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派遣契約が中途解約された場合、派遣元は直ちに労働者を解雇できるか?
派遣元と派遣先との間の派遣契約が途中で解約された場合、派遣元が当該派遣労働者を直ちに解雇できるかどうかは、会社経営者が誤解しやすい労務テーマのひとつです。表面的には「派遣先との契約がなくなったのだから雇用関係も消滅する」と考えたくなりますが、労働契約と派遣契約は別の契約関係であり、実務上の対応に注意が必要です。
派遣契約と労働契約は別契約である
まず前提として理解すべきなのは、派遣元と派遣先との派遣契約(労働者派遣契約)と、派遣元と派遣労働者との雇用契約は、法律上まったく別の契約であるという点です。つまり、
派遣契約が解約されても
自動的に労働契約が終了するわけではありません。
そのため、派遣元が派遣契約の解約を理由に、即座に労働者を解雇することは原則として認められていません。
派遣元が労働者を直ちに解雇できない理由
派遣元が派遣契約の終了をもって、ただちに労働者を解雇できない主な理由は次のとおりです。
✔ 労働契約は存続している
派遣契約が終了しても、派遣元と労働者との間の雇用契約自体は存続します。労働契約がある限り、労働者を解雇するには 法的な根拠(合理的事由)と手続きが必要になります。
✔ 有期契約労働者の解雇要件は厳格
とくに、有期雇用契約の派遣労働者の場合、期間途中の解雇には「やむを得ない事由」が必要とされています。有期契約であれば、通常の解雇よりも厳格な要件が求められます。
実務上の考え方:解雇以外の対応策
派遣契約が途中で終了したケースにおいて、派遣元として対応する場合の実務上のポイントは以下のとおりです。
✔ 別の派遣先の手配
派遣契約終了後に別の派遣先への就業機会を提供することで、雇用契約を継続させるのが一般的です。これにより、労働者の雇用を維持しつつ、会社としての負担を軽減できます。
✔ 人員調整や配置転換
派遣元企業内部に他の業務がある場合、派遣労働者を自社の別部門に配置転換して雇用関係を維持する可能性もあります。事前に就業規則や合意を確認したうえで進めることが重要です。
✔ 解雇が必要な場合の法的要件
どうしても労働契約を終了させる必要がある場合には、次のポイントを検討します。
解雇事由が客観的に合理的であるか
社会通念上相当性があるか
解雇手続き(予告、説明、文書化など)が適正に行われているか
有期契約と無期契約では要件が異なるため、それぞれの契約形態に応じた対応が求められます。
まとめ:派遣契約の終了は雇用終了要件にはならない
派遣契約が中途解約された場合でも、派遣元は労働者を直ちに解雇することはできません。労働契約の存続を前提に、適切な法的根拠と手続きを踏んだ対応が必要です。派遣労働者の雇用維持に向けては、別派遣先への就業や内部配置転換といった選択肢も検討すべきでしょう。
