私傷病休職の休職事由が消滅したかどうかは、どのように判断すれば良いですか。
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基本的な判断基準は「従前の職務を通常程度に行える健康状態か」 休職事由が消滅したかどうかの基本的な判断基準は、休職の原因となった傷病の影響が解消され、従前の職務を通常程度に行うことができる健康状態に回復しているかどうかです。 |
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本人の申告だけでは判断できない。医師の診断書・職務内容との照合が必要 復職可否の判断は、主治医の診断書・意見を基礎として、職務内容との適合性を照合したうえで行う必要があります。本人の申告だけで判断することは、後のトラブルにつながるリスクがあります。 |
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判断プロセスを文書化し、安全配慮義務を果たすことが重要 復職後の再発・事故等に備えて、判断の経緯と根拠を文書化しておくことが重要です。会社の安全配慮義務(労契法5条)との関係からも、慎重な対応が求められます。 |
01休職事由が消滅したかどうかの基本的な考え方
従業員が私傷病(プライベートな怪我・病気)による休職をしている場合、休職事由の消滅——すなわち「復職できる状態に回復したかどうか」を判断することは、会社経営者にとって重要な労務管理の課題です。判断を誤ると、早期に復職させて再発・事故が起きた場合の安全配慮義務違反、あるいは復職を認めなかったことによる不当な雇用継続拒否として問題になるリスクがあります。
休職事由が消滅したかどうかを判断するための基本的な考え方は、当該社員が従前の職務を通常程度に行える健康状態に回復しているかどうかです。休職の原因となった傷病の影響が解消され、通常の労務提供が可能と思われる状態であれば、休職事由は消滅したと考えます。
ただし、これは単に本人の申告だけで判断できるものではありません。客観的な情報や医師の診断書等を根拠とした判断が必要です。
02判断に必要な3つの要素
休職事由が消滅したかどうかの判断にあたっては、次の3つの要素を総合的に検討することが必要です。
復職判断の3要素
① 医師による診断書・意見
復職判断で最も重視されるのは医師の意見や診断書です。主治医が「従前の職務を行える」と判断している場合、休職事由が解消していると評価できます。一方で「業務の遂行に支障がある」とされている場合は、追加の治療や休養が必要です。ただし、主治医の判断だけに頼らず、会社の産業医・顧問医の意見も参考にすることが有益な場合があります。
② 職務内容との適合性
同じ回復状態であっても、職務内容によって復職可能かどうかは異なります。デスクワーク中心の業務と、立ち仕事や腰への負担が大きい現場業務とでは判断が変わります。職務内容と社員の健康状態を照らし合わせて検討することが必要です。
③ 配置可能性(例外的判断)
原則として「従前の職務を通常程度に行えるか」が基準ですが、例外的に他の配置可能な業務があるかどうかを検討することもあります。医師と相談のうえ、負担の少ない業務へ一時的に配置転換して段階的に通常業務へ戻す方法なども選択肢として考えられます。
03実務上の復職判断フロー
実務上、復職可否の判断は以下のような手順で行うことをお勧めします。
復職判断フロー
① 社員から復職の申し出を受ける
申し出の日付・方法・内容を記録する。
② 主治医の診断書・意見書を取得する
「従前の職務を通常程度に行えるか」について主治医の見解を書面で得る。
③ 職務内容と健康状態を照合する
具体的な職務内容と医師の意見書の内容を照らし合わせて適合性を確認する。
④ 産業医・顧問医の評価を得る(必要な場合)
判断が難しい場合や主治医の意見に疑問がある場合は、産業医または顧問医の意見も取得する。
⑤ 最終判断と記録の保存
復職可否の最終判断を下し、判断の理由・根拠を文書化して労務ファイルに保管する。
04会社が注意すべき実務リスク
復職の判断を社内だけで行い、客観的な根拠を残さないまま進めると労務トラブルにつながる可能性があります。特に休職が長期化していた場合や、現場復帰に不安がある場合は、医師の意見書や復職可否に関する文書を丁寧に取得・保存することが重要です。
また、休職・復職対応は会社の安全配慮義務(労働契約法5条)と深く関わります。復職後に症状が再発したり、職場で事故が起きた場合、会社側の対応が適切でなかったとして責任を問われるリスクがあります。復職可否の判断は慎重に行い、必要に応じて医師との面談や産業医の意見を取り入れることが望ましいです。
逆に、就業規則・休職規程で定めた休職期間が満了したにもかかわらず復職できる状態にない場合、休職規程に基づいて自動退職・解雇の措置を取ることになります。この場合も、判断プロセスを文書化し、手続きの適正性を確保しておくことが必要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 主治医が「復職可能」と診断しているのに、会社が復職を認めないことはできますか。
A. 主治医の判断が唯一絶対ではなく、会社は職務内容との適合性や産業医の意見も総合して独自に判断することができます。主治医は患者(社員)の回復状態を診ていますが、具体的な職務内容や職場環境を熟知しているわけではありません。会社が「主治医の診断書はあるが、当社の職務に照らして復職は難しい」と判断する場合は、その根拠を客観的に示せるよう、産業医等の意見を取得しておくことをお勧めします。
Q2. 試し出勤(リハビリ出勤)制度を設けることはできますか。
A. 就業規則で「試し出勤制度」「リハビリ出勤制度」を設けることは可能です。ただし、試し出勤中の労働時間管理・賃金の取扱い・復職の可否判断のタイミングを明確にしておく必要があります。試し出勤中であっても実際に業務に従事させた場合は、賃金の支払いが必要です。また、試し出勤の実施を通じて復職可否の客観的な判断資料を得ることができますが、制度の運用を誤ると「実質的に復職していた」と判断されるリスクもあります。制度設計は弁護士に相談することをお勧めします。
Q3. 休職期間が満了しても復職できない場合、自動的に退職・解雇になりますか。
A. 就業規則・休職規程に「休職期間満了時に復職できない場合は自動退職(または解雇)とする」旨の規定がある場合は、その規定に従って処理することになります。ただし、この手続きにも適正な確認手続き(本人への通知・復職可否の確認・診断書の取得等)が必要です。手続きを誤ると、自動退職の効力が否定されたり、解雇が無効とされるリスクがあります。弁護士に相談のうえ進めることをお勧めします。
Q4. 復職後に症状が再発した場合、再度休職させることはできますか。
A. 就業規則・休職規程の定め方によって対応が異なります。再発の場合の休職期間の通算や、再休職の取扱いについて就業規則に明記しておくことが重要です。特にメンタルヘルス疾患は再発しやすく、「復職→再発→再休職」を繰り返すケースがあります。このような事態を想定した就業規則の整備と運用が、会社としての重要な課題です。
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最終更新日:2026年2月25日