パートタイム労働者の差別的取扱いについて、法律ではどのように定められていますか。
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職務内容・配置変更範囲が同一なら、差別的取扱いは禁止される 職務の内容が通常の労働者と同一で、雇用関係終了までの全期間、職務内容・配置の変更範囲も通常の労働者と同一の範囲で変更されると見込まれるパートタイム労働者については、賃金の決定、教育訓練、福利厚生施設の利用等で差別的取扱いをしてはなりません。 |
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違反すれば無効となり、不法行為の対象にもなる 差別的取扱いの禁止規定に違反した場合には、差別的取扱いは無効となり、不法行為の対象にもなります。 |
823・824の記事で解説したパートタイム労働者の定義・法適用に続き、実務上特に重要なのが、正社員との待遇差をめぐる差別的取扱いの禁止規定です。いわゆる「同一労働同一賃金」の考え方の基礎となる規定でもあります。
会社側専門の弁護士の立場から、パートタイム労働者への差別的取扱いの禁止規定を解説します。
01差別的取扱いが禁止される対象者の要件
パートタイム・有期雇用労働法では、パートタイム労働者のうち、「職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの」については、パートタイム労働者であることを理由として、差別的取扱いをしてはならないと定められています。
この定義から分かるとおり、単に「職務内容が同じ」というだけでは足りず、将来にわたる配置転換の範囲まで、通常の労働者と同一であると見込まれることが要件になっています。この要件を満たす労働者は、実質的に正社員と同視できる働き方をしていると評価されるため、待遇面でも同等に扱うことが求められます。
02禁止される差別的取扱いの内容
上記の要件を満たすパートタイム労働者については、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、パートタイム労働者であることを理由とする差別的取扱いが禁止されます。賃金額だけでなく、研修機会や福利厚生施設の利用(社員食堂、休憩室等)といった、待遇の様々な側面が対象となる点に注意が必要です。
03違反した場合の効果
違反した場合には、差別的取扱いは無効となり、不法行為の対象にもなります。差別的取扱いをした部分の待遇(たとえば低く設定された賃金)が無効とされ、通常の労働者と同等の待遇を求められるとともに、損害賠償責任を負うリスクがあるということです。
04会社側が押さえておくべき視点
会社側にとって重要なのは、自社のパートタイム・有期雇用労働者の中に、この差別的取扱い禁止の対象となる労働者(職務内容・配置転換の範囲が通常の労働者と同一の者)がいないかを、まず確認することです。実際に業務内容や配置転換の実態を精査し、対象者に該当する場合には、賃金・教育訓練・福利厚生等の待遇を、通常の労働者と同等にする必要があります。
なお、上記の要件に該当しない一般的なパートタイム労働者についても、パートタイム・有期雇用労働法は、不合理な待遇差を禁止する別の規定(いわゆる同一労働同一賃金の規定)を設けています。差別的取扱いの禁止規定と、不合理な待遇差の禁止規定は、要件・効果が異なるため、両方の視点から自社の待遇制度を点検することをお勧めします。
05よくある質問(FAQ)
Q. すべてのパートタイム労働者に、この差別的取扱い禁止規定が適用されますか。
職務内容が通常の労働者と同一で、将来にわたる配置転換の範囲も同一であると見込まれる場合に限られます。この要件を満たさない一般的なパートタイム労働者には、別の不合理な待遇差の禁止規定が適用されます。
Q. どのような待遇が差別的取扱いの禁止対象になりますか。
賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇が対象です。
Q. 差別的取扱いをしていた場合、会社にはどのようなリスクがありますか。
差別的取扱いが無効となり、通常の労働者と同等の待遇を求められるほか、不法行為として損害賠償責任を負うリスクがあります。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。パートタイム・有期雇用労働者の待遇制度でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日