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整理解雇はトラブルが多い。まず「話し合いで辞めてもらう」を試みる 整理解雇は手順を踏めば可能ですが、不当解雇と主張されて労働審判や訴訟になることも珍しくありません。閉店・廃業の事情を丁寧に説明し、ある程度の上乗せ金を提示して退職をお願いする「退職勧奨」が、トラブルの少ない方法としてお勧めです。 |
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会社が儲かっていないことを理解している従業員は退職に応じてくれることが多い 赤字続きで閉店せざるを得ないことを、従業員はある程度理解していることが多いです。誠実に事情を説明し、一定の上乗せ金を提示することで、退職に同意してもらえるケースがほとんどです。 |
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退職の合意後、必ず退職届(退職願)を取得すること 退職の話がまとまっても、退職届を取得しないまま安心してしまうと、後から「辞めると言っていない」とトラブルになることがあります。必ず書面で退職届を取得してください。 |
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目次
01整理解雇という選択肢とそのリスク
店を閉めなければならなくなったのであれば、手順を踏めば整理解雇ができるかもしれません。整理解雇とは、会社の経営上の必要性に基づいて行う解雇です。法律上、整理解雇が有効と認められるためには、①人員削減の必要性、②解雇回避努力(配置転換・希望退職の募集等)、③被解雇者の選定基準の合理性、④従業員や組合への説明・協議、という4つの要件を満たすことが求められます。
しかし、整理解雇は「トラブルの少ない方法」とはお世辞にもいえません。手続きを踏んだつもりでも、「不当解雇」と主張されて労働審判や訴訟になることは珍しくありません。特に、労働法についての知識がない状態で整理解雇を進めると、手続き上の不備を突かれてトラブルに発展するリスクが高くなります。
まずは整理解雇という強硬手段に頼る前に、後述する「話し合いで辞めてもらう」という方法を試みることをお勧めします。
02トラブルが少ない「退職勧奨」という方法
トラブルの少ない方法としてお勧めなのが、「話し合い」で辞めてもらうことです。法律的には「退職勧奨」と呼ばれます。会社が一方的に解雇を言い渡すのではなく、「こういう事情で店を閉めなければならなくなった。申し訳ないが、辞めてほしい」とお願いし、従業員に退職を納得してもらう方法です。
従業員が「自分から辞める(合意退職)」という形を取ることで、「解雇された」という話にならず、後のトラブルが起きにくくなります。整理解雇と違って、厳密な法的手続きを踏まなくても進めることができるため、法律の知識が少ない経営者の方にとっても取り組みやすい方法です。
03退職勧奨のポイント:誠実な説明と上乗せ金
退職勧奨をうまく進めるためには、2つのポイントがあります。
1つ目は、誠実な説明です。店を閉めなければならなくなった事情を、包み隠さず丁寧に話してください。コロナの影響で売上が激減し、もはや経営を続けることができないという現実を、従業員も薄々感じていることがほとんどです。「実はこういう状況になってしまった」と正直に話すことで、従業員も状況を理解しやすくなります。
2つ目は、ある程度の上乗せ金の提示です。法定の解雇予告手当(30日前の予告か1か月分の賃金の支払い)に加えて、お見舞いの意味を込めた上乗せ金を提示することで、従業員が退職を受け入れやすくなります。金額は会社の財政状況にもよりますが、追加で1か月から数か月分の賃金相当額を目安とするケースが多いです。
会社が儲かっていないことを理解している従業員であれば、誠実な説明と一定の上乗せ金があれば、たいていは退職に応じてくれます。もちろん、強引に退職を迫ることは退職強要として違法になりますので、あくまで「お願いする」姿勢を崩さないことが大切です。
04必ず退職届(退職願)を取得すること
退職に同意してもらった後の手続きとして、特に重要なのが退職届(退職願)の取得です。
口頭で「わかりました、辞めます」と言ってもらっただけで安心してしまい、退職届等を取得しなかったばかりに、後から「辞めると言っていない」「解雇された」と言われて、無用の紛争に発展してしまうことがあります。これは実際に起きているトラブルです。
おっくうかもしれませんが、退職の話がまとまったら、必ず書面で退職届を取得するようにしてください。退職届には、①退職する本人の氏名・押印、②退職日、③退職の理由(一身上の都合等)、④作成日、を記載してもらうと良いでしょう。
さらに安全を期すならば、退職合意書(会社と従業員の双方が署名する合意書)を作成することをお勧めします。退職合意書には、上乗せ金の金額・支払い時期、退職日、会社と従業員の双方が今後互いに何らの請求も行わないこと(清算条項)等を盛り込むことで、後のトラブルをほぼ防ぐことができます。
05退職後の手続き・注意点
退職が成立した後も、いくつか対応が必要な事項があります。
まず、未払賃金・残業代・有給休暇の残日数を精算し、退職日までの賃金をきちんと支払うことが必要です。これを怠ると、退職後に「未払残業代の請求」という形でトラブルが生じることがあります。
次に、離職票(雇用保険)・社会保険の喪失届の手続きを速やかに行ってください。退職した従業員が失業給付を受けるために必要な手続きです。これらを放置すると、従業員に迷惑をかけることになり、感情的なトラブルになることもあります。
また、廃業・閉店する場合、社会保険・雇用保険の事業所としての喪失手続き、税務署への廃業届、法人の場合は解散登記等の手続きも必要です。これらは税理士・社労士・司法書士等の専門家と連携して進めることをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 上乗せ金を払う余裕が全くありません。それでも退職に合意してもらえますか。
A. 状況によっては、上乗せ金なしでも退職に合意してもらえることがあります。特に、コロナ禍で売上がなくなり閉店せざるを得ないことが明らかな場合、従業員も現実を理解していることが多く、誠実な説明だけで退職に応じてもらえるケースもあります。ただし、上乗せ金があるほど退職合意がスムーズに進みやすいのは事実です。少額であっても「交通費程度の気持ち」として示すことで、話し合いが円滑に進むこともあります。まずは弁護士に相談し、状況に応じた現実的な対応策を一緒に検討することをお勧めします。
Q2. 退職に同意してくれない従業員がいます。どうすればよいですか。
A. 退職勧奨に応じてくれない場合は、整理解雇という選択肢を改めて検討することになります。整理解雇には法的な要件があり、手続きを誤ると不当解雇として訴えられるリスクがありますので、この段階では必ず弁護士に相談してください。閉店・廃業を前提とした整理解雇は、継続事業の人員削減とは異なる点もあります。また、希望退職の募集期間を設けるなど、段階的に対応することも検討に値します。
Q3. 退職合意書は必ず作らないといけませんか。退職届だけでは不十分ですか。
A. 退職届だけでも、退職の事実は確認できます。しかし、上乗せ金の支払いがある場合や、後の請求(未払残業代等)を防ぎたい場合は、清算条項(「今後互いに一切の請求を行わない」旨の条項)を含む退職合意書を作成することを強くお勧めします。退職合意書を作成することで、退職後に「残業代が未払いだった」「解雇だった」といった追加請求・紛争のリスクを大幅に低減できます。
Q4. 退職してもらった後、従業員が失業給付(雇用保険)をもらうことはできますか。
A. できます。廃業・閉店による退職は、「会社都合退職」として扱われることが多く、「自己都合退職」より有利な条件(給付制限なし・給付日数が多い等)で失業給付を受けられる場合があります。ハローワークへの手続き(離職票の提出等)が必要になりますので、会社側で速やかに離職票を発行してあげることが、退職した従業員への誠実な対応です。手続きの詳細はハローワークや社会保険労務士に確認することをお勧めします。
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最終更新日:2026年2月25日