この記事の結論
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派遣契約が解約されても、派遣労働者を直ちに解雇することはできない

派遣元と派遣先の派遣契約と、派遣元と派遣労働者の労働契約は別の契約です。派遣契約が解約されても労働契約は存続し、解雇には別途法的根拠と手続きが必要です。

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有期雇用の派遣労働者の解雇要件は特に厳格

有期雇用契約の派遣労働者を期間中に解雇するには「やむを得ない事由」が必要です(労基法17条・労契法17条1項)。通常の解雇より厳格な要件が求められます。

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まず別の派遣先への就業機会の提供等、解雇回避措置が必要

派遣契約終了後は、別の派遣先への就業機会の提供・派遣元内部での配置転換等の解雇回避措置を検討することが必要です。これらを尽くした上でなければ、解雇は認められにくくなります。

01派遣契約と労働契約は別の契約

 派遣元と派遣先との間の派遣契約(労働者派遣契約)が途中で解約された場合、派遣元が当該派遣労働者を直ちに解雇できるかどうかは、誤解されやすいテーマです。「派遣先との契約がなくなったのだから雇用関係も消滅する」と考えたくなりますが、実際はそうではありません。

 まず前提として理解すべきなのは、派遣元と派遣先との派遣契約(労働者派遣契約)と、派遣元と派遣労働者との雇用契約は、法律上まったく別の契約であるという点です。派遣契約が解約されても、自動的に労働契約が終了するわけではありません。したがって、派遣元が派遣契約の解約を理由に、即座に労働者を解雇することは原則として認められません。

02派遣元が直ちに解雇できない理由

 派遣元が派遣契約の終了をもって直ちに労働者を解雇できない理由は、以下のとおりです。

直ちに解雇できない理由

① 労働契約は存続している
派遣契約が終了しても、派遣元と労働者との間の雇用契約自体は存続します。労働契約がある限り、労働者を解雇するには法的な根拠(合理的事由)と適正な手続きが必要です。

② 有期契約労働者の解雇要件は特に厳格
有期雇用契約の派遣労働者の場合、期間中の解雇には「やむを得ない事由」が必要とされています(労基法17条・労契法17条1項)。無期契約の労働者を解雇する場合よりも厳格な要件が求められます。

③ 派遣先都合による解約では解雇回避措置が求められる
派遣先の都合による中途解約の場合、派遣元には派遣労働者の雇用を継続させるための解雇回避措置(別派遣先の手配等)が求められます。

03解雇回避措置:まず取るべき対応

 派遣契約が途中で終了した場合、派遣元としてまず取るべき対応は解雇回避措置の検討です。

 最も一般的な対応は、別の派遣先への就業機会の提供です。派遣契約終了後に別の派遣先への就業機会を提供することで、雇用契約を継続させることができます。

 次に、派遣元企業内部での配置転換という選択肢もあります。派遣元企業内部に他の業務がある場合、派遣労働者を自社の別部門に配置転換して雇用関係を維持する可能性もあります。事前に就業規則や雇用契約の内容を確認したうえで進めることが重要です。

 これらの解雇回避措置を十分に尽くさずに解雇すると、解雇権濫用(労契法16条)として解雇が無効と判断されるリスクがあります。

04どうしても解雇が必要な場合の要件

 解雇回避措置を尽くしてもなお労働契約を終了させる必要がある場合には、次の要件を満たすことが必要です。

 まず、解雇事由が客観的に合理的であることが必要です(労契法16条)。派遣契約の終了のみをもって「合理的事由」とすることは困難であり、それに加えて解雇回避努力を尽くしたこと等の事情が必要です。

 次に、解雇の手続き(解雇予告または解雇予告手当の支払い、解雇理由の書面交付等)が適正に行われることが必要です(労基法20条・19条の2)。

 有期雇用契約か無期雇用契約かによって要件が異なりますので、それぞれの契約形態に応じた対応が求められます。具体的な対応は弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 派遣契約が中途解約されても、派遣元は派遣労働者を直ちに解雇することはできません。派遣契約と労働契約は別の契約であり、解雇には別途法的根拠が必要です。まず別の派遣先への就業機会の提供等の解雇回避措置を尽くしたうえで、やむを得ない場合に限り、法的要件を満たした解雇手続きを進めてください。アドバイスします。
SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 派遣先から突然「来月から契約を打ち切る」と言われました。派遣元としてどう対応すればよいですか。

A. まず派遣先に解約の理由を確認し、派遣先都合による解約であれば派遣労働者の雇用継続のために必要な措置(休業手当の支払い等)を検討する必要があります。次に、別の派遣先への就業機会の提供を迅速に検討してください。派遣先都合で解約された場合、派遣元は派遣労働者に対して休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う義務が生じる場合があります(労基法26条)。早急に弁護士または社会保険労務士に相談することをお勧めします。

Q2. 有期雇用の派遣労働者を期間中に解雇するために必要な「やむを得ない事由」とは何ですか。

A. 「やむを得ない事由」とは、通常の解雇権濫用法理の下での「客観的に合理的な理由」よりも厳格な要件とされています。単に派遣先から派遣契約を解約されたということだけでは「やむを得ない事由」には当たりません。別の就業機会の確保が困難な状況・企業の経営状況・解雇回避努力の程度等が総合的に考慮されます。具体的な事案については弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 派遣契約期間が終了した(更新しなかった)場合も、直ちに労働契約を終了できますか。

A. 有期雇用契約の期間満了であれば、原則として労働契約も終了します。ただし、反復更新されてきた有期雇用の場合は「雇止め法理」が適用され、雇止めが認められない場合があります(労契法19条)。派遣労働者に対して繰り返し契約更新を行い、「また更新される」という期待を持たせていた場合は、雇止めが無効となるリスクがあります。更新の状況・更新の際の説明・就業規則や雇用契約書の内容を確認し、弁護士に相談することをお勧めします。

最終更新日:2026年2月25日


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