この記事の結論
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解雇予告義務の適用除外は4類型(労基法21条)。いずれも「一定期間超えると適用除外が消滅」する

日雇労働者(1か月超で適用)・2か月以内の有期契約者(期間超過で適用)・季節的業務従事者(4か月超で適用)・試用期間中(14日超で適用)の4類型です。形式的な契約区分だけで判断せず、実際の使用期間を確認することが重要です。

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予告義務の適用除外と解雇の有効性(労契法16条)は別問題。予告が不要でも合理性がなければ解雇は無効

解雇予告義務の問題(「方法」の問題)と、解雇自体の有効性(労働契約法16条の「実体」の問題)は常に分けて考える必要があります。試用期間中で14日以内であっても、合理性のない解雇は無効となります。

01解雇予告義務の原則(労基法20条)

 解雇予告義務とは、使用者が労働者を解雇する場合に、原則として30日前に解雇を予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない義務をいいます。その根拠は、労働基準法第20条です。同条は、労働者の生活保障の観点から、突然の失職による経済的打撃を緩和する趣旨で設けられています。

 ここで重要なのは、解雇理由の正当性とは別の問題であるという点です。たとえ解雇理由が合理的であったとしても、解雇予告義務を履行しなければ、労基法違反となります。また、予告日数と解雇予告手当の支払日数は通算可能です(予告日数+手当相当日数が30日以上あれば足ります)。

 即時解雇とする場合には、解雇予告手当を現実に支払って初めて解雇の効力が生じます。会社経営者としては、解雇の有効性(労働契約法16条)とは別に、方法としての適法性(労基法20条)を必ず確認する必要があります。

02解雇予告義務の適用除外(労基法21条)

 もっとも、すべての労働者に解雇予告義務が及ぶわけではありません。例外を定めているのが、労働基準法第21条です。同条は、一定の短期的・暫定的雇用形態については、解雇予告義務を適用しないと定めています。

類型 適用除外消滅の基準
日々雇入れられる者(日雇労働者) 1か月を超えて引き続き使用された場合
2か月以内の期間を定めて使用される者 所定の期間を超えて引き続き使用された場合
季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者 所定の期間を超えて引き続き使用された場合
試用期間中の者 14日を超えて引き続き使用された場合

 いずれの類型についても、一定期間を超えて「引き続き使用されるに至った場合」には、解雇予告義務が復活します。形式的な契約形態だけで判断されるわけではなく、実際の使用状況が重要です。労基法21条の例外は、限定的かつ厳格に解釈されるべき規定です。

03日雇労働者の例外と「1か月超」の意味

 日々雇入れられる者(日雇労働者)については、原則として解雇予告義務の適用はありません(労働基準法第21条)。もっとも、1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合には、解雇予告義務が適用されます。

 名目上は日々契約を締結しているとしても、実際には連日継続して就労している場合には、継続的雇用関係と評価される可能性があります。例えば、同一の現場で毎日勤務し業務内容も継続的であるような場合、形式的に日雇契約を繰り返していても、1か月を超えれば解雇予告義務が生じます。

 会社経営者として重要なのは、「契約書の形式」ではなく、「実際の使用状況」で判断されるという点です。日雇契約を利用している場合には、継続使用期間の管理を厳格に行わなければ、思わぬ解雇予告手当請求のリスクが生じます。

04有期契約労働者(2か月以内)の取扱い

 2か月以内の期間を定めて使用される労働者についても、原則として解雇予告義務は適用されません(労働基準法第21条)。しかし、「所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合」には、解雇予告義務が生じます。

 例えば、1か月契約を締結し、その後さらに更新して合計2か月を超えて使用した場合、例外は消滅します。更新を繰り返している場合には、実態として継続雇用と評価されやすくなります。

 重要なのは、契約期間満了による終了と、期間途中の解雇とは区別されるという点です。期間途中で契約を打ち切る場合には、解雇に該当する可能性が高く、解雇予告義務の問題が生じます。短期契約を用いる場合であっても、更新状況や実際の就労期間を正確に把握し、2か月を超えていないかを確認することが必要です。

05季節的業務従事者の取扱い

 季節的業務に従事する労働者で、4か月以内の期間を定めて使用される者についても、原則として解雇予告義務は適用されません(労働基準法第21条)。典型例としては、一定の繁忙期のみ行われる農業・漁業・観光関連業務などが想定されています。

 ここで重要なのは、「季節的業務」であるかどうかの実態判断です。名称上は季節業務とされていても、通年で反復継続して業務が存在する場合には、季節性が否定される可能性があります。また、繁忙期ごとに契約を繰り返している場合でも、実質的に継続的な雇用関係があると評価されれば、例外の適用は否定され得ます。

 形式的に「季節契約」としているだけでは足りません。実態に即した判断が求められます。

06試用期間中の労働者と「14日ルール」

 試用期間中の労働者についても、原則として解雇予告義務は適用されません(労働基準法第21条)。もっとも、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合には、解雇予告義務が適用されます。いわゆる「14日ルール」です。

 したがって、採用日から14日以内に解雇する場合は予告不要ですが、15日目以降の解雇については、通常どおり30日前の予告または30日分以上の平均賃金の支払が必要となります。

 ここで注意すべきなのは、「試用期間が3か月ある」「6か月ある」といった社内規定の長さとは無関係であるという点です。法律上の例外期間はあくまで14日です。試用期間はあくまで適格性判断の猶予期間であり、解雇予告義務の全面的免除期間ではありません。日数のカウントを誤らないことが実務上極めて重要です。

07よくある誤解:試用期間中なら予告不要?

 実務上最も多い誤解が、「試用期間中であればいつでも解雇予告なしに解雇できる」という理解です。しかし、労働基準法第21条が認めているのは、あくまで採用後14日以内に限った例外です。14日を経過すれば、通常の労働者と同様に同法第20条の解雇予告義務が適用されます。

 また、解雇予告義務の問題と、解雇の有効性は別問題です。たとえ14日以内であっても、解雇が恣意的であれば、労働契約法第16条の解雇権濫用の問題が生じます。試用期間中の解雇は、本採用拒否の一種として比較的広い裁量が認められるといわれますが、それでも合理的理由と相当性は必要です。

会社経営者として確認すべき三点:
① 14日を経過していないか(経過後は解雇予告義務が適用される)
② 解雇理由に合理性があるか(試用期間中でも解雇権濫用の問題は生じる)
③ 手続が拙速になっていないか

08実務上のチェックポイント

 解雇予告義務の適用有無を誤ると、解雇予告手当請求や労基署対応といったリスクが直ちに発生します。解雇前に次の点を必ず確認する必要があります。

① 形式ではなく実態の使用期間:日雇・短期契約・季節契約・試用期間という名称にとらわれず、実際に何日間・何か月間継続して使用しているかを正確に把握する
② 契約更新の有無と回数:短期契約を更新している場合、合算して所定期間を超えていないかを確認する
③ 試用期間については採用日からの経過日数を厳密に計算する(14日を1日でも超えれば労基法20条が適用される)
④ 解雇通知日と解雇効力発生日の関係:即時解雇とする場合には、解雇予告手当を現実に支払った日が効力発生日に影響する

 解雇は一度行えば後戻りできません。適用除外と安易に判断する前に、使用期間と法的要件を必ず再確認することが、最大のリスク回避策となります。

09適用除外と解雇権濫用の関係

 解雇予告義務の適用がない場合であっても、それだけで解雇が有効になるわけではありません。労働基準法第21条は、あくまで「解雇予告という方法」に関する例外を定めた規定にすぎません。解雇そのものの有効性とは別問題です。

 解雇が有効かどうかは、労働契約法第16条に基づき、客観的合理的理由と社会通念上の相当性によって判断されます。例えば、試用期間中で14日以内であったとしても、理由なく恣意的に解雇すれば、解雇権濫用として無効と判断される可能性があります。

 また、短期契約労働者であっても、更新期待が認められる場合には、実質的に解雇と同視され、厳格な審査がなされることがあります。

経営上のポイント 解雇予告義務の適用除外(労基法21条)は日雇・2か月以内有期・4か月以内の季節業務・試用期間中の4類型ですが、いずれも継続使用で除外が消滅します。特に試用期間の「14日ルール」は誤解が多く注意が必要です。また予告義務の問題と解雇の有効性(労契法16条)は常に別の問題として検討する必要があります。解雇を行う前に弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年2月25日


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