この記事の結論
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法定年次有給休暇は会社の承認不要・目的申告不要・繁忙期のみの拒否不可・原則として買上げ不可・消滅時効2年

法定年次有給休暇は労働者が時季を指定することで成立し、会社の承認は不要です。取得手続の遵守を取得の条件にすることも目的の申告を要求することもできません。消滅時効は2年(労基法115条)です。

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法定外有給休暇は手続・目的・繰越等を会社が自由に設計できる

会社が独自に設ける法定外有給休暇については、申請手続・目的・繰越禁止・買上げ等を自由に定めることができます。法定年次有給休暇とは明確に区別して就業規則に規定することが重要です。

01法定年次有給休暇

① 労働者の希望する時季に与えなければならない
② 労働者が希望する日を特定し、会社に通知することにより年休が確定するため、使用者の承認は必要としない。ただし、労働者が希望する日に法定年次有給休暇を与えることにより事業の正常な運営が妨げられる場合には、使用者は時季変更をすることができる。
③ 「1週間前までに文書で所属長に申し出ること」等、取得手続きを守らない場合には法定年次有給休暇を認めないという取扱いはできないが、「なるべくそのようにしてもらいたい」という訓示程度のものなら差し支えない。また、当日以降になっての申し出に対する制限はできる。
④ 法定年次有給休暇の利用目的を申し出なければ与えないとする取扱いはできない。
⑤ 単に、繁忙期だから他の日にしてほしいという理由で法定年次有給休暇の取得を認めないという取扱いはできず、あくまで、事業の正常な運営が妨げられるという客観的な理由がある場合のみ時季変更をすることができる。ただし、労働者に対して変更の申込みをすることはできるが、労働者がこれに応じるか否かは労働者の自由。
⑥ 年休の買上げについては、法定年次有給休暇は2年間の有効期限があり、この期間中の買上げはできない。ただし、例外的に、2年間経過後において時効によって消滅した有給休暇や、退職勧奨をして労働者を退職させる場合などに退職パッケージとして退職時に未消化の有給休暇を買い上げることは認められている。
⑦ 法定年次有給休暇の有効期間を1年とし、年度中に取得しない場合は消滅させ繰り越しを認めないという取扱いはできない。労基法115条により2年間の消滅時効が認められており、2年間有効なことから、このような繰越制度は違法となる。

02法定外有給休暇

① 請求の時季や請求の手続について、制限を設けることができる。
② 労働者が希望する日を特定し会社に通知した場合に、使用者の承認によってはじめて休暇が成立する旨定めても差し支えない。
③ 「1週間前までに文書で所属長に申し出ること」等、取得手続きを守らない場合には会社有給休暇を認めないという取扱いをすることができる。
④ 会社有給休暇の利用目的を申し出なければ与えないとする取扱いをすることができる。
⑤ 単に、繁忙期だから他の日にしてほしいという理由で会社有給休暇の取得を認めないという取扱いは、就業規則に明白にその旨を定めていればできる。
⑥ 未取得の休暇分を買い上げることができ、制限もない。
⑦ 年度中に取得しなかった休暇を消滅させ、繰越を禁止することができる。

法定年次有給休暇と法定外有給休暇の比較

項目 法定年次有給休暇 法定外有給休暇
会社の承認の要否 不要(労働者の時季指定で成立) 会社が自由に設計可
申請手続の制限 訓示程度のみ可。違反を理由に否定不可 手続違反を理由に否定可
目的の申告要求 要求できない 要求できる
繁忙期のみの拒否 不可(客観的事由が必要) 就業規則に定めれば可
買上げ 2年有効期間中は原則不可(例外あり) 制限なく買上げ可
繰越禁止 不可(2年の消滅時効・違法) 消滅・繰越禁止を定めることができる
消滅時効 2年(労基法115条) 会社が自由に定めることができる
経営上のポイント 法定年次有給休暇は時季指定権が労働者にあり、会社の承認不要・目的申告不要・繁忙期のみの拒否不可・原則として買上げ不可・2年の消滅時効という強力な権利です。一方、法定外有給休暇は会社が自由に設計できます。就業規則で両者を明確に区別して規定することが重要です。詳細は弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 年次有給休暇の申請が直前(当日)でも認めなければなりませんか。

A. 法定年次有給休暇については、当日以降の申し出に対しては制限ができます。したがって、「当日の申し出は認めない」「当日申し出の場合は事前許可制によって承認が必要」等の規定を設けることは可能です。ただし、数日前の申し出を取得手続違反として一律に否定することはできません(訓示程度は可)。

Q2. 退職時に未取得の有給休暇を買い上げることはできますか。

A. 法定年次有給休暇は2年間の有効期限中の買上げは原則できませんが、退職時に未消化の有給休暇については、退職パッケージとして買い上げることが例外的に認められています。退職勧奨に際して退職時の未消化年休の買上げを提案する場合は、その条件を明確にしてお伝えください。法定外有給休暇については制限なく買い上げることができます。

Q3. 年度末に使用しなかった有給休暇を翌年度に繰り越せないと就業規則に定めることはできますか。

A. 法定年次有給休暇については、そのような規定は違法です。労基法115条により2年間の消滅時効が定められているため、1年で消滅させる取扱いは法律に反します。一方、法定外有給休暇については、年度中に取得しなかった休暇を消滅させ繰越を禁止することができます。就業規則で法定年次有給休暇と法定外有給休暇を明確に区別して規定することが重要です。

最終更新日:2026年2月25日


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