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この記事の要点

有期契約社員なら期間満了退職で処理できる——無期契約(正社員)は定年まで待てないため別の方法を検討する必要がある

有期契約は期間満了で退職扱いが基本。正社員の場合は1〜3ヶ月程度の連絡なし欠勤で普通解雇・懲戒解雇の理由として十分になることが多い

多くの中小企業では「家族や身元保証人と協議して退職処理」という方法を取るが、法的効力は怪しい——本人が戻ってきた場合に対応が必要になることがある

ただし実際には「1〜2ヶ月連絡なし欠勤の後に退職処理が不当だ」と争ってくる人はほとんどいない。戻ってきた時点で解雇すれば有効になることが多い

コンプライアンスを重視する場合は①解雇通知(簡易裁判所の公示送達を使って本人に届けたとみなす)または②就業規則に「連絡なし欠勤一定期間で自然退職」と規定しておく

②の就業規則の整備は事前の仕込みが必要だが、一度整備すれば意思表示到達の問題がなくなる。最も負担が軽くコンプライアンス上問題のない方法

就業規則の整備は今からでもできる——1回でも「突然出社しなくなった」という経験をした会社はすぐに整備することをお勧めする

「連絡なし欠勤30日以上で自然退職」などの規定を就業規則に設け、周知することで次回以降の対応が格段に楽になる

1. 有期契約社員の場合——期間満了退職で処理できる

突然出社しなくなり連絡が取れない社員を退職させる方法は、まず雇用形態によって対応が変わります。有期契約(パート・アルバイト・契約社員)であれば、しばらく待って契約期間満了した時点で退職扱いとすることが基本的に可能です。

この場合も1回連絡を試みてそのまま放置するのではなく、連絡努力を続けた上で期間満了退職を処理することが適切です。

2. 無期契約(正社員)の場合①——よくある処理(家族・身元保証人と協議して退職)の実情と法的評価

問題になるのは無期契約(正社員)の場合です。定年まで待てないため、どこかのタイミングで労働契約を終了させる必要があります。

多くの中小企業で実際に行われているのは、「家族や身元保証人と連絡を取って協議し、退職処理を進める」という方法です。身元保証書に記載された連絡先に電話・手紙で状況を伝え、家族の了解を得て退職処理をするというものです。

しかし弁護士の目から見ると、この方法の法的効力は怪しいのが正直なところです。家族や身元保証人が「退職でいい」と言っても、本人が退職の意思表示をしていない以上、法的に退職の効力が生じているかどうかは微妙なケースが多いです。

ただし実際には、1〜2ヶ月連絡なし欠勤の後の退職処理について「不当だ」と争ってくる人はほとんどいません。仮に戻ってきて争おうとしても、その時点で解雇すれば有効になる可能性が高いという実態もあります。そのため多くの中小企業ではこの方法で処理しています。

3. 無期契約(正社員)の場合②——コンプライアンスを重視する場合:解雇通知+公示送達

コンプライアンスを最重視する場合は、解雇通知を行うことになります。ただし解雇は「意思表示の到達」が必要であり、本人がいないところに送っても届いたとは言えないケースがあります。

この問題を解決するための法的手続きが簡易裁判所の公示送達です。この制度を使えば、本人の所在が不明でも、一定の手続きを経ることで解雇の意思表示が「届いたとみなす」ことができます。手間とコストはかかりますが、法的に最も確実な方法です。この手続きは弁護士に依頼することをお勧めします。

4. 無期契約(正社員)の場合③——最も負担が軽い方法:就業規則に自然退職規定を設ける

コンプライアンス上問題がなく、かつ負担が最も軽い方法は、就業規則に「連絡なし欠勤が一定期間続いた場合に自然退職とする」という規定を設けておくことです。

解雇は「意思表示の到達」が必要ですが、自然退職(当然退職)は通知不要でその事実の発生によって効力が生じます。例えば定年退職は特に通知しなくても退職の効力が生じるのと同じです。

▶ 就業規則への自然退職規定の設け方(例)

「正当な理由なく連絡なしで30日(または60日)以上欠勤した場合は、当該期間満了日をもって退職とする」

このような規定を就業規則に設け、社員に周知することで、その期間が満了した時点で自動的に退職の効力が生じます。意思表示の到達の問題がなくなるため、コンプライアンス上も最も安心できる方法です。

5. 今すぐ就業規則を整備する——1回でも経験した会社はすぐに対処を

就業規則への自然退職規定の整備は、今すぐできます。「連絡なし欠勤30日以上で自然退職」などの規定を設けて周知することは、弁護士・社労士のサポートを受けながら比較的短期間で実現できます。

突然出社しなくなり連絡が取れない社員の問題を1回でも経験した会社は、すぐにこの規定の整備を検討してください。次回同じ問題が起きた時の対処が格段に楽になります。

具体的にどのような規定にすべきか・どのような期間設定が適切かについては、弁護士に相談しながら自社の状況に合わせた内容を設計してください。

6. まとめ

① 有期契約は期間満了退職で基本OK、正社員は別の対応が必要

有期契約は期間満了退職で処理。正社員は3つの方法(家族協議・公示送達解雇・就業規則自然退職規定)から選択する。

② 多くの中小企業が行う「家族協議での退職処理」は法的効力が怪しいが実際上のトラブルは少ない

仮に問題になっても戻ってきた時点で解雇すれば有効になる可能性が高い。ただしコンプライアンスを重視する場合は公示送達解雇を使う。

③ 最も確実・負担が軽い方法は就業規則への自然退職規定の整備——今すぐ取り組む

「連絡なし欠勤30〜60日で自然退職」の規定を設けて周知することで、意思表示到達の問題なしに退職の効力を発生させられる。

よくある質問(FAQ)

Q就業規則に自然退職の規定がない場合、どのくらい欠勤が続いたら解雇できますか?
A

明確な期間の定めはありませんが、連絡なしで1〜3ヶ月程度の欠勤が続けば、普通解雇・懲戒解雇の理由として十分になることが多いです。特別な事情(病気・事故など)がなく、正当な理由を説明しないまま長期間欠勤していた場合は解雇が有効になりやすいです。個別の状況を弁護士に相談してください。

突然出社しなくなった社員の退職処理でお困りの方はご相談ください

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弁護士 藤田 進太郎

監修者弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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最終更新日 2026/04/16


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