整理解雇の③人選の合理性とは?選定基準の設定と文書化
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人選の合理性は「基準の合理性」と「基準適用の合理性」の二段階審査。いずれかが欠けても無効リスクがある 第一の「人選基準の合理性」は使用者の恣意が入らない客観的なものであること、第二の「基準適用の合理性」は設定した基準が実際に公正に適用されたこと、の両方が必要です。基準を設定しても恣意的に運用すれば合理性が否定されます。 |
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客観的な人選基準を事前に文書化し、基準に則った選定記録を残すことが訴訟での最大の防御 ①基準の設定(文書化)②基準の適用(各社員の評価・点数付け等の記録)③選定結果(誰が対象となったか・理由の文書化)の三段階の記録が不可欠です。「頭の中で考えた」「文書化は不要」は誤りです。 |
01人選の合理性とは:二段階の審査
③人選の合理性に関しては、①人選基準そのものの合理性と②実際のあてはめ(基準の適用)の合理性という二段階で審査されます。いずれかが欠けていても、人選の合理性を欠くと判断されることになります。
第一の「人選基準の合理性」では、誰を解雇対象とするかの選定基準が、使用者の恣意が入らない客観的なものであることが必要です。「この人を解雇したい」という主観的・恣意的な判断に基づく基準は、合理性を欠くと評価されます。第二の「基準適用の合理性」では、設定した基準が実際に公正に適用されたかどうかが審査されます。客観的な基準を設定したとしても、その基準の適用が恣意的であった場合(例えば、特定の社員を排除するために基準の適用を操作した場合)は、人選の合理性が否定されます。
02人選基準を設けなかった場合・不合理な基準の場合のリスク
人選基準を設けなかった場合や、客観性・合理性を欠く人選基準に基づいて整理解雇がなされた場合は、③人選の合理性を欠くと判断されることになります。「社長の判断で選んだ」「なんとなく会社に向いていないと思った」といった基準は、客観性・合理性を欠くとして否定されます。
また、「問題のある社員を整理解雇の対象にすれば、人選基準の問題はない」という発想は誤りです。「問題社員だから対象にした」という理由での選定は、それ自体が恣意的と評価されるリスクがあります。問題のある社員を対象に含めること自体は差し支えありませんが、それは客観的・合理的な人選基準を適用した結果として導かれるものでなければなりません。基準を先に定め、その基準に則って選定することが必要です。
03合理的な人選基準の具体例
合理的な人選基準として用いられることが多い要素は次のとおりです。
勤務成績・能力評価:直近の人事評価・業績評価の結果を基準とする方法。評価制度が整備されている企業では客観的な評価データを活用できます。
勤怠状況:欠勤・遅刻・早退の頻度など、客観的な記録に基づく評価。
担当業務の必要性:事業縮小・事業場閉鎖に伴う場合、当該部門・職種の業務が不要になるという基準は客観的合理性があります。
勤続年数・年齢:これらを基準として用いることもありますが、年齢のみを基準とすることは年齢差別の問題が生じる可能性があるため、他の要素と組み合わせることが望ましいです。
複数基準の組み合わせによる点数化:上記の複数の要素を組み合わせて点数化・順位付けし、低得点の者から順に解雇対象とする方法が実務上用いられることもあります。複数基準の組み合わせにより、単一基準への偏りを防ぎ、客観性を高めることができます。
04人選基準の文書化と選定過程の記録が不可欠
実務上の対応として、まず客観的で合理的な人選基準を設定・文書化し、その基準に基づいて整理解雇の対象となる労働者を選定することが必要です。「人選基準は頭の中で考えれば十分。文書化は不要だ」は誤りです。人選基準を文書化していない場合、後の訴訟・労働審判において「基準を定めていなかった」または「恣意的に選定した」と評価されるリスクが高まります。
具体的には、①基準の設定(どのような基準で誰を選定するかを文書化)、②基準の適用(各社員についての評価・点数付け等を記録)、③選定結果(誰が対象となったか・その理由の文書化)という三段階の記録が不可欠です。
弁護士対応事例でよく見られるのは次のようなパターンです。
・「基準を設定したものの、労働組合員や内部告発者が優先的に選定されていたことが発覚し、基準の適用の合理性が否定された」
基準の設定だけでなく、適用の公正性と記録が重要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年6月28日