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定額残業代が「有効」と認められた場合——定額残業代を除外した賃金を基礎賃金として残業代を計算し、定額残業代で不足する「不足額」のみを追加で支払う義務が生じる 「定額残業代は残業代として認められる」という前提で計算するため、追加支払額は相対的に少額になります |
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定額残業代が「無効」と認められた場合——定額残業代も基礎賃金に算入して残業代を再計算し、その「全額」を追加で支払う義務が生じる 「定額残業代は残業代として認められない→基礎賃金に含まれる」という前提で計算するため、追加支払額が大幅に増加します |
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定額残業代が無効と判断された場合の追加支払額は、有効と判断された場合の追加支払額と比べて大幅に増加する——「無効リスク=多額の残業代請求リスク」を正確に認識することが重要 設計の適正さが追加支払額の規模を決定します |
目次
01定額残業代が「有効」と認められた場合の追加支払額——不足額のみ
定額(固定)残業代の支払により使用者が時間外・休日・深夜割増賃金を支払ったと認められた場合の追加支払額は、以下のように計算されます。
① 定額残業代を含む除外賃金を除外した賃金(≒基本給・手当から定額残業代を除いた部分)を基礎賃金として算定する
② その基礎賃金に基づいて労基法37条・同法施行規則19条の計算方法で残業代(割増賃金)の金額を計算する
③ 計算した残業代の金額から定額残業代の金額を差し引いた「不足額」が追加支払義務の対象となる
追加支払額 = 正規に計算した残業代(割増賃金)の金額 - 定額残業代の金額
02定額残業代が「無効」と認められた場合の追加支払額——全額(定額残業代も基礎賃金に算入)
定額(固定)残業代の支払により使用者が時間外・休日・深夜割増賃金を支払ったと認めてもらえなかった場合は、状況が大きく変わります。
【無効の場合】追加支払額の計算方法——定額残業代も基礎賃金に算入
① 定額残業代が「残業代として認められない」となると、定額残業代は通常の賃金の一部(基礎賃金の構成要素)として扱われる
② 定額残業代を含む賃金全体(除外賃金を除く)を基礎賃金として残業代(割増賃金)を計算する
③ 基礎賃金が高くなる分、計算される残業代も高くなり、その「全額」を追加で支払う義務が生じる
追加支払額 = 定額残業代を含む基礎賃金に基づいて計算した残業代(割増賃金)の全額
03具体的な計算例で差を確認する
有効の場合と無効の場合で追加支払額がどれほど変わるか、具体的な計算例で確認します。
この例では、有効の場合は約67,187円の追加支払で済むのに対し、無効の場合は約140,625円(有効の場合の約2.1倍)を支払わなければなりません。時効(3年)の範囲で遡及して計算された場合、年間の差額は(140,625円 – 67,187円)×12ヶ月 = 約87万円の差になります。3年分では約261万円の差が生じます。
定額残業代制度の設計の適否が、実際の追加支払額の規模を決定するという点を正確に理解しておくことが重要です。
04まとめ
定額(固定)残業代を採用した場合に追加で支払わなければならない残業代(割増賃金)の金額は、定額残業代が有効と認められた場合は「不足額」のみ、無効と認められた場合は定額残業代も基礎賃金に算入して計算した残業代の「全額」となります。有効か無効かで追加支払額は大幅に変わります。定額残業代制度の設計が不適正であるほど追加支払額が増大するリスを正確に理解した上で、350番・351番で解説した適法な定額残業代制度の設計を行うことが重要です。具体的な設計については使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
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Q&Aよくある質問
Q1. 定額残業代が無効と判断された場合、なぜ追加支払額が増えるのですか。
A. 定額残業代が無効と判断されると「定額残業代は残業代ではなく通常の賃金の一部」として扱われます。その結果、定額残業代が基礎賃金に算入されて残業代の単価(時間単価)が高くなります。高くなった単価に基づいて残業代全額を計算した金額を支払う義務が生じるため、追加支払額が大幅に増加します。
Q2. 「不足額」の追加支払はいつ支払えばよいですか。
A. 当該賃金計算期間に対応する賃金支払日に支払う法的義務が生じます。例えば、当月分の残業代について定額残業代で不足する場合は、翌月の給与支払日に不足額を追加で支払う必要があります。毎月の給与計算の際に、当月の実残業時間数に基づいて残業代を計算し、定額残業代との差額(不足額)を確認・支払する運用が必要です。
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最終更新日:2026年5月10日