- 管理職手当に深夜割増賎金を含めるためには、就業規則等で明確に含む趣旨で定められていることが必要
- 法定の深夜割増賎金額を下回らないこと、かつ何時間分・何円分が割増分か明確にする必要がある
- 単に「管理職手当に深夜割増も含む」と定めるだけでは足りず、具体的な割増額の特定が不可欠
1深夜割増賎金の包含の可否
管理監督者に支払う深夜割増賎金を管理職手当の中に含めるかたちで支払うことは可能ですが、これには法的に厳格な要件を満たす必要があります。小安易に「管理職手当に深夜割増も含む」と就業規則に定めるだけでは、後に未払い深夜割増賎金として請求されるリスクがあります。
2法的要件の詳細
管理職手当に深夜割増賎金を含めるためには、以下の2つの要件を充たす必要があります(ことぶき事件最高裁平成21年判決)。
- 就業規則・労働協約その他により明確に深夜割増賎金を含む趣旨で定められていること
- 何時間分・何円分が深夜割増賎金に充当されるか明確に特定できること
就業規則に「管理職手当には深夜割増賎金も含む」と定めるだけでは不十分です。たとえば「管理職手当に月5日分の深夜割増賎金山円を含む」など、具体的な時間数と金額を特定する必要があります。
3裁判例・通達の内容
ことぶき事件(最高裁平成21年判決)では、「管理監督者に該当する労働者の所定賎金が労働協約、就業規則その他によって一定額の深夜割増賎金を含める趣旨で定められていることが明らかな場合には、その額の限度では当該労働者が深夜割増賎金の支払を受けることを認める必要はない」と判示しています。
行政解釈(昭和23年10月14日基発1506号)でも、「労働協約、就業規則その他によって深夜の割増賎金を含めて所定賎金が定められていることが明らかな場合には別に深夜業の割増賎金を支払う必要はない」としています。
4就業規則・賎金規程の整備方法
就業規則の記載例
《就業規則記載例》
管理職に導く者に支払う管理職手当には、月_時間分の深夜割増賎金(月___円)を含むものとする。実際の深夜労働時間が当該時間分を超えた場合は、超過分の深夜割増賎金を別途支払う。
深夜割増賎金の包含を就業規則に定める際は、具体的な時間数と金額を特定すること、超過分の支払ルールを明確にすること、実際の深夜労働時間の把握下数を整備することが重要です。
監修者
弁護士法人四谷麺町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業、2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麺町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麺町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。就業規則・変形労働時間制の導入・整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麺町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
FAQよくある質問
Q1. 管理職手当に深夜割増賎金を含める場合、就業規則には何を記載すればよいですか?
A. 少なくとも①深夜割増賎金を含む趣旨で定められていること、②何時間分・何円分が割増分か明確であること、③法定額を下回らないこと、④超過分を別途支払う体制であることを就業規則等に明記する必要があります。
Q2. 実際の深夜労働時間が挅化した場合、追加の支払いは必要ですか?
A. はい。管理職手当に包含される深夜割増賎金の時間分を超えない限り、追加支払いは不要です。しかし超過した分については別途深夜割増賎金を支払う必要があります。
Q3. 深夜割増賎金の包含の有効性はどう判断されますか?
A. 就業規則等の定めが「深夜割増賎金を含む趣旨で定められているか」と「深夜割増分とそれ以外の賎金の分別ができるか(判別可能性)」を満たす必要があります。
Q4. 管理職以外の従業員にも同様の処理は適用できますか?
A. 就業規則や賎金規程で明確に定めれば延点体制の従業員にも深夜割増賎金を包含する手当を設計することは可能です。ただし、同様の要件(法定額以上・具体的な時間・金額の特定・超過分の別途支払)を満たす必要があります。
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最終更新日:2025年5月