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問題の核心は「義務的団交事項に該当するか」 解雇後に組合に加入した労働者の労働条件等に関する事項が「組合員の労働条件その他の待遇」に該当し、義務的団交事項となるかが問題の核心です。 |
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無効な解雇の可能性がある場合は、団体交渉に応じるべき 無効な解雇をしている場合は今なお労働者の地位にあり(潜在的な労働者)、団交の申入れは解雇の有効性を争う可能性を示しています。そのため、団体交渉には応じるべきと考えます。 |
01問題の所在(義務的団交事項への該当性)
労働組合から、解雇後に組合に加入した労働者に関する団体交渉の申し入れがあった場合、会社としては「すでに解雇した者であるから、うちの労働者ではない。団体交渉に応じる義務はない」と考えたくなるかもしれません。しかし、この問題は単純ではありません。
ここでは、解雇後に組合に加入した労働者の労働条件等に関する事項が、「組合員である労働者の労働条件その他の待遇」に該当し、義務的団交事項となるかが問題となります。義務的団交事項に当たるのであれば、会社には誠実に団体交渉に応じる義務があり(労組法7条2号)、正当な理由なく拒否すれば不当労働行為となります(団体交渉と不当労働行為については568番参照)。
02無効な解雇の場合は潜在的な労働者
既に解雇しているのであるから会社の労働者ではないようにも思われます。しかし、無効な解雇をしている場合は、その労働者は今なお労働者の地位にあることになりますので、潜在的に労働者であるといえます。また、団体交渉の申し入れがなされているということは、解雇の有効性を争う可能性があることを示しています。
そのため、解雇後に組合に加入した労働者に関する団体交渉の申し入れがあった場合には、団体交渉に応じるべきと考えます。
判断の考え方
① 無効な解雇の場合、法的には労働者の地位は失われていない(「潜在的な労働者」)
② 団交申入れは解雇の有効性を争う意思を示すもの
③ したがって、義務的団交事項に当たる可能性があり、団体交渉には応じるべき
逆に、解雇が明らかに有効であると確信できる場合でも、団体交渉を拒否することには一定のリスクが伴います。解雇の有効性は最終的に労働委員会や裁判所が判断するものであり、会社が「有効な解雇だから団交義務はない」と判断して拒否した場合、後に解雇が無効と判断されれば、団体交渉拒否の不当労働行為も成立するという事態になりかねません。
03会社経営者が取るべき実務上の対応
解雇後に組合に加入した労働者についての団体交渉の申し入れを受けた場合、会社としては次のような対応が考えられます。
まず、団体交渉を拒否することには不当労働行為のリスクが伴うことを認識し、基本的には交渉に応じる方向で検討することが重要です。ただし、団体交渉に応じることが解雇の有効性を認めることを意味するわけではなく、解雇の有効性についての会社の立場は、交渉の中で明確に主張することができます。
次に、解雇の有効性と、団体交渉への対応方針を整理する必要があります。解雇の有効性に問題がないかを確認し、もし有効性に疑義がある場合には、訴訟リスクも含めた総合的な対応を検討すべきです(解雇無効のバックペイリスクについては559番参照)。
このような問題は、解雇の有効性と団体交渉義務が複合する難しい領域です。具体的な対応については、早期に使用者側弁護士に相談することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 団体交渉に応じることは、解雇が無効であることを認めることになりますか。
A. なりません。団体交渉に応じることは、あくまで誠実に交渉の場に臨むことを意味するものであり、解雇の有効性を認めることとは別問題です。交渉の中で「解雇は有効であり、会社として復職を認める考えはない」という立場を明確に主張することができます。団体交渉への応諾と、解雇の有効性についての主張を分けて考えることが重要です。
Q2. 解雇後に退職合意書を締結していますが、それでも団交に応じる必要がありますか。
A. 退職合意書がある場合、労働契約の終了については有効な合意が成立している可能性がありますが、組合側から合意書の効力を争ってくる場合もあります。いずれにせよ、申し入れがなされた以上、まず対応方針を整理したうえで、どの範囲で交渉に応じるかを検討することが重要です。退職合意書の有効性と団交応諾の問題は別々に検討する必要があります。弁護士に相談のうえ対応することをお勧めします。
Q3. 解雇後に組合加入した労働者の団交では、どのような事項が議題になりますか。
A. 主として、解雇の有効性(解雇理由・手続の相当性)、解雇に伴う退職金・未払賃金等の精算、復職の可否、金銭解決(解決金)などが議題となることが多いといえます。これらは会社にとって重要な経営判断を伴う事項ですので、交渉前に弁護士と対応方針を十分に検討しておくことが重要です。
最終更新日:2026年2月25日