解雇無効ならノーワーク・ノーペイで賃金を払わずに済むか
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解雇が無効な場合、ノーワーク・ノーペイは適用されない。就労不能の帰責事由は使用者にある 労働者が就労の意思と能力があるにもかかわらず使用者が就労を拒絶している状態となり、民法536条2項により使用者は賃金支払義務を免れません。月給30万円なら1年間で360万円のバックペイリスクが生じます。 |
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問題社員に利用されるリスクがある。録音機で「解雇だ」と言わせようとする手口に注意 無効な解雇をさせることで働かずに高額の賃金(解決金)を取得しようとする問題社員がいます。感情的な発言を避け、最後の最後まで退職勧奨を優先することが最大の防御策です。 |
01解雇が無効な場合、ノーワーク・ノーペイは適用されない
解雇が無効の場合において、労働者が就労の意思と能力があるにもかかわらず、使用者が就労を拒絶しているような場合には、就労不能の帰責事由が使用者にあると評価されるのが通常です。
したがって、解雇された労働者が現実には働いていなかったとしても、使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項)、実際には働いていない期間についての賃金についても、支払わなければならなくなります。
「解雇が無効な場合にノーワーク・ノーペイの原則が適用されて賃金を支払わずに済む」という考えは誤りです。解雇が無効な場合は、解雇によって就労できない状態を作り出したのが使用者自身であることから、ノーワーク・ノーペイではなく、使用者が賃金支払義務を負い続けることになります。
02バックペイの高額リスクを正確に理解する
例えば、月給30万円の労働者を解雇した1年後に解雇が無効と判断された場合、既に発生している過去の賃金だけで、30万円×12か月=360万円の支払義務を使用者が負担するリスクを負っており、その後も毎月30万円ずつ支払額が増額されていくリスクがあります。
この具体例を見れば、解雇が無効と判断された場合、働いてもいない労働者に対し、高額の賃金を支払わなければならないことが分かります。勤続年数の長い正社員・高給の幹部社員ほど、バックペイの金額は高額になりやすく、解決金の相場も高額になりがちです。
「解雇が無効とされても、働いていないのだからノーワーク・ノーペイで賃金は払わなくてよい」は誤りです。解雇が無効な場合、就労不能の帰責事由は使用者にあり、民法536条2項により賃金支払義務は免れません。「解雇が無効と争われても、解決金を少し払えばすぐに解決できる」も楽観的すぎます。バックペイの金額が高額になれば解決金の相場も高額になります。
03問題社員に利用されるリスク:解雇させて高額解決金を狙う手口
無効な解雇をさせることができれば、働かずに働いたのと同じ賃金を取得できることから、勤労意欲の低い問題社員の中には、使用者に対し積極的に自分を解雇するよう働きかけて自分を解雇させ、解雇無効を主張して働かずに毎月の賃金(高額の解決金)を取得しようとする者もいます。
最近、無断で録音機をポケットに忍ばせて、経営者に対して「解雇だ」と言わせようと頑張る問題社員が増えていますので、見え透いた罠にはまらないようくれぐれもご注意ください。感情的になって「もう来なくていい」「解雇だ」という言葉を発してしまうことが、後で高額のバックペイ請求の根拠とされるリスクがあります。
解雇無効によるバックペイリスクから会社を守るためには、次の原則を守ることが重要です。
② 解雇に踏み切る前に必ず弁護士に相談する
③ 最後の最後まで解雇は行わず、社員から任意に退職届を提出してもらえるよう努力する(退職勧奨を優先する)
④ どうしても解雇が必要な場合は、客観的合理的理由と社会通念上の相当性を弁護士とともに確認した上で行う
弁護士対応事例でよく見られるのは次のようなパターンです。
・「問題社員が明らかに解雇を引き出そうとしていた。弁護士に相談し、感情的な言動を避けつつ退職勧奨に切り替えた。最終的に合意退職が成立し、高額バックペイリスクを回避できた」
解雇無効によるバックペイリスクは、適切な対応で事前に回避できます。問題が生じたら早めに弁護士に相談することが最善策です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年6月28日