問題社員260 勤務態度が悪い。

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この記事の要点

勤務態度の悪さは「マネジメントの問題」として会社側が主体的に対処する——本人の問題と捉えて放置することが最大の失敗

「本人の素質の問題だから仕方ない」と放置すると問題はエスカレートする。会社経営者・管理職の問題として主体的に向き合うことが出発点

問題行動のその都度・会議室で面談し、具体的事実を伝える——まとめて後からではなく、直後に話すことで事実の説明が楽になる

「勤務態度が悪い」という評価的言葉だけでは本人に伝わらない。問題行動の直後に面談すれば「今やったこと」を具体的事実として伝えやすい

早期に具体的事実で対応すれば、通常のマネジメントレベルで問題が解決することが多い——エスカレートしてから動いても手遅れになりやすい

初期段階であれば、面談・注意指導だけで改善されるか、本人が「この職場は合わない」と感じて自主退職するケースが多い

面談しても改善しない場合は懲戒処分→退職勧奨の順で対応する——懲戒処分を飛ばしていきなり退職勧奨するのは失敗しやすい

懲戒処分通知書の作成や退職勧奨の進め方は弁護士のサポートを得ながら行うことで、法的リスクを大幅に抑えることができる

1. 勤務態度の悪さが職場に与える影響 放置すると周囲の社員が離れていく

会社経営者の皆様、こんにちは。弁護士法人四谷麹町法律事務所の代表弁護士、藤田進太郎です。

勤務態度が悪い社員がいると、職場の雰囲気は悪くなりがちです。周りの社員も「あんな人と一緒に働きたくない」「嫌な思いをしてばかりだ」と感じ、最悪の場合「こんな職場にいるぐらいなら転職しよう」という気持ちになります。優秀な人材が先に辞めていくというのは、多くの会社が経験していることです。

また、勤務態度の悪さはハラスメントにつながることもあります。周りへの嫌がらせ的な言動、気持ちのたるみによるパフォーマンスの低下——これらは放置すればするほどエスカレートしやすいという特徴があります。

弁護士に相談が必要なレベルまで問題が大きくなっているケースの多くは、初期段階での放置が原因です。「最初はちっちゃい問題だったから大丈夫だろう」と様子を見ているうちに、問題がどんどんエスカレートして手がつけられなくなっています。

勤務態度の問題は、小さいうちに対処してください。周りの大事な社員を守るためにも、早期着手が不可欠です。

2. 勤務態度の問題はマネジメントの問題 「本人が悪い」と決めつけて放置しない

勤務態度が悪い社員への対処法として、まず押さえていただきたい考え方があります。

これは「マネジメントの問題」として会社側が主体的に対処するものです。「勤務態度が悪い社員の問題」と捉えてしまうと、自分が被害者のように感じてしまい、放置することにつながります。

「言うことを聞いてもらう。周りに嫌な思いをさせないような働かせ方をする。」これは経営者の責任であり、管理を任されている管理職の責任です。会社経営者としての価値が問われているのだ、という認識を持ってください。

本人の問題であるかのように放置しておいて、後から評価を低くしたり、やめてもらおうとするのは本末転倒です。まずはしっかり働いてもらうことが目標です。

3. 最初にすべきこと 問題行動のその都度、会議室で面談する

勤務態度が悪い社員への最初の対処法は、問題行動があった際にその都度、会議室でしっかり面談することです。

重要なのは「まとめて後からやろう」ではなく「その都度やる」という点です。これにはとても大きなメリットがあります。

「その都度面談」が有効な理由

  • 問題行動の直後であれば、「今やったこと・言ったこと」を具体的事実として伝えやすい
  • 記録を溜め込んでから後でまとめて対応するより、本人への教育効果が高い
  • 本人も直前の行動を覚えているため、「何のことか分からない」という言い訳が通じにくい
  • 問題が小さいうちに介入でき、エスカレートを防ぐことができる

「今すぐ無理な場合でもその日のうちに話す」というスタンスで臨んでください。一生懸命記録を溜め込んでから後でまとめて懲戒処分しようという発想では、その間に問題がどんどん大きくなってしまいます。

4. 面談では「具体的事実」を伝える 評価的言葉では伝わらない

面談では、「勤務態度が悪いから改善しろ」「自分の頭で考えろ」という評価的な言い方をするだけでは伝わらないことが多いです。

なぜなら、問題のある当事者は「これぐらいいいじゃないか」「自分にとってはこれが普通だ。人生こうやって生きてきた」と思っていることが多いからです。「勤務態度が悪い」という評価の言葉だけでは、一体何のことを言っているのか分からない、という反応になりやすいのです。

❌ 伝わらない面談

「あなたは常日頃から勤務態度が悪く、周りに迷惑をかけてばかりです。今後改善するように。」

✓ 具体的事実に基づく面談

「先ほど(○時頃)、○○さんから△△を頼まれた際に『やりたくない』と言って断りましたよね。あなたの担当業務の範囲内ですので、このような断り方は就業規則上問題になります。今後は指示に従ってください。」

問題行動のその都度に会議室で話すからこそ、「今起きたこと」を具体的事実として説明できます。これが「その都度面談」の最大のメリットです。

5. 早期対応で多くの問題は通常のマネジメントレベルで解決する

問題がエスカレートする前の段階で、具体的事実に基づいた面談・注意指導を行うと、多くの場合は次のどちらかの方向に向かいます。

早期対応で起きやすい2つの変化

ある程度改善する 模範的な社員になるとまでは言えないが、「まあまあ我慢できるかな」というレベルになることが多い
自主退職する 「この職場は自分に合わない」と感じて転職する。直してもらう必要すらなくなることもある

反対に、放置して問題がエスカレートしてしまうと、もともと勤務態度が悪い傾向のある人がますます問題を大きくして、手がつけられなくなることが多いです。そうなってからでは、懲戒処分や退職勧奨・解雇など、重い対応しか選択肢がなくなってしまいます。

6. それでも改善しない場合 懲戒処分から退職勧奨へ

具体的事実に基づいた面談・注意指導を繰り返しても改善しない場合、次のステップとして懲戒処分を検討します。

多くの会社が陥りがちなのは、懲戒処分のステップを飛ばして、いきなり「退職してほしい」という話に進もうとすることです。懲戒処分(けん責・減給・出勤停止など)を行わずに、突然退職勧奨するのは、相手に「なぜ今さらやめなければならないのか」という疑問を与えることになり、合意が得られにくくなります。

改善しない場合の対応順序

  1. 口頭での注意指導(その都度・面談)
  2. 書面による注意指導(厳重注意書)
  3. 懲戒処分(けん責→減給→出勤停止と段階的に)
  4. それでも改善しない場合:退職勧奨
  5. 退職勧奨が不成立の場合:解雇の検討(弁護士相談必須)

懲戒処分通知書の書き方が分からない、どう進めればいいか分からないという場合は、弁護士に相談してください。事実関係を確定した上で、法的に有効な懲戒処分通知書を作成するサポートをします。

退職勧奨を行う際には、なぜやめなければならないのか理由をしっかり説明することが重要です。「本人も分かっているはずだ」ではなく、具体的事実に基づいた理由を丁寧に伝えましょう。退職勧奨は合意退職を目指すものですので、相手が拒否した場合は成立しません。退職勧奨の方法・進め方については弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。

7. まとめ

  1. マネジメントの問題として主体的に対処する——放置が最大の失敗。会社経営者・管理職の問題として向き合う
  2. 問題行動のその都度、会議室で面談する——まとめて後から対応ではなく、直後に話すことで事実説明が容易になる
  3. 面談では具体的事実を伝える——「勤務態度が悪い」という評価ではなく、「いつ・どこで・何をしたか」を伝える
  4. 早期対応で多くの問題は解決する——改善されるか自主退職するかのどちらかになることが多い
  5. 改善しない場合は懲戒処分→退職勧奨の順で進める——弁護士に相談しながら法的に適切な手続きを踏む

勤務態度が悪い社員への対応でお悩みの経営者の皆様は、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士 藤田 進太郎

監修者 弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「勤務態度が悪い」と注意したら「パワハラだ」と言われました。どうすればよいですか。

A. 「勤務態度が悪い」という評価的言葉だけで指導することには問題がある場合があります。具体的に「いつ・どこで・何をしたのか」という事実を示した上で指導することが重要です。事実に基づいた業務上必要な指導はパワハラになりません。ただし、相手にパワハラだと言われた場合の対応については、弁護士に相談しながら慎重に進めてください。

Q2. 注意しても全く改善しません。どのタイミングで懲戒処分に進めばよいですか。

A. 具体的事実を示した口頭での注意指導を複数回行い、それでも改善が見られない場合に書面による厳重注意、それでも改善しなければ懲戒処分(けん責・減給など)へと段階的に進めることが一般的です。懲戒処分を行う際は、就業規則上の懲戒事由に該当するかどうかの確認が必要ですので、弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 勤務態度が悪い社員を解雇することはできますか。

A. 可能な場合はありますが、解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。そのためには、注意指導・懲戒処分の積み重ねと、それらの記録・証拠が必要になります。解雇を検討する前に必ず弁護士に相談してください。まずは退職勧奨で合意退職を目指すことが一般的です。

Q4. 勤務態度の問題は具体的にどのように記録しておけばよいですか。

A. 問題行動があった日時・場所・内容(何をしたか)・それに対する指導の内容・本人の反応を、できるだけ具体的に記録してください。メモやメールで上司宛に報告書として記録することも有効です。評価的な言葉(「態度が悪かった」など)ではなく、具体的事実(「○時頃、○○さんに対して大声で怒鳴り、業務指示を拒否した」など)を記録することが証拠価値を高めます。

最終更新日:2026年4月30日


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