この記事の結論
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60万円以内の金銭請求に利用できる簡易な訴訟手続

少額訴訟は、60万円以内の金銭請求事件に限り利用できる簡易な訴訟手続です。原則として1回の口頭弁論で審理が完了し、判決も口頭弁論終結後直ちに言い渡されます。

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証拠調べは即時に取り調べできるものに限られる

証拠調べの対象は、即時に取り調べることができるものに限られます。そのため、手続が簡易であり、労働事件においては本人訴訟で利用されることが多い傾向があります。

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会社側は通常の訴訟手続への移行を申し出ることができる

少額訴訟を提起された場合でも、会社側が答弁書の提出と同時に通常訴訟手続への移行を申し出ることが可能です。丁寧な審理を求める場合はこの選択肢を検討することになります。

01少額訴訟とはどのような手続か

 少額訴訟とは、証拠調べの対象が即時に取り調べることができるものに限られ、原則として1回の口頭弁論で審理を完了し、判決も口頭弁論終結後直ちに行われる簡易な訴訟手続です。

 通常の民事訴訟では、複数回にわたる口頭弁論や証拠調べを経て判決に至りますが、少額訴訟はこれを大幅に簡略化したものです。そのため、弁護士に依頼せずとも比較的利用しやすい手続となっています。

 少額訴訟は、簡易裁判所において取り扱われます。手続が簡便であるため、一般の方でも利用しやすく、労働事件においては本人訴訟(弁護士なしで本人が手続を行う場合)で利用されることが多い傾向にあります。

02少額訴訟の利用要件

 少額訴訟は、60万円以内の金銭請求事件の場合のみ利用することができます。60万円を超える請求については利用できません。

 また、同一の簡易裁判所において少額訴訟を利用できる回数は、同一の原告について年間10回までに制限されています。多数の事件を抱える業者などによる乱用を防ぐための制限です。

 さらに、金銭の支払いを求める請求に限定されており、物の引渡しや解雇の撤回のような非金銭請求には利用できません。労働事件においては、未払賃金や損害賠償の請求に使われるケースが典型的です。

03少額訴訟の手続の流れ

 少額訴訟は、原則として1回の口頭弁論で審理が完了します。当日に証拠調べを行い、口頭弁論の終結後、直ちに判決が言い渡されます。

 証拠調べの対象は、即時に取り調べることができるものに限られます。つまり、期日当日に持参できる書類や証人など、その場で確認できる証拠のみが対象となります。後日に提出する書証や鑑定などは馴染みません。

 判決の内容としては、金銭の支払いを命じるほか、分割払いや支払猶予が認められることもあります。少額訴訟の判決に不服がある場合は、異議の申立てをすることで通常の訴訟手続で再審理を求めることが可能です。

04労働事件における少額訴訟の特徴

 労働事件においては、少額訴訟は本人訴訟で利用されることが多い傾向にあります。手続が簡易で費用も低廉なため、弁護士費用をかけずに短期間で解決を図りたいという場合に活用されます。

 典型的には、未払残業代や未払賃金のうち、請求額が60万円以内の部分に利用されます。請求額が60万円を超える場合は通常訴訟を利用することになります。

 一方で、少額訴訟は証拠調べの範囲が限定されているため、事実関係が複雑な事案や証拠が多い事案には向きません。会社側としても、事案の内容に応じて少額訴訟に応じるべきか、通常訴訟への移行を求めるべきかを判断する必要があります。

05会社側の対応として知っておくべきこと

 少額訴訟を提起された場合の会社側の対応としては、大きく2つの選択肢があります。

 第一は、少額訴訟に応じてそのまま審理を受ける方法です。請求金額が少額で、事実関係も明確であり、早期にざっくりと解決したい場合には、少額訴訟の手続に応じて判断してもらうことが合理的な選択となります。

 第二は、通常の訴訟手続へ移行させる申出をする方法です。請求金額が少額であっても、事実関係を丁寧に審理してもらいたい場合や、証拠の提出に時間が必要な場合には、答弁書の提出と同時に通常訴訟手続への移行を申し出ることができます。移行申出があると、事件は通常の民事訴訟として審理されることになります。

経営上のポイント 少額訴訟を提起された場合、少額訴訟に応じるか通常訴訟に移行させるかは、請求内容・証拠の状況・事案の複雑さによって判断が変わります。早期解決のために少額訴訟に応じることが合理的なケースもありますが、事実関係の確認や反論の準備が必要な場合は、通常訴訟への移行を検討することが重要です。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 少額訴訟の判決に不服がある場合、どうすればよいですか。

A. 少額訴訟の判決に不服がある場合、判決書の送達を受けた日から2週間以内に、判決をした簡易裁判所に異議を申し立てることができます。異議が認められると、事件は通常の訴訟手続で再審理されます。

Q2. 少額訴訟と労働審判は、どちらの方が会社側に有利ですか。

A. 一概にどちらが有利とはいえません。労働審判は調停による解決を志向するため、双方の主張を踏まえた調整的解決が可能です。少額訴訟は証拠調べが限定されるため、請求額が少額で事実関係が比較的明確な場合に向いています。いずれの手続が提起されたかに応じて、適切な対応を検討することが重要です。

Q3. 少額訴訟を提起された場合、弁護士に依頼すべきですか。

A. 少額訴訟は比較的簡易な手続ですが、通常訴訟への移行を申し出るかどうかの判断、反論の組み立て、証拠の準備など、法的な判断が必要な場面があります。請求内容や事実関係によっては弁護士に相談することが有益な場合がありますので、まず使用者側弁護士に状況を説明することをお勧めします。

最終更新日:2026年2月25日


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