従業員の休日労働に対する割増賃金(いわゆる残業代)の支払い義務は、その休日が「法定休日」か「所定休日」かで取扱いが変わります。誤った理解を放置すると、割増賃金の未払いとして労務トラブルや労働基準監督署からの指導を受けるリスクがあるため、会社として明確に区分・運用することが重要です。

1. 法定休日とは何か?

 法定休日とは労働基準法が定める休日のことです。日本の法律では、1週間につき最低1日の休日を与えなければならないと規定されています(労働基準法第35条)。

 この休日に従業員を働かせた場合は、**休日労働として割増賃金(35%以上)**の支払い義務が発生します。

2. 所定休日とは何か?

 所定休日は、労働契約や就業規則によって会社が定めた休日であり、法定休日とは別に会社が任意に設定した休日です。たとえば週休2日制における2日目の休日、祝日扱いなどが該当します。所定休日に従業員が労働した場合、**法定休日の割増賃金(35%以上)**は原則として不要ですが、次のような賃金ルールが適用されます:

  • 所定休日労働でも、1日8時間・週40時間を超える時間外労働として 時間外割増(25%以上) が必要

  • 労働が深夜(22時〜5時)の場合は 深夜割増(25%以上) が必要

3. 法定休日・所定休日の違いを整理すると

種類起点割増賃金のポイント
法定休日1週間につき最低1日休日労働として35%以上の割増が必要
所定休日就業規則等で会社が定める休日基本は時間外・深夜の割増(25%以上)で対応

※「1日8時間・週40時間」を超える労働は所定休日でも時間外扱いになり、割増賃金が発生します。

4. どちらの日が法定休日なのかを明確にする必要性

 週休2日制、シフト制など休日の多い職場では、どの休日が法定休日に該当するかを明確に定めることが重要です。労働基準法上、法定休日を曖昧にして運用すると、労働基準監督署の指導により所定休日も法定休日とみなされてしまう可能性があります。

 したがって、就業規則や労働条件通知書で「どの曜日・日が法定休日か」を明示しておく必要があります。

5. 休日労働が発生した場合の処理例

法定休日に労働した場合

  • 休日労働として 35%以上の割増

  • さらに深夜労働があれば 深夜割増25%(重複適用)

所定休日に労働した場合

  • 所定休日でも基準時間を超えれば 時間外割増25%以上

  • 深夜労働があれば 深夜割増25%

6. 経営者が押さえておくべき実務ポイント

就業規則に休日の区分を明記する

 法定休日と所定休日を明確に区分し、就業規則や労働条件通知書で明示しておくことが重要です。これにより休日労働の割増賃金計算を正確に行えます。

就業カレンダーで制度化する

 シフト制や変形労働時間制を採用している部署では、前もって休日がどの区分に該当するかを社内カレンダーで定めることが実務上有効です。

未払いリスクを未然に防ぐ

 休日労働の賃金計算を誤ると、未払い残業代請求の対象となる可能性があります。適宜労務監査や労働時間管理の見直しを行うことが重要です。

7. まとめ:休日の区分を正しく理解し労務リスクを回避する

 「法定休日と所定休日は別物」という基本原理を押さえることは、会社経営者や人事担当者にとって不可欠です。休日を正しく区分し、就業規則や労働条件通知書で明示し、適正に割増賃金を計算することで、労務トラブルや未払い請求の防止につながります。

 


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