合意退職と辞職の違いと退職届の撤回可否について教えてください。
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辞職は到達後、合意退職は承諾後に撤回できなくなる 辞職は会社の承諾を必要とせず、意思表示が到達した後は原則として一方的に撤回できません。合意退職の申込み(退職願)は、会社が承諾するまでの間は撤回が可能です。 |
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速やかな承諾通知で法的効果を確定できる 会社は退職届を受理した後、速やかに承諾の意思表示(書面による承認通知等)を行うことで、法的効果を確定させ、後日の撤回主張を防ぐことができます。 |
「退職届を出したが撤回できるか」「合意退職と辞職は何が違うのか」。こうした疑問は、退職をめぐるトラブルの場面で会社経営者・人事担当者が必ず直面するものです。879の記事で解説した辞職の効力とも関連しますが、本稿では、退職届の撤回という実務上頻出の問題に焦点を当てます。
会社側専門の弁護士の立場から、合意退職と辞職の違い・退職届の撤回可否の判断基準・実務対応を解説します。
01合意退職と辞職の違い
辞職は、労働者が一方的に「退職します」という意思表示をすることで、会社の承諾がなくても労働契約終了の効果が生じます(民法上は雇用期間の定めがない場合、申告から2週間後に効力が発生します)。辞職の意思表示が相手方(会社)に到達した後は、原則として一方的に撤回することはできません。
合意退職は、会社と労働者が話し合い、双方が合意することで労働契約を終了させるものです。「退職願」という形式で提出された場合、通常は会社への「申込み」であり、会社が「承諾」するまでは撤回が可能と解されることが多いです。会社の承諾があって初めて労働契約が終了します。実務上は、退職届や退職願の文言が「退職します」なのか「退職を申し出ます・お願いします」なのかで性質が異なってきます。前者は辞職(意思表示の到達で効力発生)、後者は合意退職の申込みと解される傾向があります。会社経営者としては、退職届・退職願の書式を整備し、退職の性質を明確にしておくことが重要です。
02退職届の撤回可否の判断基準
退職届の撤回が認められるかどうかは、退職届の法的性質と撤回の申出時期によって判断されます。辞職の意思表示として提出された退職届は、会社への到達後は原則として撤回できません。ただし、錯誤・強迫・詐欺によって意思表示がなされた場合は取消しが認められる場合があります。
合意退職の申込みとして提出された退職願は、会社が承諾するまでの間は撤回が可能です。会社が承諾した後は撤回できません。問題となるのは、退職届・退職願が「辞職」か「合意退職の申込み」かの区別が曖昧な場合です。裁判例では、「退職届」という形式でも、提出の事情や文言から合意退職の申込みと解されたケースがあります。会社経営者としては、退職届を受理した後は速やかに承諾の意思表示(書面による承認通知など)を行い、法的効果を確定させることで、後日の撤回主張を防ぐことができます。
03退職勧奨と退職の関係(自由な意思の確保)
856の記事で解説した退職勧奨は適法な行為ですが、退職勧奨を受けた労働者が提出した退職届の有効性が後に争われるケースがあります。特に問題となるのは、強要に近い態様(長時間・連日の面談強要、「退職か解雇か選べ」といった圧力等)で退職勧奨がなされた場合です。このような場合、退職の意思表示が強迫に基づくものとして取消しが認められたり、会社の損害賠償責任が認められたりするリスクがあります。857の記事で解説した意思表示の取消しリスクとも重なる論点です。
適切な退職勧奨を行うためには、面談回数・時間を適切に設定し、退職を強制するような言動を避け、労働者が自由な意思で判断できる環境を確保することが重要です。また、退職届の提出後に熟慮期間を設けることも、後日の撤回・取消主張を防ぐ上で有効です。
04退職に関するトラブルを防ぐための実務対応
退職に関するトラブルを防ぐためには、まず退職の手続を就業規則で明確に定めることが重要です。退職の申出期限・退職届の提出方法・会社の承認手続などを就業規則に明記し、従業員に周知しておくことが基本です。
退職届を受領した際は、その内容を確認し、速やかに会社としての承認意思を書面で通知することが望ましいといえます。これにより、合意退職の成立時点が明確となり、後日の撤回主張を防ぐことができます。また、退職勧奨を行う場合は、面談内容を記録に残し、適切な態様で行ったことを証明できるよう準備しておくことが重要です。
05よくある質問(FAQ)
Q. 「退職願」を提出した従業員が撤回を申し出た場合、応じる必要がありますか。
会社が承諾する前であれば、原則として撤回に応じる必要があります。会社が既に承諾している場合は、撤回に応じる法的義務はありません。
Q. 「退職します」と明記された退職届は撤回できますか。
原則として撤回できません。辞職の意思表示として、会社への到達後は一方的に撤回することができません。
Q. 退職届の撤回を防ぐには、会社としてどう対応すればよいですか。
退職届を受理した後、速やかに書面による承諾の意思表示を行うことで、合意退職の成立時点を明確にし、後日の撤回主張を防ぐことができます。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。退職手続の整備でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日