・地域本社・支社等での具体的な業務例が通達に列挙されています。 |
01企画業務型裁量労働制とは
企画業務型裁量労働制とは、企業の中枢部門で企画・立案・調査・分析などの業務に従事するホワイトカラーに関する労働時間のみなし制のことをいいます。
02労基法38条の4第1項1号の規定
労基法38条の4第1項1号では、対象業務について次のとおり定められています。
「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するためにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をしないこととする業務」(労基法38条の4第1項1号)
03通達に基づく実施条件
通達(平成15年10月22日基発1022001号)では、「企画業務型裁量労働制を実施することができる事業場は、事業運営上の重要な決定が行われる事業場に限定されないこととなったところであるが、いかなる事業場においても企画業務型裁量労働制を実施することができるということではなく、対象業務が存在する事業場においてのみ企画業務型裁量労働制を実施することができるものであること。」と述べられたことにより、対象業務についても範囲が広がりました。
04指針及び通達による詳細な基準・具体例
指針(平成11年12月27日労告149号)及び通達(平成15年10月22日基発1022001号)では、対象業務について以下のとおり詳細な基準を示しています。
(1)「対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項」に該当する例
① 本社・本店である事業場においてその属する企業全体に係る管理・運営とあわせて対顧客営業を行っている場合、当該本社・本店である事業場の管理・運営を担当する部署において策定される当該事業場の属する企業全体の営業方針
② 事業本部である事業場における当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品・サービス等についての事業計画
③ 地域本社や地域を統轄する支社・支店等である事業場における、当該事業場の属する企業等が事業活動の対象としている主要な地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画
④ 工場等である事業場において、本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に策定する、当該事業場の属する企業等が取り扱う主要な製品・サービス等についての事業計画
(2)「当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画」に該当する例
① 支社・支店等である事業場において、本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に策定する、当該事業場を含む複数の支社・支店等である事業場に係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画
② 支社・支店等である事業場において、本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に策定する、当該事業場のみに係る事業活動の対象となる地域における生産、販売等についての事業計画や営業計画
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則・裁量労働制の導入・整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. マーケティング部門の社員は対象業務に該当しますか。
A. マーケティング部門の業務が「事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析」に該当し、かつ業務遂行の手段・方法の決定を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある場合は、対象業務に該当する可能性があります。ただし、定型的な業務執行(広告の掲載手続・資料作成等)は含まれません。具体的な業務内容を精査したうえで弁護士に相談することをお勧めします。
Q2. 「使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とはどういう意味ですか。
A. 業務の目標・成果を指示することは可能ですが、具体的な業務遂行の手順・方法・時間配分については使用者が細かく指示しないことを意味します。「9時〜10時はこの作業、10時〜12時はこの資料を作れ」という具体的な時間指定・方法指定がある業務は対象業務に該当しません。
Q3. 対象業務に従事していない業務も混在している場合はどうなりますか。
A. 業務の主たる内容が対象業務に該当するかどうかで判断されます。一部に定型業務が含まれていても、主として対象業務に従事している場合は適用対象となり得ます。ただし、定型業務が業務全体の大半を占める場合は対象外となる可能性があります。導入前に対象労働者の業務内容を詳細に分析することが重要です。
最終更新日:2026年2月25日