この記事の結論
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解雇トラブルの多くは採用時の見極めの甘さが原因。「採用に積極的な理由がなければ不採用」を徹底する

弁護士に相談が必要になるほどの問題社員事案は、採用時にすでに問題を感じながら、手間・費用・人手不足を理由に採用してしまったケースが相当割合を占めます。採用段階の見極めが最大の予防策です。

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会社経営者自らが採用に深く関わる。部下に任せる場合も人選が重要

中小企業では、採用は会社の将来を左右する重要な意思決定です。経営者自身が採用に深く関わり、部下に任せる場合も経営に協力的で人間性に優れた人物に担当させるべきです。

01解雇トラブルの根本原因は採用時の見極めの甘さ

問題社員事案の多くは「採用時にすでに問題を感じていた」

 問題社員の解雇で苦労することになった原因のかなりの部分は、会社経営者が多忙であることなどから、採用活動にかける手間や費用を惜しんだり、人手不足の解消を優先させたりして、問題社員かもしれないと感じながら採用してしまったことにあります。

 弁護士に相談しなければならないほどの事案は、採用時にあまり良い印象を持たなかった応募者を採用してみたところ、やはり問題社員だった、という事案が相当な割合を占めています。応募者にだまされて採用してしまったというよりも、問題があることには薄々気づいていたものの、採用の手間や費用を惜しんだり人手不足の解消を優先させたりして、問題がある人物の採用を自分で正当化してしまった、という表現の方が実態に近い事案が多いのです。

「使ってみなければ分からない」という一般論の落とし穴

 あまり深く考えないと、「実際に使ってみなければ良い社員かどうかは分からない」という一般論に説得力があるように感じられるかもしれません。しかし実際には、「良くない社員だということは、採用の時点である程度分かっていた」というケースが少なくありません。多くの応募者と接してきた経営者の直感は、決して侮れないものです。

02採用の原則:積極的な理由がなければ不採用

 会社経営者が、会社にとって魅力的な人物だと判断できれば採用し、そう思わなければ不採用にする、という当たり前の方針を貫くことで、採用で失敗するリスクは相当下がるはずです。

 採用することにこそ積極的な理由が必要なのであって、不採用とすることに積極的な理由が必要なわけではありません。採用に値する積極的な理由が見当たらない場合には、不採用とすることをお勧めします。

 「人手が足りないから」「採用の手間をかけたくないから」という消極的な理由で採用することは、後の解雇トラブルの種をまくことにもなりかねません。少しでも引っかかりを感じたら、その感覚を大切にして不採用とする判断も必要です。

よくある採用時の自己正当化

 「面接では少し気になったが、働かせてみれば変わるかもしれない」→ 変わらないことが多いです。面接で感じた違和感は、実際に働いてもらっても基本的には変わりません。むしろ、試用期間を過ぎると問題行動がより明確になるケースの方が多いのが実情です。

 「今すぐ人手が必要だから、多少気になっても採用するしかない」→ 長期的にはコストが高くつきます。短期的な人手不足の解消のために問題のありそうな人物を採用すると、後の解雇トラブルで解決金・弁護士費用・時間的コストを負担することになりかねません。「採用しない」という選択が、長い目で見れば最良のコスト管理になることもあります。

03採用は経営者自らが深く関わる

中小企業では経営者自らが採用に深く関わるべき

 会社経営者を中心とした結束が生命線となる中小企業の場合は、会社経営者自らが採用活動に深く関わるべきだと考えます。採用は会社の将来を左右する重要な意思決定であり、経営者自身が最終的な判断を行うことが望まれます。

部下に任せる場合の注意点

 「類は友を呼ぶ」ということわざのとおり、部下に採用を任せると、その部下は、仕事に関して自分と似た価値観やものの考え方を持った人物を採用する傾向があります。仮に部下の誰かに採用を任せる場合には、会社経営に協力的で、人間性にも優れた人物に採用を担当してもらうべきだと考えます。誰に採用を委ねるかという人選そのものが、採用の質を左右します。

実務でよく見られるパターン

・面接で少し違和感があったものの、人手不足だったため採用した。半年後から問題行動が表面化し、注意指導・懲戒処分・退職勧奨・解雇と、1年以上の労力と費用をかけることになった。あのとき不採用にしていればと悔やまれた。

・採用面接には必ず経営者自身が参加するルールを設けた。以前は部下任せだったが、経営者の目で見ると気になる点が多々あった。経営者が参加するようになってから採用の質が上がり、問題社員が大きく減った。

経営上のポイント 問題社員の解雇で苦労しないための最大のポイントは、採用時の見極めです。解雇トラブルの多くは、採用時に問題を感じながら手間・費用・人手不足を理由に採用を正当化してしまったことに端を発します。採用にこそ積極的な理由が必要であり、不採用に積極的な理由が要るわけではありません。魅力的だと思わなければ不採用にするという当たり前の方針を貫くことで、採用失敗のリスクは相当下がります。中小企業では、会社経営者自らが採用に深く関わることも重要です。それでも採用後に問題が生じた場合には、問題社員の解雇の進め方について早めに会社側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月1日


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