この記事の結論
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10分の1を超える部分を次期に繰り越して行うことができる

一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合、超える部分を次期の賃金支払期に繰り越して行うことができます(昭和23年9月8日基収第1789号)。

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各賃金支払期ごとに10分の1以内という制限は守る必要がある

繰り越した場合でも、次期の賃金支払期においても10分の1以内という制限は守らなければなりません。一賃金支払期ごとに上限が適用されます。

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「総額制限」は当該期間の複数事案の合計についての制限

「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」とは、当該賃金支払期に発生した数事案に対する減給の合計額が10分の1以下でなければならないという意味です。

01「総額制限」の意味

 労基法91条の「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」とは、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以下でなければならないという意味と考えられています(昭和23年9月8日基収第1789号)。

 これは、同一の賃金支払期に複数の懲戒事案が発生した場合に、各事案に対する減給の合計額が賃金総額の10分の1を超えないようにしなければならないという制限です。

0210分の1を超える部分の次期繰越

 一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合、当該賃金支払期においてはその総額の10分の1を超えて減給処分を行うことはできません。

 しかし、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給を次期の賃金支払期に行うのであれば、これを行うことができます。各賃金支払期ごとに10分の1以内という制限を守りながら、複数の賃金支払期にわたって分割して減給処分を実施することが認められています。

03具体例で確認する

具体例

月給30万円の社員について、同月中に複数の懲戒事案が発生し、合計4万円の減給処分を行う必要が生じた場合。

 この場合、10分の1(3万円)を超える1万円分は、当月の賃金支払期には減給できません。当月は3万円の減給にとどめ、残り1万円は翌月の賃金支払期に繰り越して減給することができます。

 翌月においても、その月の賃金総額の10分の1以内という制限が適用されます。翌月も月給30万円であれば、繰り越した1万円は10分の1(3万円)以内ですので、翌月に一括して1万円を減給することができます。

04実務上の運用と注意点

 複数の懲戒事案に対する減給処分を繰り越す場合には、いつの事案に基づく減給かを記録・管理しておくことが重要です。後に当該減給処分の適法性が争われた際に、各事案との対応関係が明確でないと、処分の有効性の主張が困難になります。

 また、「一回の額」の制限(平均賃金の一日分の半額以下)と「総額」の制限(賃金総額の10分の1以下)は別々の要件ですので、どちらの制限も守る必要があります。一回の額が上限内であっても、総額が10分の1を超えれば違反となり、逆もまた然りです。

経営上のポイント 一賃金支払期の減給総額が10分の1を超える場合、超える部分は次期に繰り越して行うことができます。各期の上限(10分の1)と一回の額の上限(平均賃金の一日分の半額)の両方を守りながら、適切に減給処分を実施してください。アドバイスします。
SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 繰越して行う場合、就業規則に根拠規定が必要ですか。

A. 減給処分を行うこと自体については就業規則に根拠が必要です。繰り越して行う場合については特別な根拠規定を設ける必要はありませんが、就業規則の減給処分の規定に基づいて実施することが前提となります。処分の根拠と繰越の事実を記録・通知しておくことが重要です。

Q2. 一か月分の上限(10分の1)で不十分な場合、何か月にもわたって繰り越せますか。

A. 制度上は複数月にわたる繰越が可能ですが、各月の10分の1以内という制限を守る必要があります。ただし、長期間にわたって繰り越すことが処分の実効性・均衡の観点から問題となることもあります。また、そもそも「一回の額」の制限(平均賃金の一日分の半額以下)との関係も検討が必要です。

Q3. 翌期に繰り越した場合、新たに翌期に発生した懲戒事案との合算はどうなりますか。

A. 翌期において、繰越分と翌期に新たに発生した事案の両方の減給処分を行う場合、その合計額が翌期の賃金総額の10分の1を超えないようにする必要があります。超える部分はさらに次期に繰り越すことができます。

最終更新日:2026年2月25日


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