能力不足と気づいていても採用してしまうことの問題点

 

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能力不足と気づいていても
採用してしまうことの問題点。

 面接の段階で「この人ちょっと微妙だな」「うちの仕事に向いていないかもしれない」と気づいているにもかかわらず、採用してしまっているケースが結構あります。本ページでは、能力不足と気づきながら採用してしまうことがなぜ問題なのか、会社にも本人にも周りの社員にも何が起きるのかを、会社側専門の弁護士が解説いたします。


VIDEO

本ページの基となる解説動画

 

 本ページの解説内容は、以下の藤田進太郎弁護士による解説動画を素材として、当事務所が文章化しているものです。本ページの記載と動画の内容に齟齬がある場合や、より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴ください。

CHAPTER 01

人手不足で無理に採用してしまうケース

 

「ダメかもな」という直感はたいてい当たる

 採用面接の段階で「この人ちょっと微妙だな」「うちの会社に合わないかも」「この仕事に向いていないかも」と気づいているにもかかわらず、人手不足だからと無理に採用してしまうケースが結構あります。現場から「社長、早く誰か入れてもらわないと回りません」と頼まれて、なかなかいい人が応募してくれない中で、無理やり採用してしまうのです。

 問題に気づいていても「大丈夫だろう」と自分で打ち消してしまいがちです。必要だと思うと不都合なものは見たくないものです。しかし残念ながら、良い方向の直感は割と外れるのに、「この人ダメかもな」という直感は結構な確率で当たるのです。結局その人にはやめてもらって、また別の人を取るという作業を繰り返すことになりがちです。

会社にとっても本人にとっても良いことがない

 入ってきて働かせてみたら全然仕事を覚えない、先輩の言うことを聞かない、と現場から苦情が上がってきます。「もうこんな人じゃなくてちゃんと働ける人を取ってください」と言われても、一旦その枠で採用しているのに簡単に変えることはできません。結局、どういう条件でどうやってやめてもらおうかと考えなければならなくなります。その間、現場の人手不足は一向に解消されず、教育に手間がかかる分かえって負担が増えてしまいます。

 これは会社のためにならないだけでなく、応募してきたご本人のためにもなりません。やっと就職が決まったと思ったら仕事が合わなくてストレスで体調を崩し、「能力不足だからやめてくれ」と言われてしまう。他の会社からも声がかかっていてそちらを断ってきたのに、入った途端にそんなことを言われたら納得できないでしょう。お互いにとって良いことがないのです。

CHAPTER 02

「社会貢献」で採用してしまうケース

 

「雇ってあげるのは良いこと」という考え方の落とし穴

 もう一つ、能力不足と気づいていても採用してしまう理由として「社会貢献」があります。「どうせ他社に行っても取ってもらえないだろうから、うちで取ってあげるんだ」という発想で採用しているケースです。この考え方は、ある意味立派なものです。最後の最後まで貫いて、本人が働きたいと言っている限りはずっと雇ってあげるぐらいの覚悟があるのであれば、それは一つの信念です。

 しかし現実問題として、そういった方が社内に入ってくると、他の社員が非常に負担を感じることが多いのです。教えても覚えない、手間暇がかかる、結局尻拭いは先輩方がやることになる。社内の雰囲気も悪くなっていきます。入ってみたら歓迎されていないと感じたご本人も嫌な気分になりますし、場合によってはハラスメントされたと主張して争いになることだってあります。

雇用の「量」だけでなく「質」を考える

 給料の問題もあります。能力が十分でない方を雇い続けると、その分の人件費が発生します。同じ能力の方であれば1人でできる仕事を複数人でこなすような状態になると、他の社員の給料を上げることが難しくなります。「そんなお金があるなら自分たちの給料を上げてくれ」と感じる方は多いのではないでしょうか。

 雇用を増やすことだけが社会貢献ではありません。しっかり給料をアップさせて、良い暮らしができるようにしてあげることも社会貢献です。雇うことだけを考えて雇用の質を犠牲にするのではなく、今いる社員たちの給料を上げられるような会社にしていくことも、経営者として大切な仕事です。

CHAPTER 03

弁護士としてのおすすめ

 

ダメだと思ったら痩せ我慢して不採用にする

 自社の社風や担当させようとしている仕事に対する適性がある人かどうかを、しっかり見極めて採用することが大事です。人手不足の時にそうはいかないという気持ちは分かりますが、あまりにも教育の効果が低そうで負担が重すぎるなと思ったら、そこは歯を食いしばって不採用にすべきです。

 自社の仕事に合わないなと思ったら取ってはいけません。それは会社のためだけではなく、周りの社員たちのためにもなりますし、何より応募してきたご本人のためにもなります。入った途端に「能力不足だからやめてくれ」なんて言われたらかわいそうです。この応募者がうちの会社でこの仕事をやって幸せになるだろうか、キャリアにプラスになるだろうかと考えた上で採用しなければなりません。

どうしても採用が難しいなら、会社を作り替える

 どうしても自社で人が集まらないという場合は、そもそもそんなに人を採用しなくても回るように会社を作り替えていく必要があります。たとえば注文を聞く人を集めるのが大変であれば、出来のいい券売機を入れるという方法もあります。券売機は高いかもしれませんが、給料は何ヶ月か分の給料で買えてしまいます。

 また、生成AI関連のツールを活用して業務効率を上げることで、無理に能力が高くない方を採用しなくても済むようにすることもできます。過去に溜まりに溜まったものをどんどん入れ替えて効率を良くしていくと、余計な人を雇わなくても済むようになりますし、今働いている方々にとっても幸せなことです。

それでも採用する場合は、育てる覚悟を持つ

 どうしても採用せざるを得ない場合は、能力不足でもいいぐらいの覚悟を持って取ることが大切です。すぐには仕事ができなかったとしても、気長に年月をかけて育てていくという覚悟です。その覚悟もなしに「ダメかな」という人を取って、戦力にならないと文句を言っていても仕方がありません。育てる覚悟がないのであれば、不採用にする方がお互いのためになります。

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CHAPTER 04

当事務所のサポート体制と監修者

 

 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)専門の法律事務所として、能力不足社員の問題から採用段階の予防策まで幅広く対応しています。すでに能力不足の方を採用してしまった場合の対応についても、教育指導の進め方、配置転換の検討、退職勧奨や解雇の判断まで、弁護士がZoomやTeamsで伴走しながらサポートします。

弁護士 藤田 進太郎

監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

能力不足社員への対応でお悩みの会社経営者の皆様へ

まずは経営労働相談までご連絡ください。事務所会議室でのご相談、Zoom・Teamsでのオンライン相談、いずれも対応しています。

経営労働相談のお問い合わせ

FAQ

よくあるご質問

 

Q. 人手不足でどうしても人を補充しなければなりません。

 その気持ちは分かりますが、面接の段階でダメだなと感じた場合は、痩せ我慢してでも不採用にした方が結果的に良いことが多いです。無理に採用してうまくいかず、やめてもらってまた採用し直すコストの方がはるかに大きくなります。どうしても人が集まらないのであれば、券売機やAIツールの導入など、そんなに人を採用しなくても回るように会社を作り替えることも検討してください。

Q. 能力不足と分かっていて採用した人をやめさせることはできますか。

 試用期間中であれば比較的対応しやすいですが、本採用後は注意指導・教育指導の積み上げが必要になります。能力不足と気づきながら採用した場合、「採用時から分かっていたのになぜ取ったのか」という点が不利に働くことがありますので、採用の段階でしっかり見極めることが重要です。

Q. すでに能力不足の方を採用してしまいました。どうすればいいですか。

 採用してしまった場合は、具体的に手間暇をかけて教育指導し、育てていく覚悟を持つことが大切です。別の仕事に向いている可能性もありますので、配置転換も検討してください。どうしても改善しない場合は、弁護士に相談しながら退職勧奨や解雇の判断に進みます。

Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。

 対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。

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