管理能力がない管理職の降格

 

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管理能力がない管理職の
降格。
懲戒処分と人事異動の違いを整理する。

 プレイヤーとしてはそれなりに結果を出していた方を管理職に上げてみたところ、管理の仕事はうまくできない。そういったケースは珍しくありません。本ページでは、管理能力がない管理職を降格させる場合の種類の整理、給与減額の根拠の作り方、実務上のポイントを、会社側専門の弁護士が解説いたします。


VIDEO

本ページの基となる解説動画

 

 本ページの解説内容は、以下の藤田進太郎弁護士による解説動画を素材として、当事務所が文章化しているものです。本ページの記載と動画の内容に齟齬がある場合や、より詳しい解説をご覧になりたい場合は、動画を直接ご視聴ください。

CHAPTER 01

降格の種類を整理する

 

懲戒処分としての降格と人事異動としての降格

 「降格」と言うと懲戒処分の降格処分を思い浮かべる経営者の方もいらっしゃいます。たとえば、部長がパワハラやセクハラの不祥事を起こして、ある意味罰する形で部長から下ろされた。こういったものは懲戒処分としての降格です。

 しかし本日お話ししたいのは、ルール違反や不祥事ではなく、管理職としての仕事がうまくできないという能力不足のケースです。プレイヤーとしての通常の仕事をこなすことと、人を管理する仕事では全然別の能力が要求されることがあります。普段の仕事ではそれなりにいい結果を出していたのに、管理職の仕事は苦手だという方は実際にいらっしゃるのです。こういった場合は、懲戒処分としてではなく、人事異動としての降格を検討していくことになります。

 なお、最初からその管理職のポスト限定で採用した場合は、降格ではなく解雇・退職の話になります。平社員から勤めて課長、部長と昇進した方を降格させる場合とは考え方が異なりますので、この点も頭を整理しておく必要があります。

CHAPTER 02

管理職から外すこと自体は大体できる

 

人事権の行使として実行できることが多い

 単に管理職から外すだけであれば、大体の場合は人事権の行使として実行できます。その仕事限定で部長として採用したというような特殊なケースを除けば、たとえば課長から部長になった人をまた課長に戻すといったことは、就業規則や労働契約上、権限ありとされることが日本の会社では多いです。

権利濫用に当たらないかのチェック

 権限があるとしても、その行使が権利濫用にあたるかどうかは別途検討する必要があります。管理職としての問題があって降格させるのであれば、降格の必要性は認められやすいです。嫌がらせ目的やめさせる目的、意地悪する目的でやるのであれば別ですが、そうでない限りは、それなりの必要性に基づいて管理職から外すのであれば、不当な動機・目的もないと言ってもらえることが多いと考えられます。

 つまり、管理職から外すこと自体はそこまでハードルが高くありません。紛争になりやすいのは、降格に伴って給料が減る部分です。

CHAPTER 03

給与減額の根拠をどう定めるか

 

役職手当の制度が最も分かりやすい

 給与を減らす場合には、その根拠が必要です。最も分かりやすいのは、役職手当の制度です。「部長には役職手当として月々○万円を支給する」と定めておけば、部長から外れた場合にその手当がなくなるのは当然のことです。課長になれば課長の手当に変わるという形であれば、非常にシンプルで紛争にもなりにくいです。

等級が下がると基本給も下がる制度は紛争になりやすい

 手当ではなく、部長の地位にある方が下の地位に移ると等級が下がって基本給も下がるという制度の場合は、手当がなくなる場合よりも紛争が起きやすくなります。こういった制度を導入したいのであれば、就業規則や賃金規定にどの等級ではいくらなのか、どういった地位であればどの等級なのかをしっかり定めておいて、それに基づいて減額する必要があります。

 しっかり定めていないまま「地位が下がったのだから給料が下がるのは当然でしょう」と進めてしまうと、そもそも権限がないと言われたり、なんとか権限はクリアしても濫用だと言われてしまい、差額の賃金請求が認められてしまう可能性が高くなります。

小規模な会社には手当方式がおすすめ

 複雑な等級制度を整備するのが大変だという小規模な事業主であれば、管理職についたら役職手当がもらえて、そこから外れたら手当がなくなるというシンプルな制度にしておくのがおすすめです。非常に分かりやすく、本人にとっても会社にとっても納得感のある仕組みになります。

降格はマイナスとは限らない

 管理職から外れることは、本人にとって必ずしもマイナスとは限りません。もしかしたら管理職の仕事が嫌だと思っているかもしれませんし、管理職から外れてプレイヤーとして仕事をしたらいい仕事をするケースだってあります。せっかく管理職につけたのに降格させるのは残念かもしれませんが、本当に必要であればしっかり管理職から外れていただいて、ご本人にも生き生きと働いてもらえるように考えていきましょう。

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CHAPTER 04

当事務所のサポート体制と監修者

 

 弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社側(使用者側)専門の法律事務所として、管理職の降格を含む人事異動の問題を日常的に取り扱っています。降格に伴う給与減額の根拠の整備、就業規則・賃金規定の見直し、降格の進め方まで、弁護士がZoomやTeamsで伴走しながらサポートします。

弁護士 藤田 進太郎

監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

管理職の降格でお悩みの会社経営者の皆様へ

まずは経営労働相談までご連絡ください。事務所会議室でのご相談、Zoom・Teamsでのオンライン相談、いずれも対応しています。

経営労働相談のお問い合わせ

FAQ

よくあるご質問

 

Q. 管理職から外す場合、本人の同意は必要ですか。

 その管理職のポスト限定で採用したような特殊なケースを除けば、管理職から外すこと自体は人事権の行使として会社が判断できることが多いです。ただし、降格に伴って給与が減る部分については根拠の整備が必要になりますので、弁護士にご相談ください。

Q. 降格に伴って給料を下げたいのですが、どうすればいいですか。

 最も分かりやすいのは役職手当の制度です。「部長には役職手当として月々○万円を支給する」と定めておけば、部長から外れた場合にその手当がなくなるのは当然のことになります。基本給を等級連動で下げる制度はより紛争になりやすいので、シンプルな手当方式がおすすめです。

Q. 部長限定で中途採用した方が管理能力不足の場合はどうなりますか。

 その管理職のポスト限定で採用した場合は、降格ではなく解雇・退職の問題になります。通常の社内昇進で管理職にした場合とは考え方が異なりますので、弁護士にご相談ください。

Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。

 対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。

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