この記事の結論
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注意指導・懲戒処分を避けて放置する方が、職場の雰囲気をかえって悪化させる

注意指導で一定の軋轢は生じますが、放置すれば問題行動がエスカレートし、真面目に働く他の社員のモチベーションも下がります。放置は、より大きな問題を職場に生みます。

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注意指導・懲戒処分は会社の秩序と他の社員を守るために必要。法的にも解雇の有効性を支える

問題社員への対応は、真面目に働く他の社員のためにも欠かせません。逃げずに注意指導し、改善されない場合には懲戒処分を行うことが、職場環境を守り、解雇の有効性も支えます。

01注意指導なしの放置の方が職場の雰囲気を悪化させる

注意指導で一定の軋轢は生じるが、放置はもっと大きな問題を招く

 確かに、問題社員に注意指導や懲戒処分をした場合、一定の軋轢が生じることは予想されます。しかし、注意指導や懲戒処分もせずに問題社員を好きにさせておくことの方が、職場の雰囲気にとってはるかに大きな問題です。

 本来行うべきであった注意指導や懲戒処分をしなかった結果、上司に対する態度がますます悪化したり、新入社員に仕事を教えなかったり、いじめによって何人も辞めさせてしまったりといった形で、問題行動がエスカレートしてしまうのです。目先の軋轢を避けたことが、より深刻な事態を招いてしまいます。

問題行動がエスカレートするメカニズム

 問題社員に注意指導をしないことは、「この程度の問題行動は許容されている」「会社はこうした行動を黙認している」というシグナルを、その社員に与えることになります。問題行動が許されていると受け止めた社員は、その行動を次第にエスカレートさせていく傾向があります。

 また、問題社員を放置することは、真面目に働いている他の社員にも悪影響を及ぼします。「ルールを守らなくても何も起きない」という職場環境は、全体のモチベーションや規律意識の低下を招きます。優秀な社員ほど「この職場では働き続けられない」と考え、離職につながるリスクも高まります。守るべき社員を守れないことこそが、雰囲気を悪化させる最大の原因なのです。

よくある会社経営者の回避行動

 「注意指導をすると関係が悪くなるから、言いたいことを我慢している」→ 問題が悪化します。注意指導を避けることは問題行動を許容するシグナルとなり、行動がエスカレートする原因になります。適切に注意指導した方が、長期的には職場環境が改善します。

 「面倒な問題社員への対応は後回しにして、もう少し様子を見よう」→ 問題が複雑になります。対応を先延ばしにするほど問題行動が積み重なり、他の社員への影響も広がって、解決が難しくなります。問題が生じた段階での早期対応が重要です。

02注意指導・懲戒処分は会社の秩序と他の社員を守るために必要

経営者としての責務

 問題社員に注意指導や懲戒処分をすることは、会社の秩序や、真面目に働いている他の社員を守るために欠かせません。逃げずに注意指導し、それでも改善されない場合には懲戒処分を行うようにしてください。

 会社経営者は、すべての社員に対して適切な職場環境を維持する責任を負っています。問題社員によるハラスメントや職場秩序の乱れに対して適切に対応することは、経営者としての当然の責務です。注意指導・懲戒処分から逃げることは、この責務からの逃避であり、長期的には経営者自身に対する社員からの信頼を損なうことにもつながります。

法的観点からも注意指導・懲戒処分は必要

 職場環境維持の観点だけでなく、法的観点からも注意指導・懲戒処分の積み重ねは必要です。解雇の有効性を判断する際(労働契約法16条)には、注意指導・懲戒処分歴の有無が考慮されます。これらを怠った状態での解雇は、「改善の機会を与えなかった」として相当性が否定されやすくなります。

 「注意指導が面倒だ」「関係が悪くなりたくない」という理由で注意指導を怠ることは、後に問題社員を解雇しようとしたときに、かえって会社自身の立場を弱めることになりかねません。日々の適切な対応が、いざというときの解雇の有効性を支えるのです。

実務でよく見られるパターン

・問題社員への注意指導を避けて放置した結果、その社員が新入社員を次々とハラスメントで退職に追い込んだ。被害を受けた社員から損害賠償請求を受け、会社の使用者責任も問われた。問題社員については注意指導・懲戒処分の記録もなく、解雇も難しい状況に陥っていた。

・問題社員に書面による注意指導を行い、改善されないため懲戒処分を行った。当初は軋轢が生じたものの、毅然とした対応が職場の規律を取り戻すことにつながり、真面目な社員からは前向きに受け止められた。最終的に退職勧奨によって合意退職が成立した。

経営上のポイント 注意指導・懲戒処分で一定の軋轢が生じるのは事実ですが、注意指導せずに放置する方が、職場の雰囲気をかえって悪化させます。問題行動のエスカレートや、真面目に働く社員のモチベーション低下を招くからです。注意指導・懲戒処分は、会社の秩序と他の社員を守るために欠かせず、法的にも解雇の有効性を支えます。逃げずに注意指導し、改善されない場合には懲戒処分を行うことが、経営者としての責務です。注意指導の進め方や職場環境の改善策については、会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月1日


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