雇入れから14日以内なら自由に解雇できる?会社経営者が誤解しやすい解雇の落とし穴
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14日以内でも「解雇予告義務が不要」なだけ。「自由に解雇できる」ではない(労基法21条) 労基法21条は解雇予告義務の有無を定めた規定にすぎません。解雇の有効性は別途、労働契約法第16条の解雇権濫用法理によって判断されます。雇入れ直後であっても、合理的理由のない解雇は無効となります。 |
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雇用期間が短いほど客観的証拠が不足しやすく、解雇権濫用と判断されるリスクがある 雇入れ直後は勤務状況や問題行動の客観的証拠が蓄積されていないことが多く、よほど明白な解雇理由がない限り合理性の立証が困難になります。法定解雇禁止事由(業務上災害・妊娠等)も雇用期間に関係なく適用されます。 |
目次
01「14日以内なら自由に解雇できる」という誤解
雇入れから14日以内であれば会社は自由に労働者を解雇できると考えている会社経営者は少なくありません。しかし、この理解は誤りであり、実務上は大きなリスクを伴います。
この誤解は、労働基準法21条が試用期間中の者について解雇予告義務が適用されない旨を定めていることから生じています。同条はあくまで解雇予告義務の有無を定めた条文にすぎません。会社経営者として理解しておくべきなのは、解雇予告義務が免除される場合であっても、解雇そのものが常に有効となるわけではないという点です。
02労基法21条の正しい位置付け
労働基準法21条は、一定の労働者について解雇予告義務が適用されない場合を定めた規定です。試用期間中の者については、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合に解雇予告義務が適用されると規定しています。
ここで注意すべきなのは、同条はあくまで「解雇予告義務の有無」を定めているにすぎず、解雇の有効性そのものを定めた条文ではないという点です。同条により解雇予告や解雇予告手当の支払が不要とされる場合であっても、解雇が常に適法・有効になるわけではありません。「解雇予告が不要=自由に解雇できる」という誤解を正しく理解していないと、解雇予告義務は免れても解雇自体が無効と判断されるリスクがあります。
0314日以内であっても解雇が無効となる場合(労契法16条)
雇入れから14日以内の労働者であっても、解雇が常に有効となるわけではありません。解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない場合には、解雇権の濫用として解雇は無効となります(労働契約法16条)。
この基準は雇用期間の長短によって適用が左右されるものではありません。そのため、雇入れ直後であっても、解雇理由の内容や程度が不十分であれば、解雇は認められません。「まだ入社して間もないから」という理由だけで解雇を正当化できるわけではなく、業務遂行能力や勤務態度を理由とする場合であっても、その評価が客観的に裏付けられているかが重要な判断要素となります。
04法律上特に解雇が制限されるケース(雇用期間問わず)
雇入れから14日以内であっても、法律により解雇が明確に制限されている場合があります。これらのケースでは、解雇予告義務の有無にかかわらず、解雇自体が無効となる点に注意が必要です。
・妊娠・出産・産前産後休業等を理由とする解雇(男女雇用機会均等法)
・労働基準法違反を監督機関に申告したことを理由とする解雇(労基法104条)
・性別を理由とする解雇(男女雇用機会均等法)
・不当労働行為としての不利益取扱い(労働組合法7条)
・公益通報を行ったことを理由とする解雇(公益通報者保護法)
これらの制限は雇用期間の長短を問わず適用されます。「雇入れ直後であるから問題ない」と考えることなく、解雇理由が法令に抵触していないかを慎重に確認することが不可欠です。
05雇入れ直後の解雇に潜む実務上のリスク
雇入れから14日以内の解雇は、解雇予告義務が免除される場合があることから、対応が容易に思われがちです。しかし、実務上はむしろリスクが高い場面といえます。
雇用期間が短い場合、勤務状況や能力不足・問題行動についての客観的な証拠が十分に蓄積されていないことが多く、解雇に客観的合理性があることを立証することが困難になりがちです。よほど明白な解雇理由がない限り、解雇権濫用として無効と判断されるリスクがあります。
また、労働審判や訴訟に発展した場合、早期に調停が成立すれば和解金額は比較的低額に抑えられる傾向にありますが、紛争が長期化して判決に至れば、想定外に高額の賃金支払を命じられることもあります。雇入れ直後の解雇ほど慎重な判断が求められることを理解しておく必要があります。
06会社経営者が取るべき慎重な対応
雇入れから14日以内であっても、解雇が常に認められるわけではない以上、会社経営者としては慎重な対応が不可欠です。感情的な判断や場当たり的な対応は、後の紛争を招く原因となります。
まず、問題となっている行為や能力不足について、事実関係を整理し客観的な資料や記録を残すことが重要です。雇用期間が短い場合であっても、指導内容や改善の機会を与えた事実を記録しておくことで、解雇の合理性を説明しやすくなります。
また、解雇以外の選択肢として、配置転換や試用期間の延長、契約期間満了による対応が可能かどうかを検討することも有効です。安易に解雇を選択するのではなく、法的リスクを踏まえた上で最適な対応を選ぶことが重要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年2月25日