休職・復職対応の総合解説

 

FOR COMPANY OWNERS

休職・復職対応の総合解説。
体調不良から休職・復職判断まで
実務対応を、会社側専門の弁護士が解説します。

 体調不良やメンタル不調で欠勤が多い社員への対応、「休職を要する」「復職可」という診断書が出てきた場合の判断、復職してすぐ休む社員への対処、連絡が取れない社員への初動対応まで。本ページでは、休職・復職をめぐる実務対応の全体像を、会社側専門の弁護士が会社経営者向けに解説いたします。


VIDEO

本ページの基となる解説動画

 

 本ページは、藤田進太郎弁護士による「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTubeチャンネル)の各動画解説を素材として、当事務所が休職・復職対応の全体像を統合的に文章化したページです。

CHAPTER 01

体調不良の社員への初期対応

 

「働かせて大丈夫か」の確認が最初の対応

 体調不良で欠勤が多い社員がいると、このまま働かせて大丈夫なのか、働かせてもっと体調が悪くなったらどうしよう、仕事も割り当てにくい、と心配は尽きません。体調の問題はご本人の今後の生活・人生にも大きく影響を与えるものですから、慎重な対応が求められます。

 最初にしなければならないのは「働かせて大丈夫か」の確認です。雇い主は安全配慮義務を負っていますから、体調を悪化させてはいけません。本人を守ることも会社経営者の仕事です。まずは本人の説明を聞いてみることから始めましょう。「最近体調どうなの、休みが多いようだけど」という話をしてみて、あまりにも体調が悪い状態が続いているようであれば、医師の受診を勧め、程度がひどい場合は診断書の提出を求めることになります。

程度に合わせた対応をする

 体調が悪いと言っても程度は一人一人違います。月に3回か4回休む程度で基本的には出社できるという場合と、まともに働けないぐらい明らかに体調が悪くなっている場合とでは、対応が異なります。0か100かのように考えるのではなく、実際の状況に応じてその程度に合わせた措置を取っていくことが大事です。

 突然休んでも業務に支障が生じないような仕事をできるだけ割り当てること、体調悪化の兆候が見られないか常にアンテナを張っておくこと、本人が「大丈夫です」と言っても客観的に見て調子が悪そうであればしっかり確認すること。なお、本人が大丈夫だと言ったからやらせた、では通りません。本人は医師ではありませんし、自分の体調を正確に把握できるとは限りません。客観的にどの程度体調が悪いのかを判断する姿勢が必要です。

 欠勤日数が就業規則の休職要件に達した場合は、休職命令を出して療養に専念していただくことになります。

CHAPTER 02

「休職を要する」という診断書への対応

 

「休職を要する」は「直ちに休職スタート」の意味ではない

 主治医から「休職を要する」と記載された診断書が提出された場合、直ちに休職をスタートさせている会社が多いのですが、これは正しい対応ではありません

 主治医が「休職を要する」と書いているときの意味は、「このまま働かせていると体調が良くならない、あるいは悪化する可能性があるので、休んで療養しなければならない」という医学的な判断です。会社の休職制度の内容を詳しく理解した上で書いているわけではありません。したがって、「直ちに休職に入れるべきだ」という意味合いではないのです。

会社のルール通りに、欠勤してから休職へ

 就業規則の休職事由を確認すると、大抵の場合は「傷病による欠勤が一定期間続いた場合に休職を命じることができる」あるいは「休職が開始する」と定められています。たとえば「1ヶ月欠勤しても治らない場合は休職に該当し、休職期間の上限は3ヶ月」という会社であれば、合計4ヶ月会社にいられるということです。

 もし診断書が出た時点で直ちに休職をスタートさせてしまうと、本来4ヶ月いられたはずが3ヶ月になってしまいます。労働者にとっては不利益な扱いであり、トラブルの原因となります。まず年休がある場合は年休を使い、所定の日数欠勤してから休職をスタートさせるという手順を取ることをおすすめします。

 なお、診断書に「休職」と書いてあるからといって、会社でも「休職」「休職」と呼んでしまうことが多いのですが、就業規則上は欠勤・休職・年次有給休暇・傷病休暇が明確に区分されています。この区分を正確に理解しないまま対応すると、ご本人への説明にも誤りが生じ、トラブルになりやすいので注意が必要です。

CHAPTER 03

復職の判断と「復職してすぐ休む」問題

 

「復職可」という診断書だけで復職を認めてはいけない

 「復職可」と書かれた主治医の診断書が提出されたので復職させてみたところ、まともに仕事ができず、結局また休むことになってしまった。こういったケースは非常によくある相談です。

 なぜこんなことが起きるかというと、主治医は医学の専門家であって、職場の状況や本人が実際にやっている仕事の内容を詳しく知っているわけではないからです。主治医が「復職可」と書いている場合の意味は、「随分症状が良くなってきたので、日常生活には支障がないでしょう。大抵の仕事をやっても体調を崩すことはそんなにないのではないでしょうか」という程度のことが多いのです。

 したがって、主治医の診断書は復職の「必要条件」であって「十分条件」ではないと考える必要があります。職場で求められている仕事ができるようになったかどうかは、会社が判断しなければなりません。健康が回復していたとしても、仕事ができるぐらいまで回復していなければ、職場に戻すべきではないのです。

休職期間満了ギリギリの復職申出

 休職期間満了ギリギリで復職を求めてくるケースは意外とあります。休職期間中は会社にいられますが、治らないまま休職期間が満了するとやめなければならないルールになっていることがほとんどですから、やめたくない方が慌てて復職の手続を取ってくるのは無理もないところです。

 このような場合であっても、「復職可」と記載された主治医の診断書が最低条件です。それがなければ原則として復職不可であり、休職期間が満了すれば自然退職あるいは解雇ということになります。特にメンタルの疾患の場合は、外から見ても本当に働けるのかどうかの判断が難しく、よく分からないまま復職させると本人の体調をさらに悪化させてしまうこともありますし、会社が安全配慮義務違反を問われかねません。

復職してすぐ休んでしまう場合

 休職していた方が復職したものの、すぐにまた休んでしまうということがあります。配置を考えて仕事を準備していた側としては困りますし、周りの社員たちも振り回されます。復職しなかった方がまだましで、もっとしっかり休んでもらった方が良かったという感覚になることもあるでしょう。

 このような事態を防ぐためにも、復職時の確認が何よりも大事です。主治医の診断書は必要条件として必ず取得しますが、それだけで判断するのではなく、本人の担当業務を踏まえて会社として復職の可否を判断する必要があります。主治医は会社の業務内容を正確に把握していないことが多く、本人からの申告をベースに判断するしかないためです。

CHAPTER 04

突然出社しなくなり連絡が取れない社員への対応

 

始業時刻に出社しない時点で早めに連絡を取る

 社員が突然出社しなくなり連絡が取れないという相談を受けることがあります。連絡が取れる場合は社員の意向を確認しながら対応できるので判断しやすいのですが、連絡が取れない場合は本人の意向を確認できない中での対応を迫られますので、判断が難しくなります。

 まず始業時刻に出社しない時点で早めに連絡を取るのが対応の基本です。労働契約は給料を払って所定の労働日・労働時間に働いてもらう契約ですから、始業時間に出社しないという時点で問題です。管理職が「どうして出社していないのか」と問い合わせるべきです。これがマネジメントの基本です。

 何か事件に巻き込まれている可能性もありますし、何か理由があって出てこないこともあります。解決に向けて動くためにも、早めに連絡を取ってその社員の置かれた状況を確認する作業をできるだけ早くやっていきたいところです。連絡手段としては電話、メール、ショートメッセージ、状況によっては自宅訪問なども検討します。

CHAPTER 05

メンタル不調の社員への心構え

 

レッテルを貼らない

 メンタルに問題がある方、性格がきつい方、挙動に違和感がある方がいると、つい特定の病名や障害の名前を挙げて「あの人は○○だから」とレッテルを貼って安心してしまいがちです。しかしこれは非常に危険です。レッテルを貼ってしまうとそこで思考が止まり、相手の言動を細かく見て判断するという作業ができなくなってしまいます。

 専門の医師がそのように診断していて、「この人にはこういう風に対応しなければなりません」とまで言っているのであれば、それは尊重してよいと思います。しかし、医師の判断もないのに、医師の資格があるわけでもない企業の方や弁護士が「この人はこうだから」とレッテルを貼って判断してしまうと、大雑把で間違えやすい対応になってしまいます。

最近特にメンタル系の紛争が増えている

 最近は特にうつ状態や適応障害といったメンタル系の休職の問題から生じる紛争が増えています。「休職を要する」「復職可」といった診断書の取扱い、休職期間中の対応、復職判断の手順といった基本を正確に理解した上で対応していくことが重要です。判断に迷う場合は、早めに弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

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CHAPTER 06

当事務所のサポート体制と監修者

 

 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)専門の法律事務所として、体調不良・メンタル不調の社員への対応、休職・復職の判断、連絡が取れない社員への対応を日常的に取り扱っています。診断書の読み方、就業規則の休職規定との突合、復職判断の手順設計まで、問題社員対応に慣れた弁護士がZoomやTeamsで短時間の打ち合わせを繰り返しながら伴走します。

 体調の問題はご本人の今後の生活・人生にも大きく影響を与えるものです。会社経営者として社員を守るためにも、適切な手順で対応していきましょう。

弁護士 藤田 進太郎

監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

休職・復職対応でお悩みの会社経営者の皆様へ

まずは経営労働相談までご連絡ください。事務所会議室でのご相談、Zoom・Teamsでのオンライン相談、いずれも対応しています。

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FAQ

よくあるご質問

 

Q.「休職を要する」という診断書が出たら、すぐに休職させるべきですか。

 直ちに休職スタートではなく、会社のルールに沿って対応します。就業規則の休職事由を確認し、まず年休がある場合は年休を使い、所定の日数欠勤してから休職をスタートさせるのが原則です。主治医の「休職を要する」は「直ちに休職に入れるべき」という意味ではなく、「休んで療養しなければならない」という医学的判断です。

Q.「復職可」の診断書が出たら復職させなければなりませんか。

 主治医の診断書は復職の「必要条件」であって「十分条件」ではありません。主治医は職場の業務内容を正確に把握しているわけではないため、診断書だけで判断すると、復職したものの仕事ができずにまた休むことになるケースが多くあります。職場で求められている仕事ができるようになったかどうかは、会社が判断する必要があります。

Q. 社員が突然出社しなくなり連絡が取れません。どうすればいいですか。

 始業時刻に出社しない時点で早めに連絡を取ることが基本です。電話、メール、ショートメッセージなど複数の手段で連絡を試み、状況の確認をしてください。何か事件に巻き込まれている可能性もありますので、早めの対応が重要です。具体的な対処の進め方は弁護士にご相談ください。

Q. 休職制度がない場合はどうすればいいですか。

 休職制度の設置は法的義務ではありませんので、休職制度がない会社もあります。その場合は、しばらく欠勤してもらい、働けるようになったら戻ってもらう、治らない場合はどこかの段階でやめていただく、という対応になります。具体的な進め方は弁護士にご相談ください。

Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。

 対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。

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