能力不足社員・問題社員の配置転換

 

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能力不足社員・問題社員の配置転換。
受入先が見つからない場合を含め
会社側専門の弁護士が実務対応を解説します。

 能力不足の社員に対する配置転換には「この社員はどの仕事に適性があるのか」という発想が欠かせません。また、高圧的な態度を取り続ける問題社員を別の部署に移したくても、受け入れてくれる部署がどこにもない、という状況に頭を悩ませる経営者は少なくありません。本ページでは、それぞれのケースについて、実務上の対処法を会社側専門の弁護士が解説します。

VIDEO

弁護士藤田進太郎による解説動画

 

 本ページは、当事務所代表弁護士藤田進太郎による解説動画「極端に能力が不足している社員の配置転換」ほかを素材として文章化したものです。

本ページの要点

 能力不足社員への配置転換は、「この人は能力が低い」という絶対的な評価からではなく、「今の仕事との適性が合っていないだけで、別の仕事であれば活躍できるかもしれない」という発想から検討することが重要です。社内に適した仕事があれば配置転換して活躍してもらう。なければ他社への移籍も視野に入れる。雇用維持を目的とした「飼い殺し」は本人のためにも会社のためにもなりません。高圧的で受入先が見つからない社員については、まず高圧的な態度を改めさせることが先決です。態度が改まらない状態で無理に移動させても、移動先でも同様の問題が起きるだけです。対処できる人物を配置した上で注意指導・懲戒処分を重ね、それでも改まらなければ退職勧奨を検討します。

CHAPTER 01

能力不足社員の配置転換:適性の問題として捉える

 

「能力が低い」は大雑把すぎる考え方

 ある程度能力が足りないという方がいた場合は教育指導して育てていきますよね。だけどもあまりにも仕事ができない、教えても教えても全く身につかないという方が出てきた場合、辞めていただくことの他に、別の手段として配置転換を考えたことはありますか。

 「能力が高い・低い」というのは、その人全体の能力の高低ではなく、今やっている仕事との相性の問題です。絶対的に「この人は能力が高い人」「この人は能力が低い人」というのは、大雑把すぎるものの考え方です。人によって向いているもの、向いていないものがあります。今の仕事では能力不足だと思われている方でも、別の仕事ならばもしかしたら向いているかもしれません。

 ある仕事だと100点満点中20点だけれど、別の仕事だったら才能を生き生きと発揮して80点を取れるかもしれないのです。今やっている仕事がなかなかできない、元々の適性も良くないし、いくら教え込んでもなかなか身につかないという人でも、その人の適性のある仕事につけてあげると、最初からある程度できることもあるし、教えた時の伸びも早かったりすることが普通にあります。この発想を持つことが、能力不足社員への配置転換を考える上での出発点となります。

社内に適した仕事があれば配置転換する

 もし社内に本人の適性に合う仕事があるのであれば、それに従事させて活躍してもらうことを考えてください。これが一番会社のためにもなるし、周りの社員のためにもなるし、何より本人のためにもなります。過去の経歴や適性テストなどを参考に、どんな仕事に向いているのかを探り当てて、適正配置ができれば理想です。

社内に適した仕事がなければ:他社への移籍も選択肢

 では、社内に本人の適性に合う仕事がない場合はどうすればよいでしょうか。その場合は、他社に移ってもらうことも選択肢として考えてください。本人が活躍できる場所を他に見つけてもらうということです。場所を変えることで本人の才能が開花する可能性もありますから、他社への移籍という選択肢をタブー視する必要はありません。

無理に仕事を作り出す必要はない

 よく相談を受けるのが、「本人のために新しい仕事を作り出すことはできないか」というものです。しかし、無理に合わない仕事を作って続けさせることにはほとんど意味がありません。向いていない仕事を一生懸命教え込んでもなかなか身につかず、周りからもお荷物扱いされ、本人は自分が活躍できる仕事が何なのかも分からないまま、という状況は不幸なことです。雇用維持を目的とした「飼い殺し」は本人のためにも会社のためにもなりません。本人に向いている仕事があるのであれば、その道を選ばせるということも経営者としての大切な判断です。

能力不足社員への配置転換の考え方

社内に適した仕事がある 配置転換して、本人の適性に合う仕事で活躍してもらう
社内に適した仕事がない 他社への移籍(退職勧奨)を検討する。無理に仕事を作り出す必要はない
やってはいけないこと 雇用維持のためだけに向いていない仕事を続けさせる「飼い殺し」
CHAPTER 02

高圧的で受入先が見つからない社員への対処法

 

受入先が見つからないのは自然なこと

 周りの人に高圧的な態度を取る社員がいると、本当に困りますよね。そのような方がいると周りで一緒に働いている人たちは大きなストレスを受け、職場環境がどんどん悪化していきます。仕事のパフォーマンスも下がってしまいかねません。こういった悪い噂が広まると、「あの人はすごく偉そうで高圧的で周りの人の気持ちを全然考えてくれない」ということになり、異動の受入先が見つからないということがよくあるわけです。

 受入先が見つからないのは、言ってみれば身から出た錆とも言うべきものですが、会社経営上そういった状態は非常によくありません。引き取り手がないのも困りますし、高圧的な態度を取り続けられるのも困ります。場合によっては適応障害を発症する社員が出てきたり、退職につながったりすることも想定されます。社員を守るのは会社経営者の責任です。

まず高圧的な態度を改めさせることが先決

 受入先が見つからない問題への対処で最も大事なのは、まず高圧的な態度を改めさせることです。根本的にはそもそもこの高圧的な態度を辞めさせなければならないわけです。高圧的な態度を辞めさせなければ、どこかに移動させても人と協力して何かやるということはできません。受入先を探すより先に、態度の改善が先決です。

 態度が改まっていない状態で無理に移動させても、移動先でも同じように高圧的な態度を取り続けて、周りの人にストレスを与えて、人によっては適応障害になったり休んだり退職したりということになりかねません。まず現在の職場で、高圧的な態度を改めさせるための注意指導・懲戒処分を重ねることが必要です。

対処できる人物を配置することが重要

 高圧的な社員を移動させる場合、移動先に対処できる人物が必要です。移動させる前に、こういった高圧的な方に対応できる人がいるのかというところもしっかり検討しなければいけません。対応できる人がいないのに高圧的な人を移動させると、そこで悪さをしますからね。

 対処可能な人物が移動先にいなければ、社長自身が対処するしかありません。こういった問題があるような高圧的な態度を取る方でもしっかり「辞めなさい」と言える方がいる場所でなければまずいと思います。手に負えない問題社員がいる職場に、対処できない管理職だけを置いていても状況は改善しません。

注意指導や懲戒処分ができていないケースが多い

 こういった高圧的な方に対する注意指導や懲戒処分ができていないことが本当に多いのです。困っているはずなのにできていない。逃げてばかりいる。これが現実です。しかし、対処しなければ周りの社員が被害を受け続けるだけです。

態度が改まってから、向いている仕事への移動を検討する

 注意指導と懲戒処分を重ねた結果、高圧的な態度がそれほどひどくない状態まで持っていけた後であれば、できる限り向いている仕事をつけてあげた方が会社全体としてプラスになるのではないかと思います。仕事のパフォーマンス自体は高い方であれば、態度が改まれば会社にとってプラスの存在になれる可能性があります。

 一方、注意指導・懲戒処分を重ねても高圧的な態度が全く改まらず、どうしても周囲の社員を傷つけ続けているという状況であれば、退職させることも最終的には避けられません。社員を守るために会社は行動しなければなりませんから、他の社員への被害が続くような状況は放置できないのです。

対処の順序

①まず対処可能な人物(管理職)を現在の職場に配置する。②高圧的な態度に対して注意指導・懲戒処分を繰り返す。③態度が改まったら、向いている仕事への配置転換を検討する。④態度が改まらず被害が続く場合は、退職勧奨を検討する。態度が改まっていない状態で無理に移動させることは、問題を先送りにするだけです。

弁護士 藤田 進太郎

監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、人事異動・配置転換トラブル、問題社員対応、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。能力不足社員・問題社員の配置転換でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

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FAQ

よくあるご質問

 

Q. 能力不足の社員を配置転換する場合、何を基準に検討すればよいですか。

 「この人は能力が低い」という絶対的な評価からではなく、「今の仕事との適性が合っていないだけで、別の仕事であれば活躍できるかもしれない」という発想から検討してください。過去の経歴や適性テストなどを参考に、どんな仕事に向いているかを探り、社内に適した仕事があれば配置転換して活躍してもらいます。社内にそのような仕事がなければ、他社への移籍という選択肢も視野に入れます。

Q. 能力不足社員のために新しい仕事を作り出すべきですか。

 無理に合わない仕事を作って続けさせることにはほとんど意味がありません。仕事を作り出すことは例外的なものにとどめるべきで、本人の適性から推測できるものに限定すべきです。雇用維持のためだけに向いていない仕事を続けさせる「飼い殺し」は、本人のためにも会社のためにもなりません。社内に適した仕事がない場合は、他社への移籍を含めて考えることが大切です。

Q. 高圧的な社員を別の部署に移動させたいのですが、どこも受け入れてくれません。

 受入先が見つからないのは自然なことです。まず高圧的な態度を改めさせることが先決で、受入先を探すよりも前に取り組むべき課題です。態度が改まっていない状態で無理に移動させても、移動先でも同じ問題が起きるだけです。対処できる管理職を現在の職場に配置し、注意指導・懲戒処分を重ねることから始めてください。

Q. 高圧的な社員に対して管理職が注意できていません。どうすればよいですか。

 対処できる人物を管理職として配置することが会社経営上の責任です。現在の管理職が対処できていない場合は、対処できる別の人物を配置するか、社長自身が直接対処するしかありません。手に負えない問題社員がいる職場に、対処できない管理職だけを置いていても状況は改善しません。社員を守るためには、経営者が前に出て対応する場面があります。

Q. 注意指導・懲戒処分を重ねても高圧的な態度が改まりません。最終的にはどうすればよいですか。

 注意指導・懲戒処分を重ねても高圧的な態度が全く改まらず、他の社員への被害が続いているという状況であれば、退職勧奨を検討することになります。他の社員を守るために会社は行動しなければなりませんから、被害が続く状況を放置するわけにはいきません。退職勧奨・解雇に至る場合の手続きについては、弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。

Q. 遠方の会社ですが、相談できますか。

 対応しております。事務所会議室での対面相談のほか、ZoomやTeamsによるオンライン相談を実施しており、日本全国各地の会社経営者からのご相談を承っています。能力不足社員・問題社員の配置転換は、個別の事情によって対応が大きく変わりますので、早めにご相談いただくことをお勧めします。

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