この記事の要点

残業時間が長い=仕事熱心とは一概に言えない——成果との組み合わせで評価する必要がある

優秀な社員と成績の上がらない社員とでは、長時間残業の意味がまったく異なります

優秀な社員の長時間残業は、重要な仕事が集中している結果として評価できる面もある——ただし放置してはいけない

サポートする部下を増やすなど本人の負担軽減に努めることが会社側の責務です

残業時間ばかり長くて成績が上がらない社員は、真の意味で仕事熱心とは言えない

本当に仕事熱心な社員であれば、成果をあげるようになるのは時間の問題のはずです

01残業時間と「仕事熱心」の関係——単純に評価できない理由

 「残業時間が長い社員は仕事熱心だ」という評価は、実務上は単純に当てはまりません。残業時間の長さだけを見て仕事熱心かどうかを判断することはできず、その社員の勤務成績・業務成果との組み合わせで考える必要があります。

 特に残業代請求の問題が生じやすい現在の労務環境においては、長時間在社の実態がどのようなものかを会社経営者がきちんと把握しておくことが重要です。優秀な社員が長時間残業している場合と、成績がいつまでたっても上がらないのに残業時間だけが長い社員の場合とでは、対応の考え方がまったく異なります。

02優秀な社員が長時間残業している場合の対応

 優秀な社員には重要な仕事が集中する傾向にありますから、トップクラスの成果を上げている優秀な社員の残業時間が長い場合には、仕事熱心だから残業時間が長くなっていると評価できるのかもしれません。

 優秀な社員には多くの重要な仕事を任せたいという要請がある一方、長時間残業を放置するわけにもいきませんから、優秀な社員をサポートする部下を増やすなどして、本人の負担軽減に努めてください。優秀な社員の長時間労働を放置することは、安全配慮義務の観点からも問題があり、また本人の体調悪化・離職リスクにもつながります。

03成績が上がらないのに残業時間だけが長い社員への見方

 他方、残業時間ばかりが長くて勤務成績がいつまでたっても良くならない社員が、仕事熱心だと考えることはできません。本当の意味で仕事熱心な社員であれば、成果をあげるようになるのは時間の問題のはずです。

 残業時間が長いのに成果が上がらない状況が続いているのであれば、仕事の進め方に問題があるのか、業務の適性に合っていないのか、あるいは実際には効率よく仕事をする意欲がないのかを、会社経営者として冷静に評価する必要があります。このような社員に対しては、単に「頑張っているから」と放置するのではなく、適切な指導・評価・対応を検討することが重要です。

04まとめ——残業時間を正しく評価するために

 残業時間の長さだけで社員の「仕事熱心さ」を評価することは適切ではありません。トップクラスの成果を出している優秀な社員の長時間残業は、重要な仕事が集中している結果として評価できる面もありますが、それでも放置せずに負担軽減に努めることが会社側の責務です。一方、残業時間ばかりが長くて勤務成績がいつまでも上がらない社員は、真の意味で仕事熱心とは言えません。本当に仕事熱心な社員であれば、成果をあげるようになるのは時間の問題のはずです。

 残業代問題・問題社員対応・労働時間管理の整備については、使用者側弁護士・会社側弁護士に早期に相談することをお勧めします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。残業代請求への対応・問題社員対応・労働時間管理の整備でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 残業時間が長い社員は仕事熱心だと評価してよいですか。

A. 一概には言えません。トップクラスの成果を上げている優秀な社員であれば、重要な仕事が集中している結果として評価できる面もあります。しかし、残業時間ばかりが長くて勤務成績がいつまでも上がらない社員は、真の意味で仕事熱心とは言えません。成果との組み合わせで評価することが重要です。

Q2. 優秀な社員の長時間残業はどのように対応すべきですか。

A. 優秀な社員には多くの重要な仕事を任せたいという要請がある一方、長時間残業を放置するわけにもいきません。サポートする部下を増やすなどして本人の負担軽減に努めることが会社側の責務です。長時間労働の放置は安全配慮義務の観点からも問題があります。

Q3. 残業時間が長いのに成績が上がらない社員への対応はどうすればよいですか。

A. 残業時間が長いことを「頑張っているから」と放置するのではなく、仕事の進め方・業務適性・意欲について冷静に評価することが重要です。本当に仕事熱心な社員であれば、成果をあげるようになるのは時間の問題のはずです。適切な指導・評価・対応を検討することが必要です。

Q4. 残業時間の長さと勤務評価の関係について教えてください。

A. 残業時間の長さだけで社員の評価をすることは適切ではありません。成果・業績と合わせて評価することが重要です。また、残業時間が長い社員への対応は、残業代請求リスクの観点からも重要であり、使用者側弁護士・会社側弁護士に相談しながら適切な労働時間管理体制を整えることをお勧めします。

最終更新日:2026年5月10日



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