問題社員274 問題社員の配置転換

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この記事の要点

注意指導・教育で改善しない問題社員には「配置転換」という選択肢を持つ——やめてもらう前に試みる価値がある

ある職種・部署で全くうまくいかない社員も、別の仕事・環境では力を発揮することがある。人の才能・適性は絶対的なものではなく、担当業務によって大きく変わる

配置転換先の「上司の選定」が成否を左右する——問題の種類に応じた対人能力・指導力のある上司のいる部署へ移す

能力不足なら教えるのが得意な上司のいる部署へ。勤務態度が問題なら対人能力が高く問題社員でも対応できる上司のいる部署へ移すことが理想

適切な上司がいない場合はチームで対応する——1人に丸投げせず複数の管理職・社長でタッグチームを組む

特定の個人に負担が偏ることを防ぎ、組織として問題社員に対応できる体制を作ることが重要

1. 配置転換を検討すべき場面——どんな場合に有効か

会社経営者の皆様、こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所の代表弁護士、藤田進太郎です。

問題のある社員が出てきた場合、まずは教育・注意指導で改善を目指すことが基本です。しかし、どうしてもうまくいかない場合があります。向いていない仕事がある場合もありますし、特定の上司・同僚・顧客との関係がどうにも改善されない場合もあります。

そのような場合に検討したいのが配置転換です。「やめてもらう」という選択肢の前に、別の仕事・部署で働いてもらうことで問題が打開されるかどうかを試してみることが有効な場合があります。

なお、配置転換はどんな場合にすべきか一概には言えません。問題の内容・社員の適性・会社の置かれた状況などによって異なります。以下では代表的なケースを整理します。

2. 能力不足が原因の場合——別の仕事・部署でうまくいくことがある

例えば営業職として採用したが、対人能力が低くてどうにもうまくいかないという場合があります。研修やOJTでいくら教育しても改善しない、体調を崩すほど元気がなくなってしまうというケースでは、別の業務を試してみることが本人のためにも会社のためにも有効です。

能力不足の場合の配置転換の発想

  • 人の才能・適性は絶対的なものではなく、担当業務によって大きく変わる
  • ある仕事では全くダメでも、別の仕事だとどんどん伸びるケースが普通にある
  • 就業規則等に配置転換・担当業務変更の規定があれば、会社として試みる余地がある
  • 特定の職種限定で採用した場合は難しいが、そうでなければ他の業務を検討する価値がある

「この仕事限定で採用したわけではないから、他の業務もやらせてみよう」という発想を持つことが、退職勧奨・解雇へ進む前に試みるべきステップです。

3. 勤務態度が原因の場合——担当業務・人間関係を変える

勤務態度の問題が原因の場合も、配置転換が選択肢になることがあります。

例えば、顧客への対応が乱暴でお客様から「あの人は替えてほしい」と言われる社員については、顧客との接触が少ない業務に移すことで、問題の深刻度を下げることができます。また、特定の上司との関係だけが極端に悪い場合は、上司を変えることで改善されるケースもあります。

ただし、注意指導・懲戒処分を行わないまま配置転換だけで対応しようとすると「逃げ」になります。配置転換はあくまで問題解決の手段の一つであり、基本的な注意指導・記録の積み上げと並行して行うことが重要です。

4. 配置転換先の「上司の選定」が成否を左右する

配置転換を行う際、仕事の内容や部署の選定と同じくらい重要なのが転換先の上司が誰かということです。

問題の種類に応じた上司選びの考え方

問題の種類 理想的な転換先の上司
能力不足 教えるのが得意な上司。丁寧に指導することができる方がいる部署
勤務態度・言動の問題 問題社員でも落ち着いて対応できる、対人能力の高い上司。食ってかかられても動じない方

どんな部署に移すかよりも、その部署の上司が問題社員に適切に対応できるかどうかが、配置転換の成否を大きく左右します。適切な上司のいないところに移しても、問題がそのまま続くか、さらに悪化するだけです。

5. 適切な上司がいない場合——チームで対応する

「そんな問題社員でも対応できる上司なんて1人もいない」という会社も少なくありません。そのような場合は、複数の管理職・社長がタッグチームを組んでチームとして対応することが有効です。

1人に丸投げすると、その管理職が疲弊してしまいます。複数人で対応することで特定の個人への負担が分散され、それぞれが相手の反応を観察・共有しながら対応の質を高めることができます。

それでもどうにもならない場合は、弁護士に相談しながら個別対応を検討してください。弁護士と頻繁にこまめに打ち合わせを行い、一つひとつの局面に対応していくことが、手詰まりを打開する方法です。

6. まとめ

  1. 配置転換は退職勧奨・解雇の前に試みる選択肢——教育・注意指導で改善しない場合に検討する
  2. 能力不足の場合は別の仕事・部署で適性を確認する——人の才能は担当業務によって大きく異なる
  3. 勤務態度の問題は担当業務・人間関係を変えることで改善することがある
  4. 転換先の上司の選定が成否を左右する——問題の種類に応じた対人能力・指導力のある上司のいる部署へ
  5. 適切な上司がいない場合はチームで対応する——1人に丸投げせず複数で連携する

問題社員の配置転換でお悩みの経営者の皆様は、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士 藤田 進太郎

監修者弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 就業規則に配置転換の規定がない場合でも、配置転換を命じることはできますか。

A. 就業規則に配置転換・担当業務変更の規定がなくても、雇用契約上の合理的な範囲内であれば配置転換を命じることができる場合があります。ただし、職種限定・勤務地限定の合意がある場合は制限されます。具体的な状況については弁護士に相談してください。

Q2. 配置転換を断られた場合はどう対応すればよいですか。

A. 合理的な業務上の理由がある配置転換命令を正当な理由なく拒否することは、業務命令違反として注意指導・懲戒処分の対象となる場合があります。ただし、生活上の重大な不利益を伴う配置転換(例えば遠方への転勤で親の介護が困難になるなど)は配慮が必要です。拒否された場合の対応については弁護士に相談してください。

最終更新日:2026年4月30日


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